第1部 第1章 第4節 (5)マルチ商法に関するトラブル
第1部 消費者問題の動向と消費者意識・行動
第1章 消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果等
第4節 最近注目される消費者問題
(5)マルチ商法に関するトラブル
マルチ商法(注41)に関する消費生活相談では、健康食品や化粧品等の商品に関するものが多くみられますが、近年、ファンド型投資商品や副業などのサービスのマルチ商法(以下「モノなしマルチ商法」という。)に関する相談が増加しており、2018年以降は、商品よりサービスの相談が多くなっています(図表Ⅰ-1-4-17)。
「モノなしマルチ商法」について、契約当事者の年齢層別に相談件数の推移をみると、20歳代の構成比が高まっており、20歳代を中心に広まっていることが分かります。20歳代の2019年の構成比は、2010年の3倍以上となっています(図表Ⅰ-1-4-18)。
「モノなしマルチ商法」の事例としては、「中学時代の友人からいい話があるから会わないかという電話があり、複数の友人と共にレストランで会った。別の勧誘者も同席し、『海外の不動産に投資をすれば暗号資産(仮想通貨)で配当がある。お金がないなら消費者金融で借金をしても配当金で埋め合わせができる。投資者を紹介すれば紹介料として投資額の10パーセントを受け取ることができるので、借金の返済は簡単だ』と説明を受けた。学生だと借金できないので結婚式の費用として借りるように言われたので、指示に従い消費者金融4社から総額約130万円を借金して、代金を友人に手渡した」など、契約のきっかけは友人・知人からの誘いとなっているケースが多く、人を紹介すれば報酬を得られることばかり強調されますが、もうけ話の実態はよく分からないといった特徴があります。
国民生活センターでは、「モノなしマルチ商法」のトラブルに遭わないよう、2019年7月に、注意喚起を発信し、若者に注意を呼び掛けています(注42)。
担当:参事官(調査研究・国際担当)