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第1部 第2章 第5節 (1)新型コロナウイルス感染症の感染拡大と消費生活相談

第1部 消費者問題の動向と消費者の意識・行動

第2章 【特集】「新しい生活様式」における消費行動〜「消費判断のよりどころ」の変化〜

第5節 新型コロナウイルス感染症の感染拡大をめぐる消費者トラブル

(1)新型コロナウイルス感染症の感染拡大と消費生活相談

 2020年1月以降、国内でも新型コロナウイルス感染症の感染が拡大し、マスクやアルコール消毒製品などの品薄やインターネット上における高額転売、トイレットペーパー等の買占め等が発生するなど、消費者の暮らしは大きな影響を受けました。また、これらの生活必需品の品薄に便乗した悪質商法等の消費者トラブルも発生しています。本節では、新型コロナウイルス感染症に関連した消費生活相談の状況について紹介します。

 緊急事態宣言が発出された2020年4月には、新型コロナウイルス感染症に関連した消費生活相談の件数が急増しています(図表Ⅰ-2-5-1)。相談内容をみると、マスクに関する相談が多数みられたほか、消費者がスポーツ教室、結婚式や旅行等の自粛や延期等をしたことで、キャンセルや返金等に関する相談がみられました(図表Ⅰ-2-5-2)。

 2020年5月には、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は一定の落ち着きをみせ、全国で緊急事態宣言が解除され、同年8月にはマスク等の需給等も改善がみられました。新型コロナウイルス感染症に関連する消費生活相談の件数も減少し、消費者の暮らしも一定の落ち着きを取り戻した様子がうかがえます。

 2021年1月には、一部区域に対し、再び緊急事態宣言が発出されました。生活必需品の品薄や、消費生活相談件数の急増はみられなかったものの、新型コロナウイルスワクチンの接種等の世間の関心が高い話題に便乗した詐欺的な手口に関する相談が寄せられました。

 新型コロナウイルス感染症に関連した消費生活相談件数は、マスク関連の相談が多数みられた2020年4月の21,611件をピークとして、同年11月まで減少傾向にありましたが、12月は増加に転じ、2021年1月には更に増加がみられました。このうち、約4分の1はインターネット通販に関連した相談であり、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で消費者がインターネット通販の利用を増やし、消費者トラブルに遭うケースが多くなった可能性が考えられます。

 2020年の相談内容を商品・役務別にみると、マスク等を含む「保健衛生品その他」や、キャンセルやそれに伴う返金の相談がみられた「スポーツ・健康教室」や「結婚式」のほか、旅行・宿泊等に関連する相談が上位にみられます(図表Ⅰ-2-5-2)。

 ここからは、新型コロナウイルス感染症に関連した消費生活相談について、生活関連物資やキャンセル、悪質商法など、相談の内容別にみていきます。

担当:参事官(調査研究・国際担当)