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第1部 第2章 第1節 (3)暮らしから考える資源と消費

第1部 消費者問題の動向と消費者意識・行動

第2章 【特集】つくる責任、つかう責任、減らす責任~食品ロス削減—持続可能な社会のために~

第1節 消費と資源

(3)暮らしから考える資源と消費

人々が日常的に生活する際には、電力を始めとする多くのエネルギーを消費し、また、物や食品を購入し、消費し、廃棄します。

国民のライフスタイルが生活の利便性・快適性を追求する方向へと変化するとともに、世帯数の増加等の社会構造の変化による影響を受け、家庭部門のエネルギー消費は近年までは増加傾向にありました。その後、省エネルギー技術の普及と国民の環境保護意識の高揚、また東日本大震災等の影響により横ばい傾向にあります(図表Ⅰ-2-1-2)。また、用途別にみると、家電機器の普及・大型化・多様化や生活様式の変化等に伴い、動力・照明他用のシェアが増加しています(図表Ⅰ-2-1-3)。なお、家庭において電力を多く消費しているのは、エアコン等の空調機器、冷蔵庫や洗濯機等を動かすための動力や照明器具、テレビ等となっています。

食料品、衣料品等あらゆる製品・サービスはその生産や流通の過程においてエネルギーを利用しており、現在の暮らしや社会は、エネルギーの消費によって成り立っています。

また、物が大量に生産され、消費される社会になり、生活が便利・快適になるにつれて、一般廃棄物の排出量は、2000年頃まで急激に増えました。その後は、循環型社会の形成が進むとともに、産業構造の変化や景気変動等の影響もあり、減少傾向にあります。2018年度には、日本では一人1日に約900gのごみを排出しているといわれています(図表Ⅰ-2-1-4)。京都市の家庭ごみの細組成調査によれば、「燃やすごみ」の約4割が生ごみ、約3割が紙ごみとなっています(図表Ⅰ-2-1-5)。

廃棄物は、その処理の過程で発生する有害物質による環境汚染や、処分場不足の問題が内在するとともに、ごみ処理事業費用は社会的コストとして国民が負担することになります。

このように、消費者にとって資源問題は決して遠い話ではなく、身近な問題であるといえます。物が消費者の需要に合わせて供給される市場の構造からすると、大量生産・大量消費及びエネルギーやその他資源の過剰消費は、事業者や社会構造の問題だけではなく、便利さや豪華さを求める消費者一人一人の意識と行動にも起因すると考えられます。消費者一人一人の意識と行動が変わることで、環境問題等の地球規模の社会的課題の解決や持続可能な社会の実現につながるといえます。

近年、物を購入して廃棄するという従来の消費の方法ではなく、物やサービスをシェアする考え方や、物やサービスを利用する権利に対して料金を支払うというシステムも浸透しつつあり、物を所有しないライフスタイルも広がってきています。こういった消費形態も資源の有効活用の一つの在り方といえます。

担当:参事官(調査研究・国際担当)