第1部 第1章 第4節 (3)SNSに関連する相談
第1部 消費者問題の動向と消費者の意識・行動
第1章 消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果等
第4節 最近注目される消費者問題
(3)SNSに関連する相談
SNSをきっかけとした相談は引き続き増加
SNS関連の消費生活相談は引き続き増加傾向にあります。2020年も前年を上回る約4万件の相談が寄せられました。年齢層別にみると、20歳代が9,804件と最も多いものの、40歳代(7,469件)や50歳代(6,944件)でも多くの相談がみられ、若年層だけでなく、幅広い年齢層でトラブルが発生しています(図表Ⅰ-1-4-11)。
SNSをきっかけとした相談の内容をみると、①SNSでの広告がきっかけとなるケース、②SNSでの勧誘がきっかけとなるケース、③SNSで知り合った相手との個人間取引のケースがみられます。
国民生活センターでは、こうしたSNSをきっかけとする多様なトラブルに遭わないよう、注意喚起を実施しています(注37)。
SNSがきっかけとなる情報商材のトラブルも発生
SNSでの勧誘がきっかけとなり、情報商材(注38)や転売ビジネスなどのもうけ話を持ち掛けられ、高額な契約をしてしまうケースもみられます。
情報商材の相談は、全体では減少傾向ですが、SNSが関連している相談は横ばい状態で、若年層では相談が増加しています。2020年は、20歳未満と20歳代で約半数を占めていることから、若年層を中心として、SNSをきっかけに情報商材のトラブルに遭っている実態がうかがえます(図表Ⅰ-1-4-12)。
SNSは、身近で便利なコミュニケーションツールですが、ユーザー同士のコミュニケーション空間であるという特徴を利用して、悪質業者は勧誘を行います。情報商材の勧誘では、SNSで、ビジネスでの成功や充実した生活等をアピールしている相手から連絡が来たり、相手の投稿やコメントに興味を持って、消費者から連絡したりすることなどをきっかけに、簡単に大金を稼げるなどと誘われ、高額契約をしてしまうケースがみられます。
また、マッチングアプリが勧誘に使われるケースや、転売ビジネスやFX(外国為替証拠金取引)等のもうけ話を持ち掛けられるケースもみられます。具体的な事例では、「SNSで知り合った相手に転売ビジネスを紹介され、契約してしまった。解約したいが業者と連絡が取れない」、「マッチングアプリで知り合った自称外国人女性にFXのもうけ話をされ、興味を持ち、指示された口座に入金したが、更に高額請求を受けた」など、もうけ話の実態が不明であったり、相手と連絡不能になったりするケースがみられます。
こうした情報商材に関する事案に対して、消費者庁は、消費者安全法の規定に基づく注意喚起を実施しています(注39)。また、国民生活センターでも、SNS等で勧誘される転売ビジネスに関するもうけ話や、出会い系サイトやマッチングアプリ等をきっかけとする投資詐欺などのトラブルに遭わないよう、注意喚起を実施しています(注40) (注41)。
- 注37:国民生活センター「SNSをきっかけとした消費者トラブルにご注意!中高「生」だけじゃなく中高「年」も」(2020年4月9日公表)
- 注38:情報商材とは、インターネット通販で販売される、副業・投資やギャンブル等で大金を稼げるとするマニュアル等を指すが、実際には大金を稼ぐための具体的なノウハウは記載されておらず、更に高額な契約を勧誘するためのツールとなっている商材もみられる。
- 注39:消費者庁「毎月10万円もうかるビジネスなどとうたい、多額の金額を支払わせる事業者2社に関する注意喚起」(2020年10月7日公表)
- 注40:国民生活センター「「転売ビジネス」で稼ぐつもりが…簡単には儲からない!—ネット広告やSNSの情報、友人からのうまい話をうのみにしないで—」(2021年2月10日公表)
- 注41:国民生活センター「出会い系サイトやマッチングアプリ等をきっかけとする投資詐欺にご注意を—恋話(コイバナ)がいつの間にかもうけ話に—」(2021年2月18日公表)
担当:参事官(調査研究・国際担当)