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第1部 第2章 第4節 (4)持続可能な社会の形成に向けて

第1部 消費者問題の動向と消費者意識・行動

第2章 【特集】つくる責任、つかう責任、減らす責任~食品ロス削減--持続可能な社会のために~

第4節 持続可能な社会の形成に向けて

(4)持続可能な社会の形成に向けて

従来の消費者行政は、行政が掲げた政策目標を達成するために設計した制度に基づいて、規制や支援によって、社会を方向付けていくことが多かったといえます。しかし、持続可能な社会の形成に向けては、社会を構成する各当事者が共通の目的をもって協働し、健全な市場の形成を通じて取り組んでいくことが不可欠です。

そのためには、これまでの規制や支援に加え、行政が公共的な立場をいかし、消費者、事業者、その他団体が共通の目的に向かって取り組むことができるよう方向付けをしていくことが求められます。そして、事業者の社会的課題への取組と事業が両立するような制度設計や、各当事者の行動を促すようなインセンティブを与える仕組み等を用いつつ、各当事者の取組を有機的につなぐことで相乗効果を生み、SDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に貢献するような役割を担っていくことが必要です(図表I-2-4-3)。

健全な市場の中で社会的課題を解決していくためには、社会的課題に目を向けた事業者が、市場経済の中で、消費者に適切に理解、評価され、後押しされることで、企業価値が高まるという経済の好循環の仕組みが成り立たなければなりません。したがって、持続可能な社会の形成に向けて、消費者志向経営の普及と、エシカル消費の啓発を、一体的に推進していくことが重要といえます。

これまで述べてきたように、食品ロスやプラスチックごみの問題は、まさに協働行政の手法が適する分野であり、今後の消費者行政の在り方を示唆する一つの例といえます。

COLUMN9
持続可能な生産消費形態のあり方検討会(農林水産省)

図表1-2-4-3消費者行政における持続可能な社会の形成に向けての概念図

担当:参事官(調査研究・国際担当)