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第1部 第1章 第3節 (2)事業活動におけるコンプライアンス向上に向けての自主的な取組の推進

第2部 消費者政策の実施の状況

第1章 消費者庁の主な消費者政策

第3節 消費者による公正かつ持続可能な社会への参画等を通じた経済・社会構造の変革の促進

(2)事業活動におけるコンプライアンス向上に向けての自主的な取組の推進

公益通報者保護法の改正及び施行に向けた取組

 消費者が安全で豊かな消費生活を安心して営むことができる社会を実現していく上で、事業者の不祥事を防止するという観点は重要です。事業者内部の労働者からの通報を正当な行為として、解雇等の不利益な取扱いが行われないよう、労働者を保護する必要があります。

 こうしたことから、公益通報者保護法が2004年に成立し、2006年から施行されています。同法では、労働者がどこへどのような内容の通報を行えば保護されるのかという保護の要件や、公益通報に関して事業者・行政機関が講ずるべき措置等が定められています。同法については、2022年6月から改正法が施行されました。改正法では、事業者に対する内部公益通報対応体制整備の義務付け、公益通報対応業務従事者等に対する守秘義務及び同義務違反に対する罰則の新設、行政機関への公益通報に関する保護要件の緩和、保護対象となる通報者や通報対象事実の範囲の拡大等が行われました。

 消費者庁は、改正法の施行に先立ち、2021年8月に、「公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針」(令和3年内閣府告示第118号)を公表しました。本指針では、内部公益通報対応体制整備義務に関して、事業者がとるべき措置の大要を示しています。また、同年10月に、「公益通報者保護法に基づく指針(令和3年内閣府告示第118号)の解説」を公表しました。本解説では、各事業者が指針に沿った具体的な体制整備を行えるよう、参考となる考え方や想定される具体的な取組事項等を示しています。

 併せて、民間事業者や行政機関等に向けて説明会を開催したほか、公益通報者保護制度について分かりやすく解説した動画を、ウェブサイト上で公開しました。また、インターネットを用いた広報を行うなどの周知啓発活動に引き続き取り組みました(注14)

 加えて、新未来創造戦略本部では、地方公共団体と連携して公益通報者保護制度に基づく体制整備を促進するため、各地方公共団体が有する体制整備のノウハウ等を収集、展開するなど先進的な取組を行いました。その結果、徳島県内市町村、愛媛県及び香川県内市町において内部職員等からの通報窓口及び外部の労働者等からの通報窓口の設置率が100%となったほか、高知県等の市町村における通報窓口の設置率も大幅に向上しました。

【KPI】
労働者の公益通報者保護法の認知度
(目標)2024年度までに、大企業は65%、中小企業は55%
【進捗】2016年度:大企業は46%、中小企業は43%

【KPI】
内部公益通報窓口の設置率
(目標)2024年度までに、市区町村は75%、中小企業は55%
【進捗】2018年度:市区町村は54.8%、2016年度:中小企業は40.2%


担当:参事官(調査研究・国際担当)