第2部 第2章 第2節 4.事業活動におけるコンプライアンス向上に向けての自主的な取組の推進
第2部 消費者政策の実施の状況
第2章 消費者政策の実施の状況の詳細
第2節 消費者による公正かつ持続可能な社会への参画等を通じた経済・社会構造の変革の促進
4.事業活動におけるコンプライアンス向上に向けての自主的な取組の推進
(1)公益通報者保護制度を活用したコンプライアンス確保の推進
消費者が安全で豊かな消費生活を安心して営むことができる社会を実現していく上で、事業者の不祥事を防止するという観点は重要です。事業者内部の労働者からの通報を正当な行為として、解雇等の不利益な取扱いが行われないよう、労働者を保護する必要があります。
こうしたことから、公益通報者保護法が2004年に成立し、2006年から施行されています。同法では、労働者がどこへどのような内容の通報を行えば保護されるのかという保護の要件や、公益通報に関して事業者・行政機関が講ずべき措置等が定められています。同法については、「公益通報者保護法の一部を改正する法律」(令和2年法律第51号)が2020年に成立し、2022年6月から施行されました。同改正法では、事業者に対する内部公益通報対応体制整備の義務付け及び同義務違反等に対する行政措置(助言・指導、勧告及び勧告に従わない場合の公表)の導入、公益通報対応業務従事者等に対する守秘義務及び同義務違反に対する罰則の新設、行政機関への公益通報に関する保護要件の緩和、保護対象となる通報者や通報対象事実の範囲の拡大等が行われました。
消費者庁では、同改正法の規定に基づく調査や行政措置を適確に実施するとともに、公益通報者保護制度について分かりやすく解説した冊子「公益通報ハンドブック 改正法(令和4年6月施行)準拠版」の作成・配布や、逐条解説の公表、消費者庁ウェブサイトにおける解説動画・Q&A・研修資料の公開、全国各地での説明会の開催等の周知・啓発活動に引き続き取り組みました。
(2)景品表示法の普及啓発
消費者庁では公正取引委員会の協力を得ながら、景品表示法の普及・啓発及び同法違反行為の未然防止等のために消費者団体、地方公共団体、事業者団体や広告関係の団体が主催する景品表示法に関する講習会、研修会等に講師を派遣しています。2022年度は景品表示法に関する説明会等に170回講師派遣を行い、受講者数は計約1万4910人でした。
そのほか、景品表示法の概要等を取りまとめたパンフレット「事例でわかる 景品表示法」を、消費者団体、地方公共団体、事業者団体等に対し、2022年度は約3,500部配布しました。
(3)公正競争規約の積極的な活用、円滑な運用のための支援
不当な表示や過大な景品類を効果的に規制するため、業界自らが自主的かつ積極的に守るべきルールとして定めた「公正競争規約」が積極的に活用され、適切な運用が行われるように公正取引協議会等を支援することは、景品表示法違反行為の未然防止等の観点からも必要不可欠です。
公正取引委員会及び消費者庁では、公正競争規約の新設及び所要の変更について公正取引協議会等から相談を受け認定を行うとともに、規約の適正な運用等について必要な助言等を行うこと等により、公正競争規約の積極的な活用や適切な運用を促進しています。
2022年度は、公正競争規約の1件の新設と9件の変更について認定を行いました。また、公正取引協議会等関連団体が主催する研修会等へ24回講師を派遣し、公正取引協議会等の会員等が約3,120名参加しています。
担当:参事官(調査研究・国際担当)