第2部 第1章 第1節 消費者基本計画
第2部 消費者政策の実施の状況
第1章 消費者庁の主な消費者政策
第1節 消費者基本計画
消費者基本計画及び消費者基本計画工程表について
消費者庁では、消費者基本法の規定に基づき、消費者政策を計画的に進め、消費者の利益の擁護・増進を図るための政府の施策の方針を定める消費者基本計画を策定しています。
また、消費者基本計画に定めた方針に則り、関係省庁等が講ずべき具体的施策が検証可能な形で体系的・包括的に推進されるよう、各施策の取組予定及びKPI(重要業績評価指標:Key Performance Indicator)を明示した消費者基本計画工程表(以下「工程表」という。)を決定しています。工程表の作成に当たっては、国民の意見を反映させるための取組を実施するとともに、消費者基本法の規定に基づき消費者委員会の意見を聴取した上で、消費者政策会議において決定しています。工程表の決定後は、施策の進捗状況を毎年度確認し、必要に応じて工程表を見直すこととしています。
現行の第4期消費者基本計画は、2020年度から2024年度までの5年間を対象期間として2020年3月に閣議決定され、同年7月には工程表が決定されました。2021年6月には、新型コロナウイルス感染症の感染拡大とそれに伴う消費生活の変容を踏まえた消費者政策を推進するため、同基本計画及び工程表について必要な見直しを行いました。
消費者基本計画工程表のポイント
工程表は、同基本計画における政策の基本方針に沿って、重点的に進めるべき施策を5本の柱に整理しています(図表Ⅱ-1-1-1)。
第一の柱は「消費者被害の防止」です。消費者事故から消費者を守るため、事故情報の収集や情報に基づいた注意喚起等を行うこととしています。また、高齢者等のほか、地域社会から孤立した消費者や、電子商取引に不慣れで一時的にぜい弱な状態となる消費者の増加等、消費者の多様化が進んでいます。消費者のぜい弱性を狙った悪質事業者の市場からの排除を図るため、特定商取引法等の厳格な法執行を推進することとしています。さらに、商品やサービスの選択の基礎である表示の適正さを確保するため、景品表示法等の厳格な執行や必要な制度見直しを行うほか、新たな食品表示制度の適切な運用を図ることとしています。
第二の柱は「消費者による公正かつ持続可能な社会への参画等を通じた経済・社会構造の変革の促進」です。「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標12「つくる責任 つかう責任」の達成に向け、食品ロスの削減やサステナブルファッションに関する取組等、エシカル消費(注1)に関する取組を推進するとともに、消費者志向経営(注2)を促進することとしています。
第三の柱では、デジタル化や消費生活の国際化の進展を踏まえ、「『新しい生活様式』の実践その他多様な課題への機動的・集中的な対応」を掲げています。電子商取引の活発化に伴う国境を越えた消費者トラブルに着実に対応するほか、デジタルプラットフォームを介した取引等における消費者利益の保護への対応を行うこととしています。
第四の柱は「消費者教育の推進及び消費者への情報提供の実施」です。消費者トラブルから自分の身を守る「だまされない消費者」や持続可能な社会の実現に向けて「自ら考え行動する消費者」を育むための消費者教育を総合的・体系的に推進することとしています。
第五の柱は「消費者行政を推進するための体制整備」です。地方消費者行政の充実・強化に向け、「地方消費者行政強化作戦2020」を策定し、相談体制の強化、質の向上等を推進するとともに、社会のデジタル化等に対応するため、消費生活相談のデジタル化を推進することとしています。また、2020年7月に徳島県に設置した「新未来創造戦略本部」の活用を進め、消費者政策に関する研究を推進することとしています。
なお、2023年度に改定する工程表においては、2022年6月、12月及び2023年3月に出された消費者委員会の意見を踏まえ、2022年度の工程表にある施策の中から重点施策を選定し、EBPM(注3)の徹底の観点からKPIの充実等を図った上で、施策の進捗状況を検証することとしています。
担当:参事官(調査研究・国際担当)