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第2部 第2章 第3節 1.「新しい生活様式」の実践や災害時に係る消費者問題への対応

第2部 消費者政策の実施の状況

第1章 消費者庁における主な消費者政策

第3節 「新しい生活様式」の実践その他多様な課題への機動的・集中的な対応

1.「新しい生活様式」の実践や災害時に係る消費者問題への対応

(1)デジタル・プラットフォームを介した取引における消費者利益の確保

 消費者庁では、デジタル・プラットフォーム事業者の取引の場の提供者としての役割や、デジタル・プラットフォーム事業者から消費者に対する情報提供の在り方等について議論するため、2019年12月から消費者庁にて「デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会」を開催し検討を進めました。「プラットフォームが介在する取引の在り方に関する提言 —オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会報告書を受けて—」(2019年4月消費者委員会)や成長戦略フォローアップ(令和元年6月閣議決定)等も踏まえ、関係府省庁等との連携の下で、不適切な取引の防止やより安全な取引の促進など消費者利益の確保の観点から、イノベーションを阻害しないよう留意しつつ、新たな法的枠組みに関する検討を行い、2020年8月に論点を整理し、2021年1月に報告書を取りまとめました。同年3月5日には、「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案」が閣議決定され、国会に提出されました(注74)

 内閣官房では、デジタル市場競争会議及び同会議ワーキンググループにおいて、個人情報等の取得・利用に対する懸念、データの集中による寡占化がもたらす競争への悪影響の懸念を踏まえ、デジタル広告市場(関連する検索やSNS等を含む。)について評価を開始しました。2020年6月に公表した「デジタル広告市場の競争評価 中間報告」において、競争政策的観点からの課題に加え、消費者の視点からも、デジタル広告市場におけるパーソナル・データの取得・利用に係る懸念として、本人への説明やそれを前提とする本人同意が実効的に機能しているかという課題や、消費者の認知限界を踏まえれば事業者側に適切な配慮や取扱いを求めることが必要ではないかといった課題について、対応の方向性も含め、中間的な整理を行いました。

 また、2021年4月に最終報告を取りまとめ、課題解決のアプローチなどの対応の方向性を整理し、公表しました。(2020年度においては、デジタル市場競争会議を1回、同会議ヒアリング会合を1回、同会議ワーキンググループを11回開催。)

(2)「新しい生活様式」におけるデジタル化に対応した消費者教育・普及啓発の推進

 社会のデジタル化に伴い発生している新たな消費者問題に対応するための消費者教育の推進に関し、2020年10月に、消費者教育推進会議の下に、「社会のデジタル化に対応した消費者教育に関する分科会」を設置し、同分科会を5回開催しました。

 また、消費者庁では、2020年11月から「消費者保護のための啓発用デジタル教材開発に向けた有識者会議」を開催し、2021年3月、同会議での議論を基に、高等学校・大学等の授業で活用しやすい様式・素材による、デジタル取引・サービスに関連する最近の消費者トラブルに共通した特徴を具体的事例と共に学べる啓発資料を作成し、公表しました。現在、アクティブラーニングの考え方を取り入れ、e-ラーニングやオンライン授業にも対応した啓発用教材の作成に向けた議論を行っています。

 このほか、LINE公式アカウント「消費者庁 新型コロナ関連消費者向け情報」の開設や、PRプラットフォームサービスを活用した幅広いウェブメディア等を通じた情報発信など、デジタル技術を活用したプッシュ型情報発信を2020年度に開始しました。

(3)新型コロナウイルス感染症の感染拡大等の緊急時における対応の強化

 2020年初頭の新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、日常の消費生活に大きな影響が生じました。例えば、マスクの需要が急増する中、インターネットにおけるマスクの高額転売や、食料品等の買いだめ、消費者につけ込む悪質商法等が発生しました。また、個人等が誤った風説を流すことに伴い、正しい情報や実態と齟齬(そご)のある消費行動もみられました。

 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う相談体制の変更等を行った市町村に対し、消費者ホットライン188の接続先を都道府県の消費生活センター等に変更するなどの対応を行ったほか、2020年5月1日から「新型コロナウイルス給付金関連消費者ホットライン」(同年9月15日終了)、2021年2月15日から「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」を開設し、消費生活相談の機能の維持・強化に向けて対応を行いました。このほか、地方消費者行政のための交付金等を通じて、平時を始め、新型コロナウイルス感染症拡大・災害など緊急時においても消費生活相談体制が維持できるよう地方公共団体の取組を支援しました。

 新型コロナウイルス感染症に対する効果を標ぼうする健康食品、空間除菌商品等について、一般消費者向けに注意喚起を行うとともに、景品表示法及び健康増進法に基づき事業者向けに改善要請、指導及び措置命令を行うなど、積極的に不当表示に関する執行業務に取り組みました(具体的には第1部第2章第6節(2)参照。)。

 冷静な購買活動等の呼び掛けも行っており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急事態宣言の発出直後、一部店舗で食料品等の買いだめが発生したことから、消費者庁、農林水産省及び経済産業省の連名で、過度な買いだめや買い急ぎをしないよう落ち着いた行動の呼び掛けを実施しました。また、同様に連名で、買物時や外食時における「密」の回避等のお願いや他者の感染防止への配慮等について周知しました。また、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大し、マスクやアルコール消毒製品等が品薄となる中、インターネット上での高額転売が続いたことから、厚生労働省、経済産業省及び財務省と連携して、国民生活安定緊急措置法に基づき、2020年3月にマスク、同年5月にアルコール消毒製品について、購入価格を超える価格での転売を禁止しました。いずれの物資も需給のひっ迫が改善したことから、同年8月に当該規制を解除しました。解除後も引き続き食料品、生活必需品等の需給の状況を注視し、必要に応じて関係省庁と連携して対応しました。

 加えて、消費者被害の状況を踏まえ、行政機関等のなりすまし、身に覚えのない商品の送り付け、インターネット通販トラブル、SNSを通じた悪質商法トラブル等について、複数回にわたり注意喚起を行っており、2021年2月から3月にかけて、「消費者被害防止キャンペーン」を実施し、テレビCM、新聞等広告、ウェブサイト、オンラインセミナー等を通じた注意喚起を実施しました。

 その他、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大が国内外の食料品のサプライチェーンに深刻な影響を及ぼしつつあることを受け、2020年4月、農林水産省及び厚生労働省と連携し、食品表示規制を弾力的に運用する旨及び米トレーサビリティ法第8条の規定を弾力的に運用する旨を関係機関に通知しました。

 消費者教育推進会議においては、「緊急時における消費者行動について」(2021年1月)が取りまとめられ、緊急時における消費者教育を中心として必要と考えられる対応が整理されました。さらに、新型コロナウイルス感染症拡大時に消費者の行き過ぎた言動がみられたこと等も踏まえ、消費者庁ウェブサイトにおいて、消費者が意見を伝える際のポイント等を記載した啓発チラシや有識者コラムを掲載するとともに、SNSによる情報発信を実施しました。

 また、新たな日常が模索される中で、利用が増加している通信販売における「詐欺的な定期購入商法」対策や家にいる消費者を狙った送り付け商法への対策を盛り込んだ「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案」を第204回通常国会に提出しました。

(4)新型コロナウイルス感染症の感染拡大等の緊急時における関係省庁等の連携

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急事態宣言の発出直後、一部店舗で食料品等の買いだめが発生したことから、消費者庁、農林水産省及び経済産業省の連名で、過度な買いだめや買い急ぎをしないよう落ち着いた行動の呼び掛けを実施しました。また、同様に連名で、買物時や外食時における「密」の回避等のお願いや他者の感染防止への配慮等について周知しました。

 また、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大し、マスクやアルコール消毒製品等が品薄となる中、インターネット上での高額転売が続いたことから、国民生活安定緊急措置法に基づき、2020年3月にマスク、同年5月にアルコール消毒製品について、購入価格を超える価格での転売を禁止しました。いずれの物資も需給のひっ迫が改善したことから、同年8月に当該規制を解除しました。解除後も引き続き食料品、生活必需品等の需給の状況を注視して必要に応じて関係省庁と連携して対応しています。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大等の緊急時において、これに便乗した悪質商法等に係る注意喚起について、関係省庁と連携して注意喚起を実施しており、2020年度には、特別定額給付金やワクチン接種に便乗した悪質商法等に関する注意喚起を関係省庁連携により実施しました。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けた食品表示法に基づく食品表示基準の弾力的運用について、農林水産省及び厚生労働省と連名で関係機関に通知するなど、消費者の需要に即した食品の生産体制を確保するために必要な対策を講じました。このほか、農林水産省及び消費者庁と連名で、米トレーサビリティ法の一部の規定について、弾力的に運用する旨を関係機関に通知するなど、米穀等に関する適正かつ円滑な流通を図るために必要な対策を講じました。

(5)特定商取引法等の執行強化等【再掲】

 消費者が商品を購入する際、通常は、店舗に出掛けて行って商品を見比べ、自分の必要とする品質・性能を持つかどうかや価格等を十分考慮します。一方、事業者からの電話で勧誘を受ける場合や、事業者が自宅に突然訪れて勧誘を受ける場合もあります。このような場合、消費者にとってみれば、いわば「不意打ち」のような形となり、商品について冷静かつ十分に吟味する時間もなく、適切な判断ができないおそれがあります。

 そこで、特定商取引法では、事業者と消費者との間でトラブルを生じやすい取引類型(①訪問販売、②通信販売、③電話勧誘販売、④連鎖販売取引、⑤特定継続的役務提供、⑥業務提供誘引販売取引、⑦訪問購入)について、購入者等(消費者)の利益を保護し、商品の流通や役務の提供を適正で円滑なものとするため、事業者が守るべきルール(行為規制)と、クーリング・オフ等の消費者を守る民事ルールを定めています。事業者に同法の規制に違反する行為が確認され、消費者の利益が著しく害されるおそれがあるときには、業務停止命令等の行政処分が行われています。

 消費者庁では、特定商取引法について、権限委任を行い、かつ指揮監督下にある経済産業局と密な連携の下、執行を一元的に実施しており、2020年度は業務停止命令等を33件、指示を33件、業務禁止命令を23件実施しました。

 また、消費者のぜい弱性を狙った悪質商法への対策強化、経済のデジタル化・国際化に対応したルール整備について、2020年2月から同年8月まで、「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」を開催し、報告書を取りまとめました。報告書等を踏まえ「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案」を第204回通常国会に提出しました。

(6)「オレオレ詐欺等対策プラン」の推進による特殊詐欺の取締り、被害防止の推進【再掲】

 2019年6月に開催された犯罪対策閣僚会議において、架空請求詐欺や金融商品等取引名目を含む特殊詐欺等から高齢者を守るための総合対策として「オレオレ詐欺等対策プラン」が決定されたことを踏まえ、警察庁では、全府省庁と連携して以下の取組を推進しています。

(ア)被害防止対策の推進

 幅広い世代に対し高い発信力を有する著名な方々により結成された「ストップ・オレオレ詐欺47〜家族の絆作戦〜」プロジェクトチーム(略称:SOS47)と連携し、各地方公共団体等のあらゆる公的機関はもとより、経済団体を始めとする社会のあらゆる分野に関する各種団体、民間事業者等の幅広い協力も得ながら、多種多様な媒体を活用するなどして、国民が力を合わせて特殊詐欺の被害防止に取り組むよう広報啓発活動を展開しています。また、留守番電話機能の活用等の促進、金融機関・コンビニエンスストア・宅配事業者等と連携した被害の未然防止等の取組を推進しています。

(イ)犯行ツール対策の推進

 携帯電話や預貯金口座を売買するなどの特殊詐欺を助長する行為について関係法令を駆使して取締りに当たるとともに、携帯音声通信事業者に対する、犯行に利用された携帯電話の契約者確認の求め、金融機関に対する振込先指定口座の凍結依頼等のほか、2019年9月からは、特殊詐欺の犯行に利用された固定電話番号を、警察の要請に基づき、主要な電気通信事業者が利用停止するなどの犯行ツール対策を推進しています。

(ウ)効果的な取締り等の推進

 だまされた振り作戦、犯行拠点の摘発、上位者への突き上げ捜査といったこれまでの取組に加えて、特殊詐欺事件の背後にいるとみられる暴力団、準暴力団等に対する多角的な取締りを推進しています。なお、2020年の特殊詐欺の取締り状況は、特殊詐欺全体の検挙件数が7,373件(前年比556件増)であり、このうち架空請求詐欺の検挙件数が491件(前年比890件減)、金融商品詐欺の検挙件数が36件(前年比6件増)となっています(暫定値)。

 金融庁では、預金口座の不正利用に関する情報について、情報入手先から同意を得ている場合には、明らかに信憑(ぴょう)性を欠くと認められる場合を除き、当該口座が開設されている金融機関及び警察当局への情報提供を速やかに実施することとしており、その情報提供件数等については、金融庁ウェブサイトにおいて公表しています。

(7)被害の拡大防止を意識した悪質商法事犯の取締りの推進【再掲】

 警察庁では、悪質商法事犯(利殖勧誘事犯及び特定商取引等事犯)については、多大な被害をもたらすものであることから、関係行政機関との連携強化等による、いわゆる「販売預託商法」を含む悪質商法事犯の早期把握に努めるとともに、悪質商法に利用された預貯金口座の金融機関への情報提供や広域事犯に対応するための合同・共同捜査の推進等による早期事件化により、被害の拡大防止を図ることとしています。2020年度は、関係行政機関との連携強化等により、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に便乗した悪質商法を含め、悪質商法事犯の早期把握に努めました。

 なお、2020年中は、利殖勧誘事犯を38事件130人、特定商取引等事犯を132事件204人検挙しています。

(8)ヤミ金融事犯の取締りの推進【再掲】

 ヤミ金融事犯(注75)については、健全な経済生活を脅かす悪質な事犯であり、また、暴力団の資金源となる場合もあることから、警察庁では、都道府県に対して、当該事犯の徹底した取締りのほか、ヤミ金融に利用された預貯金口座の金融機関への情報提供、携帯音声通信事業者に対する契約者確認の求め及び役務提供拒否に関する情報提供、プロバイダ等に対する違法な広告の削除要請等による、被害予防の推進を指示しています。

 なお、2020年中は、ヤミ金融事犯を592事件701人検挙しています。

(9)特定商取引法の通信販売での不法行為への対応【再掲】

 特定商取引法の通信販売については、通信販売業者に対して不適切な広告の改善を求めるとともに、執行を補完する取組として、ISP(注76)等に対し、ウェブサイトの削除等を促しています。

 消費者庁では、通信販売業者に対し、2020年度は1,105件の改善指導を行っています。また、悪質な通信販売業者に対して、特定商取引法に基づき、厳正かつ適切に行政処分等を行いました。

(10)生活困窮者自立支援法に基づく支援の推進【再掲】

 厚生労働省では、生活困窮者自立相談支援事業の実施、住居確保給付金の支給その他の生活困窮者に対する自立の支援に関する措置を講ずることにより、生活困窮者の自立の促進を図っています。

 2020年度においては、生活困窮者自立相談支援事業等を実施しました。また、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少する方に緊急小口資金等の特例貸付を実施するとともに、住まいの確保を支援するため、住居確保給付金の支給対象の拡大等を行いました。

(11)IT・AI を活用した民事紛争解決の利用拡充・機能強化【再掲】

 内閣官房、法務省では、紛争の多様化に対応した日本のビジネス環境整備として、オンラインでの紛争解決(ODR)など、IT・AIを活用した裁判外紛争解決手続などの民事紛争解決の利用拡充・機能強化に関する「ODR活性化検討会」における検討結果を踏まえて、IT・AIを活用したODRなどの民事紛争解決の利用拡充に向けた官民一体となった取組を進めています。2020年度には、法務省で、「ODR推進検討会」を開催し、ODRの推進に向けた裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律関連の規律の見直しや民間紛争解決手続における和解合意への執行力の付与等について検討を進めました。

 消費者庁では、内閣官房により開催された「ODR活性化検討会」での議論の経過等を踏まえ、各地域の消費生活センターにおいてSNSを活用して消費生活相談を受け付けることを実現するための試行等を進めています。また、「新しい生活様式」やデジタル社会に対応した消費生活相談を実現するためのデジタルトランスフォーメーションに関する取組の推進に取り組んでいます。2020年度には、地方消費者行政のための交付金等を通じて、地方公共団体によるSNS等を活用した相談受付体制の構築を支援しました。また、AI技術を活用したチャットボット機能の実証実験として、国民生活センターのLINE公式アカウント上にAIチャットボットを実装し、消費者からの自由記述による質問に対して、関連するFAQの情報提供を実施しました。実証実験の成果は、消費者への情報提供や相談など各業務のデジタル化の検討に活用していく予定です。

(12)国民生活センターによる消費生活センター等への相談支援機能強化

 国民生活センターでは、全国の消費生活センター等からの商品やサービス等消費生活全般に関する相談や問合せ等に対応する「経由相談」を実施し、相談解決の支援を行っています。

 各地の消費生活センター等への相談支援機能を強化するため、2011年度に専門チーム制を本格導入し、専門家からのヒアリング、事業者団体等との意見交換会等を多数行い、専門性の強化を図っています。

 また、消費生活センター等のバックアップとして、土日祝日に窓口を開設していない消費生活センター等を支援するため、消費者ホットラインを通じて、「休日相談」を行うとともに、平日には、各地の消費生活センター等が通話中のために電話がつながらない場合に対応する「平日バックアップ相談」を運営しています。

 さらに、地方の消費生活センター等が昼休みを設けることの多い平日の11時から13時までの時間帯に、消費者から電話で相談を受け付ける「お昼の消費生活相談」を行っています。

 2020年度は緊急事態宣言を受け、一時的に人員体制を縮小しながらも、「経由相談」は6,082件、「休日相談」は4,881件、「平日バックアップ相談」は3,998件、「お昼の消費生活相談」は1,239件を受け付けました。

 また、新型コロナウイルス特別定額給付金に関連した消費者トラブルの未然防止・拡大防止のため、2020年5月から「新型コロナウイルス給付金関連消費者ホットライン」(138日間、PIO-NET登録相談件数 731件、コールフロー含む全相談件数22,105件)を、同年7月からは、令和2年7月豪雨関連の相談を受け付けるため、同ホットラインの名称を「給付金・豪雨関連消費者ホットライン」(57日間、相談件数6件)と変更し、それぞれ同年9月まで対応しました。2021年2月15日からは「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」を開設し、対応しています。

 また、相談処理の専門性の強化を図るため、法律、自動車、土地・住宅、美容医療及び決済手段について高度専門相談を実施しています。さらに、商品に関する苦情相談の解決のため、各地の消費生活センター等からの依頼を受けて商品テストを実施しています。

 このほか、CCJにおいて、2015年6月から越境消費者相談の受付を開始し、2021年3月末時点で2万9,760件の相談を受け付け、消費者に対して内容に応じた助言や情報提供を行いました。これらについては、国民生活センターのウェブサイトで2020年度に3回公表を行いました。なお、海外提携機関は2021年4月1日時点で15機関となっています。


  • 注74:2021年4月28日成立
  • 注75:貸金業法違反(無登録営業)、出資法違反(高金利等)に係る事犯及び犯罪収益移転防止法違反、詐欺、携帯電話不正利用防止法違反等に係る事犯。
  • 注76:ISPとは、インターネットサービスプロバイダ(Internet Service Provider)の略。

担当:参事官(調査研究・国際担当)