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Vol.629 歯ブラシがのどに刺さる事故

イラスト:子どもが歯ブラシをくわえたまま転倒している

子どもの歯みがき中に、歯ブラシをくわえたまま転倒したりぶつかったりして、のどを突く事故が起きています(1)。東京消防庁管内では、5歳以下の乳幼児が歯ブラシで受傷した事故により、令和4年までの5年間で182人が救急搬送されており、特に1、2歳で多く発生しています(2)。

消費者庁・国民生活センターには、歯ブラシがのどに刺さる事故などの情報が医療機関(3)から寄せられています。

  • 「歩きながら歯みがきをしていた際に転び、歯ブラシで口の中を突いて出血した。上あごに深さ7mm程の傷ができた。」(2歳)
  • 「椅子に座って歯みがきをしていて、歯ブラシをくわえたまま転落した。のどの上部に筋肉に達する傷を負い、入院が必要となった。」(3歳)
  • 「子ども用の歯ブラシ(曲がらないタイプ)を使って自分で歯みがきをしていた。一歩踏み出した際に転倒して顔を床に打ち付け、口にくわえていた歯ブラシが上あごに突き刺さった。全身麻酔をして、気管挿管・人工呼吸管理下で歯ブラシを抜いた。抗菌薬治療を行い約1週間後に退院した。」(2歳)
  • 「寝転んで歯みがきをしており、一緒にいた年上の子どもと接触した際、歯ブラシでのどの奥を突いた。血の混じった嘔吐が2回あったため救急搬送され、診察後帰宅した。その後も発熱が続くため受診したところ、CT検査で頸部に感染による膿がみつかり、転院して手術となった。」(2歳)
  • 「歯ブラシをくわえたまま転倒した。のどの痛みと首が動かせないことから受診したところ、CT検査にて首の血管の損傷が疑われたため、緊急に気管挿管が行われた。その後の検査で動脈解離や損傷などはなく、集中治療室で呼吸管理を行った。10日間の入院となった。」(5歳)

のどの近くには大切な血管や神経があり、それらを傷つけることも考えられます。また、口の中の雑菌により感染症を起こすこともあります。以下のポイントを参考に、事故を防ぎましょう。

<事故防止のポイント>
  • 保護者がそばで見守る中で、床に座って歯みがきをさせましょう
    歯みがき中やその前後に、動き回って転んだり、椅子やソファなど不安定な場所から転落して事故が起きています。床に座らせるなど安定した姿勢・場所で、準備が整ってから歯ブラシを持たせ、歯みがきが終わるまではそばで見守りましょう。周囲にも声をかけてぶつからないように注意を促しましょう。
  • 子ども用歯ブラシは、のど突き防止対策を施したものを選び、保護者が仕上げみがきをする歯ブラシと使い分けをしましょう
    歯ブラシの先端が曲がるものや、奥まで入らないようにストッパーが付いたものなど、のど突き防止のために工夫された歯ブラシが販売されています。対象年齢を確認し、使用前には不具合がないかよく確認しましょう。
  • 細長いものを口に入れたまま、持ったまま、動くことはやめさせましょう
    歯ブラシに限らず、箸やペン、ストローなど、口に入り長さがある物であれば、のど突き事故が発生するおそれがあります。保護者が見ていないところで持ち出すことがないように、子どもの手の届かないところで管理しましょう。

6月4日から10日は「歯と口の健康週間」です。むし歯や歯周病などを予防するため、毎日の歯みがきを安全に行いましょう。

  1. (1)消費者庁「子どもの歯磨き中の喉突き事故などに気を付けましょう!-3歳以下の子どもの事故が多数発生しています-」
  2. (2)東京消防庁「乳幼児の歯みがき中の事故に注意!」(別ウィンドウで表示します)
  3. (3)消費者庁は(独)国民生活センターと共同で、平成22年12月より、医療機関(令和5年6月現在で32機関が参画)から事故情報の提供を受けています(医療機関ネットワーク事業)。
(参考)
(過去の関連メール)

担当:消費者安全課