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リチウムイオン電池使用製品のトリセツ ― 暖をとる製品にもリチウムイオン電池が使われています! ―

令和6年10月から令和7年1月まで、経済協力開発機構(OECD)の加盟国において、リチウムイオン電池の安全性に関する国際共同啓発キャンペーンを実施しています 。
リチウムイオン電池は、スマートフォン、ノートパソコン、モバイルバッテリー、電動アシスト自転車をはじめとして様々な製品に使われており、今や我々の生活に欠かせない製品のエネルギー源となっています。また、これからの寒い時期に使われる暖をとるための製品(電熱ウェア、充電式カイロ等)にも、リチウムイオン電池が使われていることがあります。
しかし、リチウムイオン電池は熱や衝撃に弱いといった性質があり、その取扱いを誤ると、発煙・発火・過熱に伴う火災事故等が起こる場合があります。
今回は、消費者庁に寄せられたそれらの事故事例を紹介しつつ、リチウムイオン電池使用製品の取扱いに関する注意ポイントをお伝えします。

左:男性のポケットの中で、モバイルバッテリーが発火している様子。:中:OECD啓発キャンペーン共通イラスト「リチウムイオン電池は日常の様々な製品に使われています。しかし、過熱による火災の危険性も!」:右:女性が就寝中に枕元で充電していたモバイルバッテリーから発煙している様子。

暖がとれる製品での事故情報について

事故情報データバンクには、「リチウムイオン電池を使用して暖がとれる製品」での事故情報が、2014年4月から2024年9月までに68件登録されており、2020年度以降、増加傾向にあります。

左:電熱ウェアと電熱グローブのイラスト:右:電熱ウェアと充電式カイロのイラスト
  1. 商品分類別の事故情報
    登録された68件を商品分類別に見ると、電熱ウェア等(電熱ベスト・ジャケット等)での事故情報が35件(51.5%)と約半数を占め、電熱グローブ等が15件(22.1%)、電気ブランケット・電気毛布等が7件(10.3%)と続いています。
  2. リチウムイオン電池に起因すると考えられる事故情報
    登録された68件のうち、リチウムイオン電池に起因すると考えられる事故情報は32件となっており、それらの事故内容の内訳を見ると、発煙・発火・過熱が18件(56.3%)と最も多く、次いで火災事故が9件(28.1%)となっています。
    また、事故発生時の状況を見ると、使用中の事故が13件(40.6%)と最も多く、次いで充電中が11件(34.4%)となっています。

事故事例

  • 電熱ベスト着用中、バッテリーが異常に熱くなったためベストを脱いだところ、バッテリーが溶けていた。
  • ネット通販で購入した電熱手袋のバッテリーを充電中、バッテリー付近から発火した。全ての電池セルが確認できなかったため、原因は特定できなかったが、バッテリーから出火した可能性が考えられる。
  • デジタルプラットフォーマーに出品している外国の店から充電式カイロを購入した。充電後、不思議な臭いがしたものの、外出のため洋服のポケットに入れて使用していたところ発煙した。慌てて取り出したため道路に落ち、発火して溶けた。
  • 大手ショッピングサイトで購入した電熱インソールを、スイッチを切ったまま使用していたところ、急に熱くなって発煙した。熱で靴と靴下が溶け、やけどにより救急搬送された。

リチウムイオン電池使用製品を取り扱うときの注意ポイント

熱や衝撃に弱いなどのリチウムイオン電池の性質上、リチウムイオン電池を使用した製品では、取扱いを誤ると、発煙・発火・過熱に伴う火災事故等の原因となる場合があります。火災事故等が発生する危険性を常に認識し、以下の点に注意して安全に使用しましょう。

  1. 取扱説明書に記載の事項など、メーカー等の指示に従いましょう。
  2. リチウムイオン電池使用製品に強い衝撃や圧力を加えないようにしましょう。また、損傷したものや異常が生じたものは絶対に使用しないでください。
  3. 充電は、なるべく製品の様子が確認できる時間と安全な場所で行い、充電が完了したらプラグを抜きましょう。また、充電コネクタの破損や異物の付着にも注意しましょう。
  4. 製品に推奨されている充電器やリチウムイオンバッテリーを使用しましょう。改造されたものは絶対に使用しないでください。
  5. 製品を安全な場所で使用・保管しましょう。
  6. 購入前に製品の安全性を考えましょう。
  7. 製品のリコール情報を確認しましょう。
  8. リチウムイオン電池は、正しくリサイクル・廃棄しましょう。
  9. 公共交通機関での事故を避けるため、持込規則を確認して、それに従いましょう。

消費者庁公表資料

過去の公表資料

参考

(独)国民生活センター公表資料

(独)製品評価技術基盤機構(NITE)公表資料

東京消防庁

関係団体等啓発資料

担当:消費者安全課