クマ撃退スプレーの備え方―事前の確認・準備が必須です―
近年、クマの出没情報数の増加に伴い、人身被害も増えています。クマによる人身被害を防ぐためには、クマに出会わないようにすることが最も重要ですが、クマに出会ってしまったときのために、クマ撃退スプレーを備えることは有効な対策の一つです。一方で、クマ撃退スプレーは、適切に使用することでクマの撃退に一定の効果を期待できる製品ですが、消費者庁、環境省、独立行政法人国民生活センターが共同で行ったテストから、噴射距離や噴射時間などが製品により異なることが確認できました。
また、刺激物質を含むため、取扱いに注意が必要な製品でもあり、適切に保管・使用しなければ自身や周囲の人に被害が生じる可能性もあります。
今回は、クマ撃退スプレーの特徴やテスト結果とともに、製品を選ぶ、保管・使用などする際のポイントをご紹介します。

クマ撃退スプレーについて
国内では「クマスプレー」や「クマ避けスプレー」など、様々な名称の製品が様々な目的で販売されていますが、ここでいう「クマ撃退スプレー」とは、トウガラシの辛味成分であるカプサイシンなどのカプサイシノイド を主成分とし、クマとの近距離での遭遇時において、クマの顔面(目、鼻)に噴射することにより、クマの攻撃や接近など、人にとって望ましくない行動を一時的に抑止するためのスプレー製品を指します。
選ぶ際のポイント
クマ撃退スプレーについて噴射を伴うテストを実施し、噴射距離、噴射時間、内容量、噴射パターン、有効成分、噴射機構(アクチュエーター)の構造、安全装置、専用の携行用ケースの有無など様々な製品設計のものがあることが分かりました。製品を購入する際には、使用する場所や場面を想定し、それを踏まえた製品を選択することが重要です。
- クマ用、かつ、撃退用のスプレーを選ぶ (対人用や忌避を目的としたスプレーは選ばない)
- 表示をよく確認し、購入する
なお、環境省が公表した「クマ撃退スプレーの性能に係る推奨要件(令和8年8月)」では、様々な状況下で人命を守るために必要と考えられる性能の推奨要件を取りまとめているため、製品を選択する際にご参照ください。
保管・持ち運びなどのポイント
クマ撃退スプレーは刺激物質を含むため、取扱いには注意が必要です。適切に保管・持ち運びをしなければ、いざ使用する際に正しく作動しなかったり、自身や周囲の人に被害が生じたりする可能性もあるため、以下のような点に注意しましょう。
- 安全装置は必要なとき以外は外さない、外した後はつけ直す
- 高温になる場所に置かない
- こどもの手の届く場所に置かない
- 必要なとき以外は持ち歩かない、人の多い場所では取り出さない
- 航空機に持ち込むことはできない
- 中身をカラにしてから、自治体のルールに従って捨てる
- 皮膚や目に付着したら大量の水で洗い流す
使用する際のポイント
クマ撃退スプレーを使用するのはクマが目の前にいる状況です。そのため、冷静な行動や判断をすることは非常に難しいと考えられます。以下の点も踏まえ、事前に操作方法などの確認や、実際の使用場面をイメージした操作練習をしておき、いざ使用する際には素早く、適切に使用することが重要です。
- 取扱説明書を確認し、取扱説明書の内容に沿って使用する
- 使用期限や有効期限の切れていない製品を使用する
- 1~3秒程度の噴射が複数回できるよう、原則、使いかけを使用しない
- すぐに取り出して噴射できるように身に着ける
- スプレーの噴射距離を考慮しながら、5~10m程度クマとの距離を置いた状態で噴射する
- 使用者自らがスプレーを浴びないよう、原則として、クマよりも風上から使用する。風下では極力使用しない
- クマの顔面(目、鼻)を狙って噴射する
- 冬の低温時にはガス圧が低下し、噴射距離が短くなることに留意する
- 事前にクマとの距離のイメージトレーニングや動画を見るなどして、操作方法の確認や噴射の練習を行う(練習用スプレーなどによる実射を推奨)
- 人、テントや荷物などに吹きかけない
なお、クマに出会わないための行動を心掛けることが、人身被害防止の第一歩です。
消費者庁公表資料
参考
- 環境省 「クマに関する各種情報・取組」
- 環境省 「国民向けのクマに関する情報」
- 環境省自然環境局 令和8年8月「クマ撃退スプレーの性能に係る推奨要件」
- 環境省自然環境局野生生物課鳥獣保護管理室 令和8年3月「-クマによる人身被害事例から- クマに出会わないためにできることや出会ってしまった時の対処について」
参考動画・参考ポスター
担当:消費者安全課