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第1部 第2章 第1節 (2)消費と資源についての動き

第1部 消費者問題の動向と消費者意識・行動

第2章 【特集】つくる責任、つかう責任、減らす責任~食品ロス削減--持続可能な社会のために~

第1節 消費と資源

(2)消費と資源についての動き

国内の動き

近代日本においては、明治期以降、特に第二次世界大戦後は深刻な物不足が起こり、消費者にとって苦しい時代がありました。しかし、朝鮮戦争特需を経て、大量生産・大量消費の時代に突入し、物不足は急速に解消し、生活様式も変化していきました。

高度経済成長期(1950年代中頃~1970年代初め)を迎え、技術革新と大量生産により、市場にはこれまでの天然の素材の商品に加え、プラスチック等の合成樹脂製品や合成繊維の衣類が店頭に並び、また、便利なインスタント食品や家電製品等が次々に発売されました。これにより消費者の選択肢が広がるとともに、経済成長により生活も豊かになってきたことから、消費者が積極的に新商品を購入する、本格的な消費社会が到来しました。

他方で、1950年代後半には、大量消費社会を背景として、製品の安全性の問題や公害問題、環境問題等が注目され始め、物質的な豊かさを実現する一方で、使い捨て消費を見直し、心の豊かさを求める傾向が消費者の中に芽生え始めました。1970年代には、過剰包装や合成洗剤の追放運動、PCB(ポリ塩化ビフェニル)の汚染問題等環境への関心が高まり、消費者や消費者団体によって、問題の解決に向けた運動が展開されました。

高度経済成長を経て、1980年代後半にバブル景気を迎えると、生産と消費が更に拡大し、それに伴って廃棄物の排出量も増加していきました。また、大型化した家電製品等の適正処理が困難な廃棄物の出現や、容器包装の使用拡大等、廃棄物の種類がより多様化し、1990年代の初めには、ごみの最終処分場が不足する事態が起きました。

日本で「リサイクル」という言葉が使われ始めたのは1970年代中頃であり、リサイクルに取り組む市民運動や、フリーマーケット、ごみの分別の促進等地道な活動を行う市民団体が各地で誕生しました。その後、1990年代には、1980年代に欧米で広がっていた、消費者が日々の購買行動に際して環境への負荷が少ない製品を選び、地球環境の保全に貢献していこうというグリーンコンシューマー運動が、日本でも広まりました。

2000年には、大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済システムから脱却し、3R(注59)の実施と廃棄物の適正処分が確保される循環型社会の形成を推進するために、循環型社会形成推進基本法(平成12年法律第110号)が制定されました(注60)。その前後には、個別物品の特性に応じたリサイクルを推進するため、各種リサイクル法(注61)が制定されました。

他方、1980年代以降になると、情報化、国際化等の動きが加速し、消費者を取り巻く環境が大きく変化していきました。消費生活の側面では、一定の豊かな生活が定着し、商品・サービス等の選択肢が多様化しました。消費者は、商品・サービスの量ではなく、クオリティ(質)や社会的背景・影響を重視する時代へと向かいました。

1990年代初めのバブル景気の崩壊に伴い家計は引き締められ、また、環境問題が地球規模の問題として注目されるようになりました。さらに、2000年代から現在にかけては、少子高齢化の進展や急速な情報化、国際化により、社会経済情勢は加速度的に変化してきており、消費生活は更に多様化・複雑化してきています(注62)

世界の動き

現在、世界では、地球温暖化や海・陸の環境汚染、資源・エネルギーの不足、さらに途上国の貧困や児童労働等、様々な社会的課題を抱えており、「持続可能性」(サステナビリティ)が問題解決へのキーワードとなっています。

消費という観点からは、1992年にブラジル連邦共和国のリオ・デ・ジャネイロで開催された環境と開発に関する国際連合会議で採択された行動計画であるアジェンダ21で「持続可能でない生産消費形態の変更」が提起され、1994年にノルウェー王国のオスロで開催された持続可能な消費に関するシンポジウムにおいて、持続可能な消費は「将来世代のニーズを危険にさらさないよう、自然資源、有害物質及び廃棄物、汚染物質の排出を最小限に抑えつつ、基本的ニーズに対応し、より良い生活の質をもたらす財及びサービスの使用」と定義されています。

2015年に国際連合で採択された持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals(SDGs))では、「地球が現在及び将来の世代に需要を支えることができるように、持続可能な消費及び生産、天然資源の持続可能な管理並びに気候変動に関する緊急の行動をとることを含めて、地球を破壊から守ること」が明確にされるとともに、17の目標のうちの1つに「目標12.持続可能な生産消費形態を確保する」が掲げられ、ターゲット12.8において、個人のレベルで持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルが提唱されました(図表I-2-1-1)。

図表1-2-1-1SDGsのゴール(目標)


  • 注59:発生抑制(Reduce)、再使用(Reuse)、再生利用(Recycle)。3Rは英語表記の頭文字をとったもの。
  • 注60:同時に、資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)(平成3年法律第48号)及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)(昭和45年法律第137号)の改正も行われた。
  • 注61:容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)(平成7年法律第112号)、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)(平成10年法律第97号)、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)(平成12年法律第116号)、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)(平成12年法律第104号)、使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)(平成14年法律第87号)、使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法)(平成24年法律第57号)。
  • 注62:消費者政策と資源・環境問題、消費と資源についての動き(国内)については、詳細は環境省「日本の廃棄物処理の歴史と現状」(2014年2月)、消費者庁「消費者問題の歴史(解説等)」(消費者庁ウェブサイト:消費者教育ポータルサイト)等を参照。

担当:参事官(調査研究・国際担当)