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第2部 第2章 第2節 2.環境の保全に資する消費者と事業者との連携・協働

第2部 消費者政策の実施の状況

第2章 消費者政策の実施の状況の詳細

第2節 消費者による公正かつ持続可能な社会への参画等を通じた経済・社会構造の変革の促進

2.環境の保全に資する消費者と事業者との連携・協働

(1)脱炭素社会づくりに向けたライフスタイルの変革

 カーボンニュートラル実現に向けて国民のライフスタイル変革を強力に後押しするため、2022年10月に「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」を開始しました。国民運動と同時に発足した官民連携協議会に参画する地方公共団体、企業、団体等とも連携しながら、国民・消費者の豊かな暮らし創りを後押しするとともに、国内での新たな消費・行動の喚起とグローバルな市場創出等も推進していきます。

 新しい国民運動の個別アクションの第一弾として、「ファッション」、「住まい」、「デジタルワーク」による、新しい豊かな暮らしを提案しました。特に、「住まい」では、国土交通省、経済産業省及び環境省が連携して、住宅の省エネリフォーム等に関する補助制度をワンストップで利用可能としています。これらも通じて、住宅の省エネ化の一層の推進を図るとともに、健康で快適な暮らしの実現にもつなげていきます。

 食とくらしの「グリーンライフ・ポイント」推進事業では、環境配慮製品・サービスの選択等の消費者の環境配慮行動に対し新たにポイントを発行しようとする企業や地域等に、企画・開発・調整等の費用を補助することで、消費者の環境に優しい行動を後押ししました。

(2)海洋プラスチックごみ削減に向けた国民運動(「プラスチック・スマート」)の推進

 環境省では、世界的な海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて、個人・地方公共団体・NGO・企業・研究機関等幅広い主体が連携協働して「プラスチックとの賢い付き合い方」を進めることを後押しするため、2018年10月に「プラスチック・スマート」を立ち上げました。そうした幅広い主体から、海洋プラスチックごみ問題の解決に貢献する約3,200件の取組が登録されています(2023年3月時点)。

(3)循環型社会形成に向けた情報提供事業・普及啓発事業の実施等

 環境省では、インターネットをよく利用する若い世代を中心に、ごみの減量・資源の有効活用について恒常的に周知徹底を図るため、ウェブサイト「Re-Style(注88)」を運営し、循環型社会に向けた多様な活動等の情報を定期的に更新しています。

 このほか、経済産業省及び関連6省(注89)では3Rに貢献している個人、グループ、学校及び特に貢献の認められる事業所等を表彰する「リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰」(主催:リデュース・リユース・リサイクル推進協議会)を後援し、優れた3Rの取組の普及を支援しています。

 経済産業省では、2022年10月の3R推進月間において、ポスター展示や関係機関の実施するイベント等のPRを行うとともに、「資源循環技術・システム表彰」(主催:一般社団法人産業環境管理協会)に対する後援を通じ、新たな資源循環ビジネスの創出を支援しました。

(4)生物多様性(注90)の保全と持続可能な利用の促進

 環境省では、「昆明・モントリオール生物多様性枠組」や、SDGsの普及、ESG金融の拡大等の動向を踏まえ、個々の事業者によるサプライチェーン等も考慮した自主的な取組の促進を図るとともに、事業者間及び市民を含む多様な主体間の連携・協働を促進しています。

 2022年度には、企業が生物多様性の保全や自然資本の持続的利用を目指す際の参考として、「生物多様性民間参画ガイドライン」の改訂に向けた検討を行いました。

 また、産官学民の連携・協力によって、企業や国民の生物多様性に配慮した具体の行動変容を促進するため、「2030生物多様性枠組実現日本会議(J-GBF)」における各種フォーラム等の開催や「MY行動宣言(注91)」の普及等を通じて、消費者の生物多様性に配慮した商品選択の促進を図っています。

(5)有機農産物を始めとする環境に配慮した食品への理解と関心の増進

 有機農業は、農業の自然循環機能を大きく増進し、かつ農業生産活動に由来する環境への負荷を大幅に低減し、生物多様性の保全等に資するものです。

 農林水産省では、国産の有機食品に対する消費者の需要を喚起するため、2020年9月に小売及び飲食事業者と連携する「国産有機サポーターズ」を立ち上げ、取組事例集の作成やワークショップの開催等の取組を支援するとともに、2022年12月8日の有機農業の日に合わせた国産有機サポーターズの取組等をウェブサイトやSNSで発信するなど、事業者と連携した情報発信を行いました。

 また、みどりの食料システム戦略推進交付金において、農業者のみならず地域の消費者等を巻き込んだ地域ぐるみでの有機農業のモデル産地を創出するため、55の市町村において生産から消費(学校給食やマルシェの開催等)まで一貫した取組を開始しました。

 さらに、有機農業と地域振興を考える自治体ネットワークの活動として、学校給食での有機食品の利用等、有機農業を地域で支える取組事例の共有等を行うため、2022年9月に新潟県佐渡市等の事例等を共有するセミナーを開催しました。

 このほか、未来につながる持続可能な農業推進コンクールを実施し、受賞事例についてウェブサイト等を通じ広報するなど、引き続き有機農業を始めとする環境保全型農業に対する国民の理解を深める取組を行いました。

 加えて、「みどりの食料システム戦略」を踏まえ、農作物の生産段階の温室効果ガスの削減量を簡易に算定するツールを作成し、これを基に環境負荷低減に向けた生産者の努力を消費者に分かりやすく伝える「見える化」の販売実証を開始しました。さらに、消費者庁・農林水産省・環境省共催の「あふの環2030プロジェクト」において、「サステナウィーク」で環境に配慮した消費行動に資する情報の発信を行うとともに、持続可能な取組を表彰する「サステナアワード」を実施しました。また、消費者庁・農林水産省共催の日経SDGsフォーラムでは、持続可能な食料システムの構築に向けた理解醸成のためのシンポジウムを行いました。

(6)各種リサイクル法等の普及啓発

 2022年4月に施行した「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(令和3年法律第60号)の円滑な施行のため、環境省及び経済産業省では、「プラスチックは、えらんで、減らして、リサイクル」と題した特設サイトを開設したほか、政府広報や説明会、制度の解説や支援措置の情報等を活用して情報発信・普及啓発を行いました。

 環境省では、「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」の機運を活用した「アフターメダルプロジェクト」による小型家電リサイクル制度の啓発や、違法な不用品回収業者対策としてポスター、パンフレット等の作成を実施しました。

 経済産業省では、3R政策に関するウェブサイトにおいて、3Rに関する法制度やその動向をまとめた冊子「資源循環ハンドブック2022」を掲載したほか、取組事例や関係法令の紹介、各種調査報告書の提供等を行いました。


  • (注88)https://www.re-style.env.go.jp/
  • (注89)関連6省とは、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省及び環境省のこと。
  • (注90)「生物多様性基本法」(平成20年法律第58号)において「生物の多様性」とは、様々な生態系が存在すること並びに生物の種間及び種内に様々な差異が存在することとされている。
  • (注91)「MY行動宣言」とは、国民一人一人が生物多様性との関わりを自分の生活の中で捉えることができるよう、五つのアクション(たべよう、ふれよう、つたえよう、まもろう、えらぼう)の中から自らの行動を選択して宣言する、生物多様性の普及・啓発に関する取組のこと。

担当:参事官(調査研究・国際担当)