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第2部 第1章 第6節 (2)消費者庁新未来創造戦略本部の役割と取組

第2部 消費者政策の実施の状況

第1章 消費者庁の主な消費者政策

第6節 消費者行政を推進するための体制整備

(2)消費者庁新未来創造戦略本部の役割と取組

消費者庁新未来創造戦略本部の設置経緯と役割

 消費者庁は、実証に基づいた政策の分析・研究機能をベースとした消費者行政の発展・創造の拠点として、徳島に新未来創造オフィスを2017年7月に設置し、徳島県を実証フィールドとした分析・研究プロジェクト等を実施してきました。新未来創造オフィスにおける約3年間の取組の成果を踏まえ、消費者行政の発展・創造のためにふさわしい機能と規模を備えた新たな恒常的拠点として、消費者庁は2020年7月に新未来創造戦略本部を徳島県に開設しました(図表Ⅱ-1-6-2)。新未来創造戦略本部は、全国展開を見据えたモデルプロジェクトの拠点、消費者政策の研究拠点とするほか、新たな国際業務の拠点としても位置付けられています。

 新未来創造戦略本部は、2022年7月に開設から2年を迎え、①日本全国へ、②グローバル、③官民連携の三つを重点に据えて、その推進に向けた様々な施策に取り組んでいます。

重点① 日本全国へ:全国展開を見据えたモデルプロジェクトの推進

 新未来創造戦略本部では、徳島県等の実証フィールドを活用した先駆的な取組の試行や施策効果の検証を通じて、全国での施策の展開を見据えたモデルプロジェクトを実施しています。

 例えば、急速に進展するデジタル化への対応として、SNSを活用した消費生活相談の実証実験を行いました。この取組は、2019年度に徳島県内で開始され、その実証フィールドを順次拡大し、4年目となる2022年度には全国を実証地域としました。また、食品ロス削減の普及啓発に関するモデルプロジェクトでは、10月の「食品ロス削減月間」に合わせてスーパーマーケット等の流通店舗にデスクマット型のポスターを配布し、効果的な普及啓発方法について検証を行いました。同ポスターを配布する流通エリア及び店舗数は、2020年度は徳島県内の約20店舗、2021年度は中国・四国エリアの約260店舗、2022年度は全国の約3,000店舗へと順次拡大し、その取組を全国規模に広げました。

重点② グローバル:国際的な取組の推進

 2019年9月に徳島県で、38か国・地域の参加を得て開催したG20消費者政策国際会合をレガシーとし、新未来創造戦略本部では、海外の研究者等との国際共同研究や政策研究を基点とした国際交流を行っていくことに加えて、国際シンポジウム等を実施しています(第2部第2章第3節参照。)。

 2023年2月及び3月には、新未来創造戦略本部の職員が、ヨーロッパを往訪し、現地の消費者行政関係者や研究者等と意見交換や連携に向けた協議を行いました。こうした国際交流を通じて、諸外国における消費者政策の情勢を把握するとともに、消費者庁の取組を世界に発信していくことも目指しています。

重点③ 官民連携:「新未来ビジョン・フォーラム」の立ち上げ

 新未来創造戦略本部では、2022年11月に官民連携の新たなネットワークである「新未来ビジョン・フォーラム」を立ち上げました。同フォーラムは、消費生活の未来に関する優れた調査研究を行っている民間シンクタンクや大学等における専門家と、様々な調査研究に関する情報交換等を図るものです。新未来創造戦略本部では、同フォーラムにおける情報交換等を通じて、消費生活に関する未来のビジョンを見据えつつ、未来の消費生活をより良いものとしていくことに資するための取組を進めていく予定です。2023年1月に第1回、同年3月に第2回の情報交換会を開催しました。

消費者政策における研究の推進

 上述の三つの重点のほか、消費者政策の中核的な研究部門として、新未来創造戦略本部に設置した国際消費者政策研究センターにおいても、様々な研究に取り組んでいます。同研究センターでは、消費者法、行動経済学、社会心理学、データサイエンス等の研究分野の専門家の協力を得て、理論的・実証的な消費者政策研究プロジェクトを推進しており、2022年度には、「新型コロナウイルス感染拡大の影響による消費行動の変化等に関する研究」、「高齢者の認知機能障害に応じた消費者トラブルと対応策の検討に関する研究」、「デジタル社会における消費者法制の比較法研究」等に取り組みました。

新未来創造戦略本部
URL:https://www.caa.go.jp/policies/future/

図表2-1-6-2消費者庁新未来創造戦略本部の組織と取組

担当:参事官(調査研究・国際担当)