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第1部 第1章 第3節 (1)2021年の消費生活相談の概況

第1部 消費者問題の動向と消費者の意識・行動

第1章 消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果等

第3節 消費生活相談の概況

(1)2021年の消費生活相談の概況

消費生活相談件数は減少しており、架空請求の相談件数も減少している

 全国の消費生活センター等に寄せられた消費生活相談の件数をみると、2021年は85.2万件であり、前年(94.1万件)を大きく下回りました。架空請求に関する相談件数は、2021年は1.9万件であり、前年(3.4万件)から大きく減少しました(図表Ⅰ-1-3-1)。また、新型コロナウイルス感染症に関連する消費生活相談も、前年より減少しました(第1部第1章第4節参照。)。

 消費生活相談件数の長期的な推移をみると、2004年度に192.0万件とピークに達しました。このとき、架空請求に関する相談件数が67.6万件と急増し、全体の35.2%を占めていました。その後、架空請求に関する相談は減少し、消費生活相談件数の全体も減少傾向でしたが、2008年以降の10年間は年間90万件前後と、依然として高水準で推移し続けました。2018年には、架空請求に関する相談が約26万件に達し、消費生活相談件数は再び100万件を超えました。

 架空請求に関する相談件数の増加を踏まえ策定された「架空請求対策パッケージ」(2018年7月消費者政策会議決定)に基づき、関係府省等は一体となって、架空請求による消費者被害の未然防止・拡大防止を図る対策を講じてきました。その後、架空請求に関する相談件数は2019年に減少に転じ、2021年は、2011年に並ぶ低水準でした。

属性別にみた2021年の相談状況

 2021年の消費生活相談について、属性別にみると、年齢層別では65歳以上の高齢者が契約当事者全体の29.7%を占めています。10歳ごとの区分でみると、2021年は、50歳代が15.1%と最も多く、次いで70歳代(14.3%)、60歳代(13.8%)でした。性別では、女性が49.9%、男性が44.8%と女性の割合が高くなっています(図表Ⅰ-1-3-2)。

 年齢3区分別に消費生活相談割合について過去10年間の推移をみると、65歳以上の高齢者の消費生活相談割合は、3割前後で推移しています(図表Ⅰ-1-3-3)。

消費生活相談1件当たりの平均金額は、前年に比べ増加

 2021年に寄せられた消費生活相談1件当たりの平均金額をみると、全体では、請求された又は契約した金額である「平均契約購入金額」が79.5万円、実際に支払った金額である「平均既支払額」が34.3万円でした。2021年は、「平均契約購入金額」及び「平均既支払額」において、全体と65歳未満は前年と比べて増加しましたが、65歳以上は前年と比べて減少しました。なお、65歳以上の「平均既支払額」は65歳未満の約1.3倍でした(図表Ⅰ-1-3-4)。

 また、消費生活相談全体の契約購入金額及び既支払額それぞれの総額をみると、2021年は、「契約購入金額総額」は3,470億円、「既支払額総額」は1,232億円でした。65歳以上の高齢者は、「契約購入金額総額」では871億円と全体の25.1%を占め、「既支払額総額」では407億円と全体の33.0%を占めており、高齢者の消費者被害は依然として深刻であるといえます(図表Ⅰ-1-3-5)。

商品別分類別では「教養・娯楽サービス」が最も多い

 2021年4月から同年12月までの消費生活相談件数を商品別分類ごとにみると、相談件数が最も多いのは、「教養・娯楽サービス」(アダルト情報や出会い系サイト・アプリ、インターネットゲームや情報配信サービスに関する相談を含む。)でした。2番目は「商品一般」(迷惑メールや不審な電話、覚えのない荷物や架空請求に関する相談を含む。)、3番目は「運輸・通信サービス」(携帯電話サービスや光ファイバーに関する相談を含む。)でした(図表Ⅰ-1-3-6)。

 さらに、商品・サービスを詳細に区分してみると、全体では、迷惑メールや不審な電話、覚えのない荷物や架空請求を含む「商品一般」の相談件数が最多でした。次いで、「不動産貸借」に関する相談件数が多く、賃貸住宅の退去時に原状回復費用として高額な修理費を請求されたという相談がみられました。年齢層別にみると、全ての年齢層で「他の健康食品」が上位にみられており、30歳代以上の各年齢層では「工事・建築」や「インターネット接続回線」、「携帯電話サービス」が上位にみられます(図表Ⅰ-1-3-7)。

高齢者の消費生活相談件数は依然として高水準

 65歳以上の高齢者の消費生活相談について、相談件数が上位の商品・サービスをみると、「商品一般」(迷惑メールや不審な電話、覚えのない荷物や架空請求の相談がみられる。)が最多でした。「商品一般」以外では、「工事・建築」や「携帯電話サービス」が上位にみられます(図表Ⅰ-1-3-7)。また、65歳以上の高齢者の消費生活相談について、過去10年間の推移をみると、2018年に約35.8万件とピークに達し、その後は減少に転じています。2021年は約25.3万件と、前年より約2万件減少しており、架空請求に関する相談の減少等が影響していると考えられます(図表Ⅰ-1-3-8)。

認知症等の高齢者や障害者等の見守りが重要

 認知症等の高齢者(注18)の消費生活相談をみると、高齢者全体とは異なる傾向を示しています。高齢者全体では、本人から相談が寄せられる割合は約8割ですが、認知症等の高齢者では約2割にとどまっています(図表Ⅰ-1-3-9)。認知症等の高齢者は、本人が十分に判断できない状態にあるため、「訪問販売」や「電話勧誘販売」による被害に遭いやすく、事業者に勧められるままに契約したり、買物を重ねたりする場合があります(図表Ⅰ-1-3-11)。特に、「訪問販売」は3割を超えており、具体的な相談事例としては、「高齢独居で認知症気味の母が、訪問販売で屋根工事を勧誘され、断ったにもかかわらず契約をさせられた上に、留守中に工事をされた」といったケースがみられます。認知症等の高齢者本人はトラブルに遭っているという認識が低いため、問題が顕在化しにくい傾向があり、特に周囲の見守りが必要です。

 障害者等(注19)の消費生活相談についても、本人から相談が寄せられる割合は約4割という状況であり、消費生活相談全体では約8割であるのに比べて割合が小さくなっています(図表Ⅰ-1-3-10)。具体的な相談事例としては、「発達障害のある息子が女性から宝石を勧められ、クレジットで購入したが、デート商法だと思う」、「知的障害のある成人の娘がスマートフォンのゲームに課金し高額な請求を受けている」等、判断力の不足や契約内容への理解不足でトラブルになっていると思われるケースがみられます。以上のことからも、認知症等の高齢者や障害者等の消費者トラブルの被害防止には、家族のみならず、近隣住民や福祉事業者、行政機関等が協力して見守っていくことが必要であることが分かります。

販売購入形態別にみた消費生活相談の状況

 販売購入形態別に消費生活相談の割合の変化をみると、全体では、2020年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を背景に「インターネット通販」の割合が増加しましたが、2021年は減少に転じました。一方で、65歳以上の高齢者では、「インターネット通販」の割合は増加を続けています。

 また、65歳以上の高齢者では、全体と比べて、「訪問販売」、「電話勧誘販売」の割合が高くなっています(図表Ⅰ-1-3-11)。

 年齢層別にみると、20歳未満では「インターネット通販」、20歳代では「マルチ取引」、80歳以上では「訪問販売」、「電話勧誘販売」、「インターネット通販以外の通信販売」、「訪問購入」の割合が、他の年齢層に比べて高くなっています(図表Ⅰ-1-3-12)。


  • (注18)トラブルの当事者が65歳以上で、精神障害や知的障害、認知症等の加齢に伴う疾病等、何らかの理由によって十分な判断ができない状態であると消費生活センター等が判断したもの。
  • (注19)トラブルの当事者に心身障害がある又は判断能力が不十分な方々であると消費生活センター等が判断したもの。

担当:参事官(調査研究・国際担当)