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第2部 第2章 第2節 1.食品ロスの削減等に資する消費者と事業者との連携・協働

第2部 消費者政策の実施の状況

第2章 消費者政策の実施の状況の詳細

第2節 消費者による公正かつ持続可能な社会への参画等を通じた経済・社会構造の変革の促進

1.食品ロスの削減等に資する消費者と事業者との連携・協働

(1)食品ロスの削減の推進に関する法律に基づく施策の推進

 「食品ロス」とは、本来食べられるにもかかわらず廃棄される食品のことを指します。

 国民運動として食品ロスの削減を推進するため、2019年5月に、食品ロス削減推進法が、衆議院、参議院共に全会一致で成立しました(同年10月に施行)。同法の規定に基づき「食品ロス削減推進会議」が設置されるとともに、10月が「食品ロス削減月間」、10月30日が「食品ロス削減の日」とされています。

 食品ロス削減推進会議において、同法の規定に基づく「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」案を作成し、同基本方針は2020年3月に閣議決定されました。

 消費者庁、農林水産省、環境省では、一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会と連携して、全国のコンビニエンスストアにおいて「てまえどり」の呼び掛けを食品ロス削減月間に合わせて実施しました。また、消費者・事業者・地方公共団体等の食品ロス削減に関わる様々な関係者が一堂に会し、関係者の連携強化や食品ロス削減に対する意識向上を図ることを目的として、2022年10月に埼玉県さいたま市において、第6回食品ロス削減全国大会が開催され、関係各省庁もブース出展等を行いました。さらに、全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会と共同で、「『おいしい食べきり』全国共同キャンペーン」を2022年12月から2023年1月にかけて実施しました。外食時の食べきり(「30(さんまる)・10(いちまる)運動(注87)」等)のほか、新型コロナウイルス感染症対策として、テイクアウト等による家庭での食事の機会が増加することも考慮し、家庭での食べきりについても啓発を行いました。

 消費者庁、環境省では、食品ロス削減推進法及び同基本方針に基づき、食品ロス削減の取組を広く国民運動として展開していくことを目的として、消費者等に対し広く普及し、波及効果が期待できる優れた取組を実施した者を表彰する「令和4年度食品ロス削減推進表彰」を実施し、128件の応募から内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)賞1件、環境大臣賞1件を含めた合計10件の受賞を決定しました。

 消費者庁では、「令和4年度『めざせ!食品ロス・ゼロ』川柳コンテスト」を実施し、1万3708件の応募から内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)賞1件、消費者庁長官賞1件、審査委員賞5件の受賞を決定しました。さらに、地域において食品ロス削減を推進する人材を育成するために「食品ロス削減推進サポーター」制度を創設し、2023年3月31日時点では約1,500人をサポーターとして認定しています。

 農林水産省では、納品期限の緩和や賞味期限表示の大括り化に取り組む事業者の実態調査を行い、10月30日を「全国一斉商慣習見直しの日」として、事業者名や取組事例等の公表を行いました。また、食品ロス削減のための消費者理解を促進するため、全国の小売事業者や外食事業者、地方公共団体等が利用可能な啓発資材を提供し、食品ロス削減月間において、「てまえどり」の呼び掛けを含めた消費者啓発活動を推進しました。2023年2月の恵方巻きシーズンには、予約販売等の需要に見合った販売に取り組む小売事業者を公表するとともに、恵方巻きのロス削減に取り組む小売店である旨を消費者にPRするための資材を提供し、消費者に対しても小売事業者の取組への理解を促しました。

 さらに、食品関連事業者を始めとする関係者に食品ロス削減国民運動ロゴマーク「ろすのん」の普及を実施しています(2023年3月31日時点の利用件数は1,309件)。あわせて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響の長期化によって、こども食堂や生活困窮者等へ食品を届きやすくすることが課題となり、こども食堂等へ食品の提供を行っているフードバンクの役割が重要であることから、フードバンクに対して、食品の受入・提供を拡大するために必要となる経費の支援を行いました。さらに、フードバンクの活動強化に向けて、食品提供元の確保等の課題解決に資する専門家派遣やネットワーク強化のサポート等を実施しました。

 環境省では、食品ロスの削減及び食品リサイクルに先進的に取り組む地方公共団体及び事業者等を支援するため、食品廃棄ゼロエリア創出モデル事業、mottECO導入モデル事業、食品リサイクル推進・食品ロス削減モデル事業及び学校給食における食品リサイクル推進・食品ロス削減モデル事業を実施しました。

 また、他の地方公共団体担当者が同様の取組をする際に参考となる事例を取りまとめた「自治体職員向け食品ロス削減のための取組マニュアル」2022年10月の更新版では、新たに三つの地方公共団体における事例を追加しました。

 このほか、教育現場における食品ロス削減に関する取組についての事例を取りまとめた「自治体職員のための学校給食の食べ残しを減らす事業の始め方マニュアル」2022年3月の更新版では、新たに二つの地方公共団体における事例を追加しました。

(2)食育の推進

 「食育基本法」(平成17年法律第63号)及び「第4次食育推進基本計画」(2021年3月食育推進会議決定)に基づき、関係府省庁等が連携しつつ、家庭、学校、地域等において国民運動として食育を推進してきました。「第4次食育推進基本計画」では、国民の健康や食を取り巻く環境の変化、社会のデジタル化等、食育をめぐる状況を踏まえ、①生涯を通じた心身の健康を支える食育の推進、②持続可能な食を支える食育の推進、③「新たな日常」やデジタル化に対応した食育の推進の三つに重点を置いた取組を行うことが定められており、食育の取組においても、SDGsの考え方を踏まえて推進する必要があるとされています。

 農林水産省では、「第4次食育推進基本計画」に掲げられた目標のうち農林水産省関連の目標達成に向けて、地域の関係者が連携して取り組む食育活動を重点的かつ効率的に推進しています。地域の実情に応じた食育活動や消費者のニーズに対応したモデル的な食育活動に対する支援を通じて、「日本型食生活」の実践を促す取組のほか、農林漁業体験を通じて食や農林水産業への理解を深める教育ファームの活動についての情報提供等を行っています。

 文部科学省では、父母その他の保護者や教育、保育に携わる関係者等の意識の向上を図るとともに、相互の密接な連携の下、家庭、学校、保育所、地域社会等の場で子供が楽しく食について学ぶことができるような取組が積極的になされるよう施策を講じています。


  • (注87)宴会時の食べ残しを減らすため乾杯後の30分間とお開き前の10分間は席について料理を楽しもうという運動。長野県で始まり、各地方公共団体で工夫し展開されている。

担当:参事官(調査研究・国際担当)