Vol.628 たばこ誤飲 - 加熱式たばこも要注意!

子どもの誤飲事故ではたばこの報告は上位で(※1)、特に1歳前後の子どもで多く発生しています(※2)。たばこそのものやニコチンが溶け出した液体を誤飲した場合、中毒を起こす危険性があります。
近年身近になってきた「加熱式たばこ」は、たばこ葉やそれを加工したものが入ったスティック等を専用の器具を使って電気的に加熱し、エアロゾル(霧状)化したニコチン等を吸入する製品ですが、誤飲による中毒事故には紙巻きたばこと同様に注意が必要です。加熱式たばこのスティック等は紙巻きたばこと比較すると小さく、また、誘熱体として金属片が内蔵された製品もあり、誤飲事故も複数報告されています(※3)。
たばこの誤飲は保護者がそばにいても、ほんの少し目を離したすきに子どもは口に入れてしまう場合があります。
子どもの誤飲を防ぐため、次のことに注意しましょう。
- 子どもの目の前でたばこを吸わないようにしましょう。
- たばこを床やテーブルの上などに放置せず、子どもの目に触れない場所や、手の届かない場所に保管しましょう。
- たばこや吸い殻などを捨てる時は、捨てたゴミ箱を子どもの手の届かないところに置いたり、直接捨てずにビニール袋などに包装して密閉するなど、子どもが容易に取り出せない工夫をしましょう。
- 飲料の缶やペットボトルを灰皿代わりに使用することはやめましょう。ニコチンが溶け出した液体は身体に吸収されやすくなるため特に危険です。
たばこを誤飲してしまった可能性がある場合は、口の周りや口の中を確認し、たばこがあるようなら取り出しましょう。また、たばこが浸っていた液体を飲んでしまった場合や普段と違う様子がある場合は、何も飲ませず、直ちに医療機関を受診しましょう。金属片が内蔵された製品もあるため、可能な限り、銘柄名やたばこのパッケージなどを持参し、どのような種類のたばこか医師等に伝えるようにしてください。
消費者庁・国民生活センターには、加熱式たばこを誤飲したという事故の情報が医療機関(※4)より寄せられています。
- 「気付くとテーブルに置いてあった友人の加熱式たばこの箱を子どもが開けており、中のものが散乱していた。近くにかじった後のものがあり、1cm程度(たばこ葉のほぼ全量)を食べたと考えられた。ぐったりした様子が続き、嘔吐も続いたため救急要請。嘔吐が続くため経過観察目的で入院となった。」(1歳)
- 「子どもが茶色いたばこの葉が混ざったものを嘔吐していた。口の内も黄色で、周囲には保護者が吸っていた加熱式たばこが散らばっており、うち1本が1/5くらいが折れてフィルター部分がなくなっていた。受診後、レントゲンで加熱式たばこの中身の金属プレートが体内にみとめられたが、自然排出が見込まれる部位だったため経過観察として帰宅となった。」(10か月)
- 「吸い終えた加熱式たばこを保護者が飲料の容器に入れていた。子どもが飲料とともに飲んでしまった。口をもぐもぐしていたので、中を見ると加熱式たばこがあり、2cm程度かきだした。約1時間後に胃液とともに残りの葉の部分を吐き出した。受診したところ、普段と変わらない様子だったため、経過観察として帰宅となった。」(1歳)
このほか、喫煙が妊娠出産に影響があることはよく知られています。ご自身が喫煙していない場合でも受動喫煙が乳幼児突然死症候群(SIDS: Sudden Infant Death Syndrome)の要因となることが確実視されています(※5)。
大人(保護者)向けのコラムでは、子どもの誤飲以外のたばこの事故について、喫煙の健康影響を含めて取り上げています。
- (※1)厚生労働省「2018年度 家庭用品等に係る健康被害 病院モニター報告」(別ウィンドウで表示します)
- (※2)消費者庁「乳幼児のたばこの誤飲に注意しましょう!-加熱式たばこは紙巻たばこより誤飲しそうになった割合が高く、より注意が必要です-」
- (※3)(公社)日本小児科学会「Injury Alert No.121 金属片を内蔵した加熱式タバコの誤飲による消化管異物」(別ウィンドウで表示します)
- (※4)消費者庁は(独)国民生活センターと共同で、平成22年12月より、医療機関(令和5年5月現在で32機関が参画)から事故情報の提供を受けています(医療機関ネットワーク事業)。
- (※5)厚生労働省「e-ヘルスネット 女性の喫煙・受動喫煙の状況と、妊娠出産などへの影響」(別ウィンドウで表示します)
担当:消費者安全課