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Vol.624 体の中で、くっつく「マグネットセット」、膨らむ「吸水樹脂ボール」の危険-誤飲事故防止のため販売規制へ

ネオジム磁石製マグネットセットと吸水樹脂ボールの画像

ネオジム磁石製の「マグネットセット」(磁石製娯楽用品)や、水で膨らむボール「吸水樹脂ボール」(吸水性合成樹脂製玩具)が、子どもにとって危険であることを聞いたことはありますか?
マグネットセットの小さな磁石を37個誤飲して小腸が結着、壊死して穴があいた事故(1)や、原因不明の腸閉塞で開腹手術をしたところ吸水樹脂ボールの誤飲が判明した事故(2)など重篤な事故が相次いだことから、経済産業省において、販売の法規制を実施するための作業が進められています(3)。

3歳児の口の大きさは直径約4cm、これより小さいものは子どもの口の中に入り、誤飲するおそれがあります。
誤飲した物が尖っていたり、毒性がある場合はもちろんですが、その特性や体の中での変化等により、子どもにとって非常に危険になるものがあります。ボタン電池が食道の内壁などに貼り付いて化学やけどのおそれがあることはご存じの方も多いかと思いますが、磁石は腸壁を挟んで留まり消化管穿孔(せんこう:穴があく)など、吸水樹脂ボールは腸内で膨らみ腸閉塞など、重篤な症状を引き起こす可能性があります(1、2、4)。

<誤飲事故を防ぐために>
  • 誤飲の可能性がある物は、子どもの目と手が届かない場所へ
  • 玩具など子どもが日常的に触れる物は、子どもの年齢・発達に合った、安全に配慮されたものを選ぶ(年上の子どもと遊ぶときも注意)
  • 破損等の不具合があったり、リコール対象(5)であれば使用を中止する(譲ってもらう時、譲る時もよく確認)
<誤飲したと思ったら>

マグネットセットは1個のサイズが小さく数も多いため、誤飲したことに気づくのが遅れるおそれがあります。また、強力な小型磁石はマグネットセットといった玩具だけでなく、文具やインテリア用品など身近な製品にも使用されていますので、同様に注意が必要です。
吸水樹脂ボールはレントゲン検査等で発見しづらいため、体調不良の原因が分からずに対応が遅れる可能性もあります。
少しでも磁石や吸水樹脂ボールを誤飲した可能性がある場合は、その旨医師等に伝え、同じものが手元にあれば持参しましょう。同型品やパッケージ、インターネット通販での購入履歴などが残っていれば、併せて医師等に伝えてください。

消費者庁・国民生活センターには、法規制される予定の製品に限りませんが、磁石や吸水樹脂ボールを誤飲したという事故の情報が医療機関(6)より寄せられています。

  • 「シリコーンゴム製の人型のおもちゃに埋め込まれた直径約4mmの強力な磁石をかみちぎって4個誤飲し、その後腹痛と嘔吐を認めた。胃と小腸を挟み込んで磁石同士が接着して、小腸に穴があいており、開腹手術で腸管を部分切除した。10日間入院した。」(5歳)
  • 「SNSで知ったペットボトルを2つつなげた手作りおもちゃで子どもが遊んでいた。カッと音がして気が付いたら、おもちゃの中に入れていた水で膨らむ樹脂製のボール(約2cm)が床に落ちており、誤飲したかもと思った。インターネットで検索し、吸水性の樹脂玩具での事故を知って救急車を要請して受診した。一旦帰宅後、翌日再受診したところ、エコーで十二指腸に異物が確認され、内視鏡で除去した。3日間入院した。」(1歳)
  1. (1)(独)国民生活センター「強力な磁石のマグネットボールで誤飲事故が発生-幼児の消化管に穴があき、開腹手術により摘出-」(別ウィンドウで表示します)
  2. (2)(独)国民生活センター「乳幼児による水で膨らむボール状の樹脂製玩具の誤飲にご注意!(続報)」(別ウィンドウで表示します)
  3. (3)(消費生活用製品安全法の特定製品(PSCマークの対象品目)に指定し、販売を規制予定。
    経済産業省 第10回 産業構造審議会 保安・消費生活用製品安全分科会 製品安全小委員会 資料「製品安全規制の見直し」(別ウィンドウで表示します)
  4. (4)消費者庁「「磁石」や「吸水樹脂ボール」の誤飲に注意! - 飲み込んだ後、開腹手術を要する事故が発生 -」
  5. (5)消費者庁リコール情報サイト(別ウィンドウで表示します)
  6. (6)消費者庁は(独)国民生活センターと共同で、平成22年12月より、医療機関(令和5年4月現在で32機関が参画)から事故情報の提供を受けています(医療機関ネットワーク事業)。
(参考)
過去の関連メール

担当:消費者安全課