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Vol.609 入浴補助の「便利グッズ」ではありません - 首浮き輪で死亡事故も -

図:左 入浴中、バスタブで子どもが首浮き輪をつけて風呂に浮かんでいる。その間に、風呂場で大人が洗髪しており、子どもから目を離した状態になっているイラスト。右 バスタブの中で、首浮き輪をつけた子どもが溺れかけているイラスト。

首浮き輪(首掛け式乳幼児用浮き輪)を着けた乳幼児が浴槽に浮かんでいる様子をSNSなどで見たことはありませんか?首浮き輪は乳幼児が水に親しみ運動することなどを目的として販売されている製品で、乳幼児の入浴とは目的が異なりますが、入浴時に子どもを浮かせて保護者の洗髪や他の子どものお世話ができる「便利グッズ」として一部で誤って利用されている例が確認されています。このような入浴方法では、保護者の目が子どもから離れる時間ができてしまいますので、使用しないでください。

水に入っている以上、溺れる危険性があります。口と鼻が水に浸かれば呼吸ができません。また、声や音を出さずに静かに溺れることもあり、すぐに気付けないおそれもあります。水に入れているときは、必ず手の届く範囲で、目を離さず見守ってください。

消費者庁及び国民生活センターでは、首浮き輪使用中の事故が複数発生していることから平成24年及び26年に注意喚起を実施しましたが(※1)、その後も関係機関(※2)や医療機関(※3)から事故情報が寄せられており、平成29年と令和2年には死亡事故も発生しています(※4)

  • 「首掛け式の浮き輪を付けて入浴していた乳児が死亡した。」(発生年月:平成29年5月、年代不明)(※2)
  • 「浴槽で当該乳幼児用浮き輪(首掛式)を使用していたところ、意識がない状態になっていることに気付き、病院に救急搬送したが、死亡が確認された。」(発生年月:令和2年3月、0歳)(※2)

首浮き輪だけでなく、他のタイプの浮き輪でも事故は起きています。

  • 「保護者(着衣)が子どもの体を洗った後に、浮き輪を装着して浴槽に入れた。おもちゃを浮かべて浴槽の外から見ていたが、トイレのため1分もかからないと思ってそばを離れた。戻ると浮き輪が外れて顔が湯につかっており、引き上げると顔色が悪くぐったりしていた。背中をさすりながら119番通報したところで少し水を吐いて泣き出した。溺水のため3日間入院となった。以前は首浮き輪を使用していたが空気が抜けてきたため、胴に着けるタイプに買い替えた。インターネットで見て楽しいだろうと思って購入したものだった。」(発生年:令和4年、10か月)(※3)

このような事故を防ぐためには、子どもから目が離れてしまう状況では、首浮き輪や浮き輪を使わないことが大切です。浮き輪に頼りたくなる状況を意識して作らないように工夫しましょう。

例)保護者自身の入浴は別にする / わずかでも目が離れる状況では、子どもを浴槽から出す(事前に用意したマットやバスチェアなどの利用も) / 水遊びのため浴室で使用した後は浮き輪を置きっぱなしにしない

首浮き輪を、乳幼児が水に親しみ運動するという本来の用途で使用する場合も、取扱説明書の注意表示をよく読み、空気漏れはないか、正しく装着できているかなど、毎回必ず確認してください。苦しそうだからと空気を抜き気味にしたり、ベルトを固定しない場合には、口元が水面下になったり、頭が抜け落ちて水中に沈むおそれがあります。溺水だけでなく、首の圧迫による窒息や血流低下への注意も必要です。個人差や成長により、首周りに必要なゆとりが確保できない場合は使用を中止してください。

また、子育ての手間や時間を減らせるアイデアやアイテムが、SNS等で話題になることがありますが、試す前には子どもにとって安全であるか注意深く確認する必要があります。

  • その製品の本来の使用方法ですか?
  • 行政機関等から注意喚起されていませんか?
  • 製品の仕様や、製造・輸入・販売事業者の情報ははっきりしていますか?
  • 子どもが使用する製品の場合、対象となる年齢、身長、体重等の範囲内ですか?
  • 子どもが誤飲するおそれがある小さな部品はありませんか?
  • リコール対象製品ではありませんか?(※5)
(参考)このほかの溺水防止のポイントは、以下のページをご参照ください。
  1. (※1)消費者庁・国民生活センター「気を付けて、浴槽での首掛け式浮き輪の事故!! -赤ちゃんは御機嫌でも一瞬も目を離してはいけません-」(平成26年10月9日) 国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP) (PDF)
  2. (※2)事故情報データバンク:消費者庁が(独)国民生活センターと連携し、関係機関から「事故情報」「危険情報」を広く収集し、事故防止に役立てるためのデータ収集・提供システム(平成22年4月運用開始)。
  3. (※3)消費者庁は(独)国民生活センターと共同で、平成22年12月より、医療機関(令和4年11月現在で30機関が参画)から事故情報の提供を受けています(医療機関ネットワーク事業)
  4. (※4)これらの死亡事故を踏まえて令和2年4月に子ども安全メールで再度、注意喚起を実施。
  5. (※5)消費者庁「リコール情報サイト」

担当:消費者安全課