文字サイズ
標準
メニュー

第2部 第1章 第2節 (4)消費者の紛争解決のための枠組みの整備

第2部 消費者政策の実施の状況

第1章 消費者庁の主な消費者政策

第2節 消費者被害の防止

(4)消費者の紛争解決のための枠組みの整備

消費者団体訴訟制度の運用

 消費者団体訴訟制度とは、内閣総理大臣の認定を受けた消費者団体が、①消費者被害の未然防止や拡大防止のため、事業者に対して不当な行為をやめること等を求めること(差止請求)や、②相当多数の消費者に代わって、訴訟を通じて事業者に対して消費者被害の集団的な回復を求めること(被害回復)ができる制度です。

 消費者契約法において、消費者被害の未然防止・拡大防止の実効性を確保するため、「適格消費者団体(注31)」が事業者の不当な行為に対して差止請求権を行使できる制度が2007年に創設されました。適格消費者団体の差止請求権は、その後景品表示法、特定商取引法及び食品表示法に規定され、行使できる対象が拡大されています。適格消費者団体による差止請求は、制度の運用開始から2023年3月31日までの間に966件行われ、うち85件の差止請求訴訟が提起されています。

 また、訴訟を通じて消費者被害を集団的に回復するため、消費者裁判手続特例法が2016年10月に施行され、「特定適格消費者団体(注32)」が被害回復裁判手続を行い、事業者から被害金額を取り戻すことができるようになりました。消費者裁判手続特例法では、二段階の手続(共通義務確認訴訟・簡易確定手続等)により消費者被害の回復が図られることが特徴です。2023年3月31日時点で、当該手続を通じて被害回復が実現したものが2件あり、手続が進行中のものが2件あります。

【KPI】
消費者の消費者団体訴訟制度についての認知度
(目標)2024年度までに40%
【進捗】2022年度:17.9%

消費者裁判手続特例法の改正及び施行に向けた取組

 消費者庁では、2021年3月から行われた「消費者裁判手続特例法等に関する検討会」の報告書等を踏まえ、第208回国会に、「消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の一部を改正する法律案」が提出され、同改正法案は同国会において可決・成立しました。

 同改正法は、一定の要件の下で、慰謝料を消費者団体訴訟制度(被害回復)の対象となる損害に追加する、事業者以外の個人を被告に追加するといった対象範囲の拡大がなされるとともに、和解の早期柔軟化や特定適格消費者団体を支援する法人(消費者団体訴訟等支援法人)の認定制度の導入等を内容とするもので、2023年10月1日から施行されます。また、施行に伴う関係政令・内閣府令の整備等を行いました(図表Ⅱ-1-2-8)。

消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の一部を改正する法律(令和4年法律第59号)(消費者裁判手続特例法関係)等について
URL:https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/consumer_court_proceedings/amendment_2022/

図表2-1-2-8消費者裁判手続特例法の改正


  • (注31)2023年3月31日時点で、適格消費者団体は全国で23団体が認定されている。
  • (注32)2023年3月31日時点で、特定適格消費者団体は全国で4団体が認定されている。

担当:参事官(調査研究・国際担当)