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第1部 第2章 第1節 (4)資源・環境問題に対する意識

第1部 消費者問題の動向と消費者意識・行動

第2章 【特集】つくる責任、つかう責任、減らす責任~食品ロス削減--持続可能な社会のために~

第1節 消費と資源

(4)資源・環境問題に対する意識

消費者の行動が、資源・環境問題等を通して持続可能な社会の形成に大きな影響を与えることから、消費者がどのような意識を有しているかを分析することは重要といえます。

消費者庁「消費者意識基本調査」(2019年度)において、日頃の買物で意識していることを聞いたところ、「ごみを減らし、再利用やリサイクルを行う」(「かなり当てはまる」+「ある程度当てはまる」)という人の割合は63.4%と、一定の人が意識していましたが、「環境に配慮されたマークのある食品・商品を選ぶ」や「リサイクル素材でできた商品(再生紙など)を選ぶ」(「かなり当てはまる」+「ある程度当てはまる」)という人は半数以下でした(図表I-2-1-6)。

また、捨てる量を減らさなければならないと強く感じるものを聞いたところ、「プラスチックの容器包装」と「食品の廃棄物」と回答した人の割合が共に約8割と多いことが分かりました(図表I-2-1-7)。1位に挙げられたものをみると「食品の廃棄物」の割合は50.5%と過半数を占めています。

このように、消費者は、一定程度環境に配慮する意識を持ってはいますが、商品選択の場面では過半数の消費者が行動までは結び付いていないことがうかがわれます。この意識を社会的課題の解決に結び付けるには、一人一人が行動を起こしていくことが重要といえます。

事業者や行政等においても、各所でSDGsの達成に向けての意識が高まっており(注63)、各主体の協働によって、社会的課題の解決を図る動きがみられます(注64)

次の第2節、第3節では、具体的な課題の解決に向けての取組やそれぞれの主体の協働の在り方について、消費者も問題として感じている食品ロスを中心にプラスチックごみの問題にも焦点を当てて分析、紹介し、最後に第4節では、これらの分野での協働の動きは、事業者や消費者との協働行政という新たな消費者行政の形を示す一例となり得ることを示していきます。


  • 注63:一般社団法人日本経済団体連合会(日本経団連)は、2017年にSociety 5.0の実現を通じたSDGsの達成を柱として企業行動憲章を改定。政府は2016年に持続可能な開発目標(SDGs)推進本部(本部長は内閣総理大臣)を設置し、アクションプランを策定し推進を図っている。
  • 注64:環境省では、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)(平成12年法律第100号)及び同法第6条に基づく環境物品等の調達の推進に関する基本方針(平成13年2月閣議決定)において、環境負荷低減に資する物品・サービスの基準を定めており、国等は原則その基準に沿った調達をしているほか、地方公共団体や事業者に情報を公表し、調達する際の環境配慮を促すなどしている。
    特に、環境に配慮した消費行動を促す基準としては、例えば、庁舎内における食堂においては、食品ロスの削減やワンウェイのプラスチック製の容器を使用しないこと等を求めるほか、庁舎等において営業を行う小売業務においては、消費者に容器包装等の廃棄物排出の抑制を促進するための取組や、レジ袋を配布する場合には植物を原料とするプラスチックを10%以上使用すること等を求める旨を定めている。

担当:参事官(調査研究・国際担当)