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震災に関連する主な相談例とアドバイス

震災の発生時、生活再建等に当たって発生する可能性がある不動産賃貸借、工事・建築・修理、架空請求・不審な勧誘、保険などのトラブルについて、寄せられた消費生活相談の相談例とアドバイスを取りまとめました。

1.不動産賃貸

Q1-1 震災被害を受けたアパートから退去を申し出ると、違約金を請求された。
A

客観的にみて、アパートに住めないほどの震災被害があるために退去したのであれば、違約金を支払う必要はありません。万が一、契約の中に、天災のような不可抗力の場合でも、「あらかじめ契約した期間住まないと違約金を支払わなければならない」という取決めがあったとしても、高額の違約金が設定されている等の時には無効の主張ができる場合があると考えられます。
個別の事情によっても異なりますので、契約書類を持って、各地の消費生活センター(消費者ホットライン「188」番)や弁護士会などの法律相談に相談してください。

Q1-2 大家から賃貸マンションの退去を求められた。退去しないといけないのか。
また、退去に伴う引っ越し費用や敷金の返却を請求できるか。
A

建物が滅失していない以上は、賃貸借契約は継続するので、退去する必要はありません。貸主からの退去の申出は、期間の定めのない賃貸借契約においては解約の申入れ、期間の定めのある賃貸借契約においては契約の更新拒絶といえますが、いずれも一定の期間前に申し出る必要があり、また正当な理由(正当事由)が必要とされます。この正当な理由については、建物の損壊の程度や、建物の修繕に掛かる費用や修繕によって延びる建物の耐用年数、立ち退きによって受ける借主の不利益、貸主からの立退料(引越し費用)の支払いの有無とその金額など、様々な具体的な事情により総合的に決まります。まずは、貸主とよく話し合いをしてみましょう。
話し合いがうまくいかない場合には、各地の消費生活センター(消費者ホットライン「188」番)や弁護士会などの法律相談に相談しましょう。
また、敷金は原則として借主に戻ってきますので、返金の請求はできます。

Q1-3 地震で賃貸マンションの天井と窓ガラスの一部にヒビが入り、建物全体がゆがんだ。家賃の減額を求めてもよいか。
A

建物の損壊が修繕が可能な程度であれば、貸主は建物の修繕義務を負うので、貸主に修繕を求めることができます。修繕が不可能で、建物の損傷が、建物の一部滅失といえるほど大きなものであれば、貸主に対して賃料の減額請求ができます。ただし、後日の貸主との紛争を避けるべく、まずは話し合うことが必要です。なお、建物の「滅失」とは、建物の損壊の程度がひどく、建物としての「効用を失った状態」をいいます。
個別の事情によっても異なりますので、各地の消費生活センター(消費者ホットライン「188」番)や弁護士会などの法律相談に相談してください。

Q1-4 住んでいる賃貸マンションが地震で不具合が起きた。オーナーは修理すると言ったが修理代は誰が払うのか。
A

貸主は、法律上、賃貸借契約の目的物の修繕義務を負うこととされており、修理代は原則として貸主が支払う必要があります。
なお、賃貸借契約の特約で、借主が修繕を行うこととされている場合もありますが、一般的には、このような特約は、当事者が予測し得る程度の損壊を対象としていると考えるべきですので、予測し得ないような大震災による建物の損壊までは含まれないと思われます。
ただし、貸主が修繕しなければいけないという義務を負うのは修繕が可能といえる場合であるので、個別のケースで貸主が修繕しなければいけないという義務を負うかどうかは、損傷の箇所、程度等にもよります。
個別の事情によっても異なりますので、各地の消費生活センター(消費者ホットライン「188」番)や弁護士会などの法律相談に相談してください。

Q1-5 借家の瓦が飛んで隣の駐車場に置いている他人の新車に落ち、高額な修理費用を請求されそうだ。家主に支払ってもらえるか。
A

屋根瓦は建物の一部として、土地の工作物責任(民法717 条)の対象となり、基本的に、所有者(家主)や占有者(それを管理していた人)は屋根瓦が落ちたことによって生じた損害(車の修理費など)を賠償する責任を負います。
第一次的に責任を負うのは占有者ですが、占有者が責任を免れたときには、所有者が第二次的に責任を負います。所有者の責任は無過失責任といわれていますので、所有者自身に故意・過失がなくても、客観的に工作物に瑕疵があれば、瑕疵を原因として発生した損害について賠償する責任を負います。
ただし、屋根瓦の設置・保存に関し、本来備えるべき安全性を有していたと言える場合には責任を免れる場合もあります。
個別の事情によっても異なりますので、各地の消費生活センター(消費者ホットライン「188」番)や弁護士会などの法律相談に相談してください。

2.工事・建築・修理

Q2-1 業者に地震で壊れた屋根の修理を依頼したが、高額な代金を請求された。
A

業者に請求書内容の明細を確認してください。契約した覚えのない工事が含まれていた場合、その工事に係る料金については合意がない以上支払義務はないと考えられます。不審に思うことがあれば、各地の消費生活センター(消費者ホットライン「188」番)に相談しましょう。
契約する際にも、業者の説明を鵜呑みにしてその場で契約しないことが重要です。複数の会社から見積もりを取り、工事の内容を十分検討した上で契約してください。

Q2-2 自宅に訪ねてきて、屋根が壊れていると強引に修理を勧誘する業者がいる。
A

強引な勧誘を受けても、急いで契約をしないようにしましょう。既に契約してしまった場合でも、自宅を訪問されて契約した場合であれば、交付された書面をもらってから8日間はクーリング・オフができます。書面がそもそも交付されていない等の場合にはクーリング・オフはいつまでもできることになります。
勧誘時に虚偽のことを告げられたりして契約を締結した場合には、クーリング・オフとは別に、その意思表示の取消しができる可能性があります。
いずれの場合においても、個別の事情によって異なりますので、契約した場合には契約書などを持って、各地の消費生活センター(消費者ホットライン「188」番)や弁護士会などの法律相談に相談してください。

Q2-3 地震で壊れた屋根の工事をしないかと、点検に来た業者に勧誘されて契約したが、高額なのでクーリング・オフしたい。
A

契約した後であっても、自宅を訪問されたり、電話で勧誘を受けたりして修理やリフォームの工事を契約した場合、申込みの撤回又は契約の解除ができる旨など法律で決められた事項が記載された書面を受け取ってから8日間はクーリング・オフができます。適法な書面を交付されていなければ、8日間のクーリング・オフ期間は経過しません。
住宅の修理などの工事をする際は、業者の説明をよく聞き、複数の業者から見積もりを取ったり、周囲に相談したりした上で契約しましょう。中には、住宅の損傷について不安をあおるケースもみられます。業者の提示する工事内容を行う必要があるかどうか、慎重に検討しましょう。クーリング・オフの仕方など、不明な点がある場合は、最寄りの消費生活センター(消費者ホットライン「188」番)等に相談しましょう。

Q2-4 震災で倒れた墓石を勝手に修理され、高額な料金を請求された。
A

依頼しておらず、不要な修理をされたのであれば、料金を支払う必要はありません。業者に請求を取り下げるよう、要求しましょう。強引に金銭を要求された場合には、各地の消費生活センター(消費者ホットライン「188」番)や警察に相談しましょう。

3.架空請求、不審な勧誘等

Q3-1 震災被害者救済のため、個人から事業者まで書類不要で融資するという勧誘のFAXが自宅に送られてきた。
A

利息制限法の規制を超える高金利で貸付けを行う悪質なヤミ金業者、クレジットカード会員規約に違反する現金化を勧める業者などの可能性があります。少しでも不審に思う点があれば決して申し込まず、最寄りの消費生活センター(消費者ホットライン「188」番)などの窓口に御相談ください。
また、高金利貸付けや取立てでの脅しなどについては、警察に御相談ください。

Q3-2 携帯電話に災害情報サイト利用料を請求するメールが届いた。すぐ支払わないと訴えると書いてある。
A

災害情報サイト等は、多くの通信会社が利用料無料で提供している場合が多いと考えられますので、これらの請求については、架空請求の可能性があります。請求された内容について不明な点や不安があった場合には、相手に連絡したり、料金を支払ったりする前に、各地の消費生活センター(消費者ホットライン「188」番)等に相談してください。強引に金銭を要求された場合には、警察に相談しましょう。

Q3-3 プリペイドカードの番号を知らせる方法で震災の募金をしてほしいという怪しい電話が非通知でかかってきた。
A

全国の消費生活センターにはプリペイドカードを不正に取得しようとするトラブルに関する相談が複数寄せられています。義援金や支援金の募金の方法として、「プリペイドカードを購入し、その番号を知らせてほしい」と言われても、すぐに応じずによく確認しましょう。不安に思ったりトラブルに遭ったりした場合は、最寄りの消費生活センター(消費者ホットライン「188」番)等に相談しましょう。

Q3-4 携帯電話に義援金の申込みについてのメールが届いた。「受付ありがとうございます」とあるが、どう対応すればよいのか。
A

義援金や支援物資を募る電子メールが届いたとしても、募集している団体等の活動状況や使途についてよく確認しましょう。義援金は納得した上で寄付し、その指定されている振込先が、確かにその団体の正規の口座であるかも確認しましょう。不安に思ったりトラブルに遭ったりした場合は、最寄りの消費生活センター(消費者ホットライン「188」番)等に相談しましょう。

4.火災保険(地震保険)

Q4-1 保険会社に、一部損にも満たないため保険金支払の対象外と言われた。
A

地震保険では、各保険会社共通の「損害認定基準」に基づき、保険の対象である建物及び家財について、その損害の程度に応じ、全損、半損、一部損の3段階に区分して損害認定をします。一部損とは、主要構造部(基礎、柱、壁、屋根など)の損害額が時価の3%以上20%未満の場合、又は、床上浸水や建物の直下の地面から45センチメートルを超える浸水を受けた場合です。なお、損害の程度が一定の基準を下回る場合は、保険金支払の対象外となります。
また、支払われる保険金は、全損であれば契約金額の100%、半損であれば50%、一部損であれば5%となります。
保険会社の損害認定に不服がある場合には、当該保険会社の保険金支払に関する相談窓口へお問い合わせください。
また、(社)日本損害保険協会が運営する「そんぽADRセンター(損害保険相談・紛争解決サポートセンター)」で苦情の申出や紛争解決の相談をすることができます。


注)本資料は独立行政法人国民生活センターの協力により作成しております。

少しでも疑問や不安を感じたら消費者ホットライン「188」番に御相談ください。

平成28年5月27日更新(熊本地震の相談事例を参考に追加)

担当:消費者政策課