第1部 第2章 第1節 (3)高齢者の意識
第1部 消費者問題の動向と消費者の意識・行動
第2章 【特集】高齢者の消費と消費者市民社会の実現に向けた取組
第1節 高齢者を取り巻く環境と意識
(3)高齢者の意識
■高齢者の日常生活に関する意識
高齢者の約6割は現在の生活に満足し、約5割が生活の程度は「中の中」と捉えている
「消費者意識基本調査」(2022年度)で、「現在の生活にどの程度満足しているか」を聞いたところ、「満足」(「満足している」又は「どちらかといえば満足している」の計)と回答した人の割合は、65歳から74歳までが58.3%、75歳以上が63.8%であり、高齢者の約6割が「満足」と回答しました。この結果は全体と同程度となっています(図表Ⅰ-2-1-15)。
次に、「現在の生活の程度は、世間一般から見てどうか」を聞いたところ、「中の上以上」(「上」又は「中の上」の計)と回答した人の割合は、65歳から74歳までが10.9%、75歳以上が11.5%であり、高齢者は全体の16.0%よりもやや低くなっています(図表Ⅰ-2-1-16)。
「ものは大切に使い続けたい」意識がある高齢者は約8割
次に、ものに対する意識について聞いたところ、「ものは大切に使い続けたい」に「当てはまる」(「とても当てはまる」又は「ある程度当てはまる」の計)と回答した人の割合は、65歳から74歳までが83.2%、75歳以上が84.9%で8割以上の高齢者が「ものは大切に使い続けたい」意識を持っていました。10歳代後半、20歳代の若者よりも「ものは大切に使い続けたい」意識を持っている割合が低いものの、高齢者の多くはそのような意識を持っていることが分かります(図表Ⅰ-2-1-17)。
高齢者は「健康を優先した生活をしたい」と思っている
次に、日々の暮らし方に対する考え方について聞いたところ、「健康を優先した生活をしたい」に「当てはまる」と回答した人の割合は、65歳から74歳までが76.3%、75歳以上が84.1%でした。年齢層が高い方が「当てはまる」と回答した人の割合が高くなる傾向があります(図表Ⅰ-2-1-18)。
高齢者は健康に関連する項目で不安を感じている
「消費者意識基本調査」(2022年度)で、「あなた自身の現在や将来への不安や心配」を聞いたところ、「現在」の「筋力や体力の低下」や「もの忘れ等の認知機能の低下」や「糖尿病やがん等の病気」(以下「健康に関連する項目」という。)に「不安を感じる」(「とても感じる」又は「ある程度感じる」の計)と回答した人の割合は、高齢者は他の年齢層に比べて高くなっています。
「将来」の健康に関連する項目に「不安を感じる」と回答した人の割合は、50歳代又は60歳代で最も高くなっています。一方で、70歳以上の高齢者は60歳代と比べて、「不安を感じる」と回答した人の割合が低くなっています。また、「もの忘れ等の認知機能の低下」と「糖尿病やがん等の病気」に対する不安では、高齢者も含めた全ての年齢層で、「将来」に「不安に感じる」と回答した人の割合が「現在」を大きく上回っています(図表Ⅰ-2-1-19)。
前述したように、高齢者は「健康を優先した生活を送りたい」という意識が高くなっていますが、その背景には、高齢者の健康への不安や心配が関連していると考えられます。
現在の「家計の状況」や「孤独感や孤立感」への不安は、高齢者は他の年齢層と同程度
次に、「現在」の「家計の状況」に「不安を感じる」と回答した人の割合は、20歳代から70歳以上までの各年齢層では6割前後と同程度である一方、「将来」の「家計の状況」に「不安を感じる」と回答した人の割合は、20歳代から60歳代まででは7割から8割程度ですが、70歳以上になると6割程度まで低下しています。
また、「現在」の「孤独感や孤立感」に「不安を感じる」と回答した人の割合は、20歳代から70歳以上までの各年齢層では3割前後と同程度でしたが、「将来」の「孤独感や孤立感」に「不安を感じる」と回答した人の割合は、50歳代から70歳以上までの各年齢層で5割を超えていました(図表Ⅰ-2-1-19)。
担当:参事官(調査研究・国際担当)