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 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、「新しい生活様式」が提言され、手洗いなど基本的な感染対策の実施や「3つの密」(密閉・密集・密接)の回避、移動の自粛、通販の利用、テレワークの実施等、消費者一人一人の行動変容が求められています。こうした中で、実店舗での購入や実際の会場等での体験といった従来の消費の形から、オンライン上での購入やネット配信等を通じた体験といったオンラインを介した消費に広く目が向けられるようになりました。

 また、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中、一部の生活必需品の買占めやインターネット上での不確かな情報の投稿、消費者の不安につけ込んだ悪質商法の発生など消費生活に影響を及ぼす様々な問題が発生しました。消費者庁は、消費者行政の司令塔として、関係府省と連携して、消費者を取り巻く環境の変化に伴い生じる様々な問題に対し、引き続き迅速かつ適切に対応していく必要があります。

 今回の消費者白書では、「『新しい生活様式』における消費行動~『消費判断のよりどころ』の変化」を特集テーマとして取り上げました。同特集では、まず、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前後での消費形態や消費構成の変化を概観し、消費者庁が実施した「消費者意識基本調査」等で明らかになった「新しい生活様式」の下での消費者の意識・行動の変化をみていきます。加えて、消費者が実際に商品やサービスを購入するか否かを判断するための要素や考え方などを総合的に勘案したものを「消費判断のよりどころ」と定義し、これがどのように変化したのかにも注目していきます。また、生活必需品の品薄等が発生した緊急時における消費者の意識・行動について分析するとともに、全国の消費生活センター等に寄せられた新型コロナウイルス感染症に関連する消費生活相談の状況やこれも踏まえた消費者庁の対応について取り上げます。

 特集以外では、消費者安全法の規定に基づく「消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめの結果」の報告及び消費者基本法の規定に基づく「消費者政策の実施の状況」の報告を行っています。

 第1部第1章では、年次報告として、消費者安全法の規定に基づいて消費者庁に通知された消費者事故等を始めとした事故情報等や、全国の消費生活センター等に寄せられた消費生活相談に基づく消費者被害・トラブルの状況、消費者被害・トラブル額の推計について示しています。また、家計や物価など社会経済情勢の動きや消費生活について取り上げています。

 第2部では、近年の消費者庁の主な施策と、政府が実施してきた2020年度の消費者政策の実施状況の詳細について、消費者基本計画に規定された項目に沿って、消費者行政の各分野の取組をまとめています。このような政策の実施状況を取りまとめることにより、本報告は、消費者基本計画の実施状況の検証・評価(フォローアップ)としての機能も兼ねています。

 また、資料編として、消費者事故等の状況、消費者庁が行った法執行・各種情報提供についても掲載しています。

担当:参事官(調査研究・国際担当)