序
デジタル化の急速な進展や新型コロナウイルス感染症の感染拡大等、社会環境が変化する中で、消費者の意識や消費行動も変化しています。特に、若者の消費行動は、そうした社会環境の変化が強く反映されている可能性が高く、時代を先取りしたものといえます。
一方、若者は契約関連の知識・経験が十分でないことが少なくなく、2022年4月に民法上の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたこともあって、若者の消費者トラブルの未然防止に取り組む必要性がこれまで以上に高まっています。
また、2015年にSDGsが世界共通の目標として設定されるなど、持続可能な社会を構築していく必要性が世界的に強く認識されるようになっていますが、取組に当たっては、消費者、事業者及び行政の協働が不可欠です。若者は次世代の主役であり、そうした取組への参画を促すとともに、主体的な取組を後押ししていくことは、極めて重要です。
このため、今回の消費者白書では、若者の消費と社会貢献の取組に着目し、「変わる若者の消費と持続可能な社会に向けた取組 ~18歳から大人の新しい時代へ~」を特集テーマとして取り上げました。
同特集では、まず、若者を取り巻く社会環境の変化を踏まえつつ、コミュニケーションの在り方を含む近年の若者の特徴的な意識や行動について分析します。そして、これらを近年増加している消費者トラブルと関連付けて分析し、現在の行政の取組を踏まえて、若者の「消費者トラブルの未然防止」の充実に向けた提案を行います。さらに、若者のSDGs等への関心と実際の取組の状況について分析するとともに、若者による様々な先進的な取組について紹介し、行政による促進策の現状も踏まえて、「持続可能な社会の実現」に向けた消費者行政の在り方を展望します。
特集以外では、消費者安全法の規定に基づく「消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめの結果」の報告及び消費者基本法の規定に基づく「消費者政策の実施の状況」の報告を行っています。
第1部第1章では、年次報告として、消費者安全法の規定に基づいて消費者庁に通知された消費者事故等を始めとした事故情報等や、全国の消費生活センター等に寄せられた消費生活相談に基づく消費者被害・トラブルの状況、消費者被害・トラブル額の推計について示しています。
第2部では、近年の消費者庁の主な施策と、政府が実施してきた2021年度の消費者政策の実施状況の詳細について、消費者基本計画に規定された項目に沿って、消費者行政の各分野の取組をまとめています。このような政策の実施状況を取りまとめることにより、本報告は、消費者基本計画の実施状況の検証・評価(フォローアップ)としての機能も兼ねています。
担当:参事官(調査研究・国際担当)