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第1部 第1章 第3節 (2)越境取引に関わる消費生活相談

第1部 消費者問題の動向と消費者の意識・行動

第1章 消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果等

第3節 消費生活相談の概況

(2)越境取引に関わる消費生活相談

越境消費者センター(CCJ)の活動

 グローバル化が進む中、消費者がインターネット経由で気軽に海外事業者と取引できるようになったこと等に伴い、海外事業者とのトラブルが発生するようになりました。国民生活センター越境消費者センター(CCJ(注20))は、海外ネットショッピング等、海外の事業者との取引においてトラブルに遭った消費者の相談窓口です。CCJでは、海外の提携消費者相談機関と連携し、海外に所在する相手方事業者に相談内容を伝達するなどして事業者の対応を促し、日本の消費者と海外の事業者のトラブル解決を支援しています。

CCJに寄せられた相談の特徴

 CCJが受け付けた相談件数は、2021年は4,900件であり、前年(4,919件)と同水準でした(図表Ⅰ-1-3-13)。新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を背景として、2020年以降は相談件数が5,000件を下回っており、インターネットサイトでの渡航認証(ESTA(注21))の手数料に関する相談が減少しているなどの影響がみられています。年齢層別にみると、最も高い割合を占めているのは30歳代で、40歳代、20歳代と続きます。一方で、70歳以上の割合は3.6%と低くなっています。

事業者所在国・地域は「米国」、「中国」、「英国」が上位

 CCJが受け付けた相談について事業者所在国・地域別にみると、2021年は米国が644件で最も多く、以下、中国(348件)、英国(293件)、香港(236件)と続きます。上位3か国である米国、中国、英国の占める割合は、近年は20%台で推移しており、2021年は26.2%でした(図表Ⅰ-1-3-14)。

「役務・サービス」、「趣味用品」、「衣類」の割合が高い

 2021年にCCJが受け付けた相談を商品・サービス別にみると、「役務・サービス」が38.8%と最も高い割合を占めており、動画配信や投資(暗号資産(仮想通貨)やFX(外国為替証拠金取引)を含む。)に関する相談等がみられました。

 続いて、「趣味用品」が14.8%と2番目に多く、自動車部品やスポーツ・アウトドア用品、玩具(おもちゃ)や楽器等の商品未着や不良品に関するトラブルがみられました。3番目は「衣類」(12.7%)で、コートや洋服等の商品未着や商品違いに関するトラブルがみられました(図表Ⅰ-1-3-15)。

 一方、「PCソフトウェア」は4.1%と、2019年以降は減少傾向が続いています。


  • (注20)2011年11月、消費者庁において開設、2015年4月から国民生活センターに業務移管。2015年度は移管準備のため4月から5月は相談窓口を閉鎖し、6月から相談受付を開始。なお、2018年3月に相談項目等の見直しを行ったため、2017年以前の相談件数は過去発表の数値と異なる場合がある。
  • (注21)電子渡航認証システム(Electronic System for Travel Authorization)。米国に短期商用・観光等の90日以内の滞在目的で旅行する場合に、米国行きの航空機や船に搭乗する前に受けなければならない、オンラインでの渡航認証。

担当:参事官(調査研究・国際担当)