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第1部 第1章 第4節 (4)インターネットや情報通信に関連するトラブル

第1部 消費者問題の動向と消費者意識・行動

第1章 消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果等

第4節 最近注目される消費者問題

(4)インターネットや情報通信に関連するトラブル

SNSをきっかけとした相談は引き続き増加傾向

SNSが何らかの形で関連している消費生活相談は引き続き増加傾向にあります。2019年も前年を上回る約2.2万件の相談が寄せられました(図表I-1-4-8)。年齢層別にみると、20歳代が31.1%と最も高くなっています。20歳代の相談のうち、SNSが何らかの形で関連しているものは、全相談の9.1%を占めています。

増加が続く定期購入に関する相談

2019年は架空請求に関する相談の減少等もあり、消費生活相談の件数は、前年に比べて減少しました。しかし、そうした中でも、増加している相談内容があります。その一つが定期購入に関する消費生活相談です(図表I-1-4-9)。2019年では、定期購入に関する相談の9割以上が、インターネット通販によるものとなっています。

年齢層別にみると、50歳代からの相談件数が最も多く、以下40歳代、60歳代と続きます。一方で、2019年は、20歳未満と20歳代からの相談件数の増加が目立っています。

商品別にみると、「定期購入」に関する消費生活相談のほとんどは、「健康食品」と「化粧品」で占められています(図表I-1-4-10)。これらの分野では、「定期購入」に関する相談の増加に伴い、相談件数全体も増加しています(図表I-1-4-11)。

具体的な事例をみると、「『ダイエット効果のあるサプリメント、お試し500円』という広告を見て注文した。最近、初回の商品と同じ商品が届き、商品代金約6,500円の請求書が同梱されていた。驚いて事業者に問い合わせると、『5回の商品購入が条件の契約だ』と言われた」、「定期購入が条件だがいつでも解約できるとなっていた美容液をインターネットで注文した。数日後、初回の商品が届き、コンビニで商品代金約4,000円を支払った。2回目以降の価格は約1万2000円だった。2回目を解約しようと思い事業者に電話をすると、『解約は次回発送予定日の7日前までに連絡が必要。次回の発送は2日後なので今は解約できない』と言われた」など、定期購入の条件に期間・回数が定められている場合や、消費者が契約内容を認識しにくい場合などがあります。国民生活センターでは、定期購入の相談が増加していることを受け、契約内容や解約条件をしっかり確認するよう消費者に注意喚起を行っています(注37)

「チケット転売」に関する相談

2019年は、ラグビーワールドカップ2019が日本で開催されるなど、大きなイベントが話題となる中で、チケット転売に関する消費生活相談が急増しました。相談件数の月別推移をみると、2019年1月に月間200件を超え、以降も前年に比べて高い水準を維持し、チケット不正転売禁止法(注38)が施行された2019年6月を境に、一旦減少に転じましたが、ラグビーワールドカップ2019が開催された2019年9月には、再び増加し、1,000件を突破しています(図表I-1-4-12)。

既支払額の側面からみると、2019年7月までは、ほとんどの月で5万円以上の取引は2割未満でしたが、2019年8月から10月の3か月間は、5万円以上の取引が、4割前後を占めており、この時期に高額の取引がなされていたことが分かります(図表I-1-4-13)。平均既支払額も、この時期に高い値を示しています。契約当事者の年齢別にみると、2019年1月から7月までに比べ、8月から10月までの3か月間は、40歳代以上、特に50歳代、60歳代の構成比が高くなっています。この期間は、従来チケット転売をあまり利用してこなかった人が利用したとも考えられます(図表I-1-4-14)。

相談事例では、「入場できないおそれのある転売禁止のチケットが販売されており、購入してしまった」、「購入者がチケットの受取完了の手続をせず、チケット転売仲介サイトから代金が支払われない」、「汎用検索サイトで上部に表示されたサイトを公式チケット販売サイトと勘違いした」など、転売チケットでは入場できないリスク、チケット転売仲介サイト等での取引のリスク、転売と知らずに購入してしまうリスク等がみられます。また、チケットが試合当日に届き、入場できない事例もあります。

こうしたチケット転売の仲介サイトに関する事案に対して、消費者庁は、消費者安全法の規定に基づく注意喚起を行っています(注39)(本章第1節参照。)。また、国民生活センターでも、同様の注意喚起を行っています(注40)

高収入をうたう副業や投資「情報商材」に関する相談

「1日数分の作業で月に数百万円を稼げる」、「〇万円が〇億円になる投資法」といったお金もうけのノウハウと称して、インターネット等で取引される「情報商材」に関連する相談が増加しています。「情報商材」とは、インターネットの通信販売等で、副業・投資やギャンブル等で高額収入を受けるためのノウハウ等と称して販売されている情報のことです。情報商材の形式は、PDF等の電子媒体、動画、メールマガジン、アプリケーション、冊子、DVD等があります。

全国の消費生活センター等に寄せられる相談件数は2018年まで増加の一途をたどっていました。2019年は、2018年よりも減少し7,657件となりましたが、それでも2015年の5倍強となっています(図表I-1-4-15)。年齢層別では、2019年において20歳代の相談件数が突出して多くなっています(図表I-1-4-16)。また、全ての年齢層で女性より男性の相談が多くみられます。


  • 注37:国民生活センター「相談激増!『おトクにお試しだけ』のつもりが『定期購入』に!?--解約したくても『解約できない』、『高額で支払えない』...--」(2019年12月19日公表)
  • 注38:特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律(平成30年法律第103号)
  • 注39:消費者庁「チケット転売の仲介サイト『viagogo』に関する注意喚起」(2019年9月13日公表)
  • 注40:国民生活センター「インターネットでのチケット転売に関するトラブルが増加しています!」(2019年6月6日公表)

担当:参事官(調査研究・国際担当)