凡例
1 用語
本報告で用いる用語の定義は、基本的には次のとおりとする。ただし、データの制約や分析目的に応じて異なった定義を用いる場合は、本文中で明記する。
- (1)PIO-NET:独立行政法人国民生活センター(以下「国民生活センター」という。)と全国の消費生活センターや消費生活相談窓口(以下「消費生活センター等」という。)をオンラインネットワークで結んだ「全国消費生活情報ネットワークシステム」(Practical Living Information Online Network System)のこと。2021年4月1日に商品別分類及びキーワード改定を行っているため、一部を除き2021年3月31日以前のデータと時系列での比較はできない。そのため、「消費生活相談の商品別分類別件数」等の一部図表では、2021年4月1日以降のデータを分析している。
本報告で用いるPIO-NETデータ(消費生活相談情報)は、原則として2022年3月31日までに登録された苦情相談で集計している。なお、PIO-NETデータは消費生活センター等での相談受付からデータベースへの登録までに一定の時間を要するため、相談件数データは今後増加する可能性がある。また、全国の消費生活センター等の相談窓口からの「経由相談」は除いて集計している。相談について、性別、年齢層別、職業別、地域別等の属性別に分析を行っているところは、当該相談のきっかけとなった商品・サービスの契約者を基準としている。
PIO-NETに関する用語の説明
(商品・サービス)
用語 | 説明 |
---|---|
商品一般 | 商品の相談であることが明確であるが、分類を特定できない、又は特定する必要のないもの。身に覚えがなく債権の内容も不明な請求に関する相談を含む。 |
他の健康食品 | 「健康食品」のうち、あらかじめ設定された具体的な分類に当てはまらないもの。 |
保健衛生品その他 | 「保健衛生品」のうち、あらかじめ設定された具体的な分類に当てはまらないもの。マスク、人体用冷却シート等を含む。 |
他の娯楽等情報配信サービス | 「娯楽等情報配信サービス」のうち、音楽や映像の配信サービス、アダルト情報以外のもの。副業関連や趣味・娯楽関連の情報商材等を含む。 |
教養・娯楽サービスその他 | 「教養・娯楽サービス」のうち、あらかじめ設定された具体的な分類に当てはまらないもの。 |
ファンド型投資商品 | 運用者が資金を集め、運用し、そこから生じる収益等の配当を出資者に分配するもの。いわゆる集団投資スキームのほかに、預託契約等を含む。 |
金融コンサルティング | 投資顧問やファイナンシャルプランニング、投資情報提供セミナー、投資セミナー等。資産運用のノウハウや、投資で簡単にもうかる方法を教える情報商材を含む。 |
保健・福祉その他 | 「保健・福祉サービス」のうち、あらかじめ設定された具体的な分類に当てはまらないもの。行政機関をかたった新型コロナワクチン接種に関する不審なメールを含む。 |
役務その他サービス | 「他の役務」のうち、あらかじめ設定された具体的な分類に当てはまらないもの。副業サポートやビジネスコンサルティング等のサービスを含む。 |
他の内職・副業 | 「内職・副業」のうち、あらかじめ設定された具体的な分類に当てはまらないもの。アフィリエイト・ドロップシッピング内職等を含む。 |
(販売方法・手口)
用語 | 説明 |
---|---|
インターネット通販 | オンラインショッピング等、インターネット等のネットワークを利用して行われる取引。ここでは、出会い系サイト等の有料サイト等のサービスも含めてインターネット通販としている。 |
電話勧誘販売 | 販売業者が消費者に電話をかけ、又は特定のやり方で電話をかけさせ、その電話における勧誘により、郵便等で契約を締結する販売方法のこと。 |
訪問購入 | 購入業者が、消費者の自宅等、営業所等以外の場所において、売買契約の申込みを受け、又は売買契約を締結して物品等を購入する方法。 |
ネガティブ・オプション (送り付け商法) |
契約を結んでいないのに商品を勝手に送り付け、商品を受領したことで、支払義務があると消費者に勘違いさせて代金を支払わせようとする手口。身に覚えのない商品が届き、商品と一緒に請求書が同封されているなどの手口。 |
マルチ取引 | 商品・サービスを契約して、次は自分が買い手を探し、買い手が増えるごとにマージンが入る取引形態。買い手が次にその販売組織の売り手となり、組織が拡大していく。 |
架空請求 | 身に覚えのない代金の請求。 |
サイドビジネス商法 | 「内職・副業(サイドビジネス)になる」、「脱サラできる」等をセールストークにした手口。 |
クレ・サラ強要商法 | 売買契約の際に無理やりサラ金等から借金をさせたりクレジット契約を組ませたりする商法。 |
デート商法 | 恋愛感情を利用し、それにつけ込んで、アクセサリー等の高額な商品を買わせる商法。 |
情報商材 | 副業、投資やギャンブル等で高収入を得るためのノウハウ等と称して販売されている情報。 |
- (2)消費者事故等:消費者安全法第2条第5項で定義される事故及び事態。事業者が供給する商品・サービスについて、消費者の使用・利用に伴って生じた生命や身体に影響する事故、虚偽・誇大広告その他の消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するような行為が事業者により行われた事態やそのおそれがあるもの。
- (3)生命身体事故等:消費者事故等のうち、生命や身体に影響する事故及びそのおそれがあるもの。
- (4)財産に関する事態:消費者事故等のうち、生命・身体事案を除いたもの。虚偽・誇大広告その他の消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するような行為が事業者により行われた事態及びそのおそれがあるもの(本文中では「財産事案」と表記。)。
- (5)重大事故等:生命身体事故等のうち、死亡や30日以上の治療を要するけが等、被害が重大であった事案やそのおそれがあるもの。
- (6)CCJ:国民生活センター越境消費者センター(Cross-border Consumer center Japan)の略称。越境取引における日本の消費者と海外の事業者、海外の消費者と日本の事業者との間の取引において発生したトラブルの解決支援を行っている。
- (7)新未来創造戦略本部:消費者庁新未来創造戦略本部の略称。新未来創造戦略本部は、2017年に開設された消費者行政新未来創造オフィスの成果を踏まえ、全国展開を見据えたモデルプロジェクトや消費者政策の研究、国際業務等の拠点として2020年7月30日、徳島県に開設された。
2 年号表記
本報告は、閣議決定を経て国会に提出する年次報告であり、表題は元号表記となっているが、本文中では、経済活動において西暦表記が用いられることが多いこと、海外データとの比較が必要となる部分もあること、グラフにおいては西暦表記の方がなじみやすいと考えられることから、原則として西暦表記を用いている。
3 法令名の略称
本報告で用いる主な法令の名称及び番号は次のとおりである。また、特に断りがない限り、基本的に以下の略称を用いる。
法令名 | 略称 | 番号 |
---|---|---|
食品衛生法 | 昭和22年法律第233号 | |
金融商品取引法 | 昭和23年法律第25号 | |
公職選挙法 | 昭和25年法律第100号 | |
日本農林規格等に関する法律 | JAS法 | 昭和25年法律第175号 |
旅行業法 | 昭和27年法律第239号 | |
出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律 | 出資法 | 昭和29年法律第195号 |
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 | 医薬品医療機器等法 | 昭和35年法律第145号 |
割賦販売法 | 昭和36年法律第159号 | |
家庭用品品質表示法 | 昭和37年法律第104号 | |
不当景品類及び不当表示防止法 | 景品表示法 | 昭和37年法律第134号 |
消費者基本法(消費者保護基本法) | 昭和43年法律第78号 | |
消費生活用製品安全法 | 昭和48年法律第31号 | |
有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律 | 家庭用品規制法 | 昭和48年法律第112号 |
国民生活安定緊急措置法 | 昭和48年法律第121号 | |
特定商取引に関する法律 | 特定商取引法 | 昭和51年法律第57号 |
貸金業法 | 昭和58年法律第32号 | |
預託等取引に関する法律(特定商品等の預託等取引契約に関する法律) | 預託法 | 昭和61年法律第62号 |
製造物責任法 | PL法 | 平成6年法律第85号 |
住宅の品質確保の促進等に関する法律 | 住宅品確法 | 平成11年法律第81号 |
消費者契約法 | 平成12年法律第61号 | |
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律 | 特定電子メール法 | 平成14年法律第26号 |
健康増進法 | 平成14年法律第103号 | |
独立行政法人国民生活センター法 | 国民生活センター法 | 平成14年法律第123号 |
食品安全基本法 | 平成15年法律第48号 | |
個人情報の保護に関する法律 | 個人情報保護法 | 平成15年法律第57号 |
公益通報者保護法 | 平成16年法律第122号 | |
米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律 | 米トレーサビリティ法 | 平成21年法律第26号 |
消費者庁及び消費者委員会設置法 | 平成21年法律第48号 | |
消費者安全法 | 平成21年法律第50号 | |
消費者教育の推進に関する法律 | 消費者教育推進法 | 平成24年法律第61号 |
食品表示法 | 平成25年法律第70号 | |
消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律 | 消費者裁判手続特例法 | 平成25年法律第96号 |
特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律 | チケット不正転売禁止法 | 平成30年法律第103号 |
食品ロスの削減の推進に関する法律 | 食品ロス削減推進法 | 令和元年法律第19号 |
取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律 | 取引DPF消費者保護法 | 令和3年法律第32号 |
4 調査
主として使用している調査の概要は次のとおりである。
なお、調査結果におけるNは質問に対する回答者数。
また、複数回答ができる質問では回答数の合計を回答者数(母集団も標本サイズも「N」とする。)で割った比率は通常100%を超える。
- (1)消費者意識基本調査
日頃の消費生活での意識や行動、消費者事故・トラブルの経験等を聞き、消費者問題の現状や求められる政策ニーズ等を把握するために、消費者庁が毎年度実施している調査。2021年度の概要は次のとおり。- ア 調査項目
生活全般や消費生活における意識や行動、SNSの利用、SDGsやエシカル消費に関する意識や取組、消費者事故・トラブル、消費生活相談に関する認知度、消費者契約法に関する認知度 - イ 調査対象
(ア)母集団:全国の満15歳以上の日本国籍を有する者
(イ)標本数:10,000人
(ウ)抽出方法:層化2段無作為抽出法 - ウ 調査期間
2021年11月11日~23日 - エ 調査方法
郵送配布・郵送回収(Web回答併用) - オ 有効回収数(率)
5,493人(54.9%)
- ア 調査項目
- (2)地方消費者行政の現況調査
地方公共団体における消費者行政の現況を把握することを目的に、消費者庁(2008年度以前は内閣府)が毎年実施している調査。概要は次のとおり。- ア 主要調査項目
地方公共団体における消費者行政を担当する組織、職員配置、予算、事業の動向等。 - イ 調査時点
各年4月1日現在(直近の調査は、2021年4月1日現在)
- ア 主要調査項目
5 その他
- (1)本報告で引用している統計及び調査結果については、原則として2022年3月31日公表までのデータに基づいている。
なお、これらの結果は確定値のほか、速報値(暫定値、推計値)等を含む場合がある。
- (2)URLの表記は、本報告作成時点のものである。
- (3)単位の繰上げは、原則として四捨五入による。単位の繰上げにより、内訳の数値の合計と、合計欄の数値が一致しないことがある。
- (4)構成比(%)についても、単位の繰上げのため合計が100とならない場合がある。
- (5)原典が外国語で記されている資料の一部については、消費者庁仮訳が含まれる。
- (6)本報告に掲載している文章、図表を引用する際は、公正な慣行に合致し、かつ、引用の目的上正当な範囲内で行うようにするとともに、必ず「令和4年版消費者白書」から引用した旨及び当該文章又は図表の掲載されている本報告のページ数を記載すること。
- (7)本報告に掲載している図表のうち、消費者意識基本調査にて作成されたものにおける「10歳代後半」とは、15歳から19歳までである。
- (8)本報告に掲載している図表のうち、消費者意識基本調査にて作成されたものにおける「全体」とは、10歳代後半から70歳代以上の全データの平均値である。
- (9)本報告に掲載しているKPIは、代表的な指標の抜粋であり、全てのKPI指標を網羅しているものではない。
担当:参事官(調査研究・国際担当)