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第2部 第2章 第4節 3.消費者団体、事業者・事業者団体等による自主的な取組の支援・促進

第2部 消費者政策の実施の状況

第2章 消費者政策の実施の状況の詳細

第4節 消費者が主役となって選択・行動できる社会の形成

3.消費者団体、事業者・事業者団体等による自主的な取組の支援・促進

(1)消費者団体等との連携及び支援等

消費者行政の推進に当たっては、幅広い関係者に消費者庁の「サポーター」や「提案者」になってもらうことが重要です。特に、消費者団体は、消費生活の実態に即し、消費者の埋もれがちな声を集約し、具体的な意見にまとめて表明する団体であり、その継続的・持続的な活動は消費者行政の推進に当たり極めて重要です。

このため、消費者庁では、全国の消費者団体等と定期的に意見交換の場を設けており、2019年度は、例年開催している在京2団体との意見交換会を2回開催しました。さらに、2018年度からの新たな取組として、より密度の高い意見交換を行うため、消費者団体と個別(注86)に、現下の消費者課題に対して意見交換会の機会を設け、政策の企画・立案への反映に向けた取組を行っています。また、電子メールを用いた消費者団体等との意見交換システムを運用し(注87)、全国の消費者団体等との情報・意見交換を行っています。さらに、消費者団体等が開催するシンポジウム等に消費者庁幹部等を派遣し講演等を行い、消費者団体の広報誌等への寄稿やインタビュー取材に対応するなど、消費者団体等とコミュニケーションを図るとともに、消費者団体等の活動を支援しています。加えて、高齢者及び障害者の消費者被害の防止を図るため、消費者団体、高齢福祉関係団体、障害者団体、関係府省等で構成される、「高齢消費者・障がい消費者見守りネットワーク連絡協議会」を開催し、消費者トラブルについての情報共有をするとともに、見守り活動の積極的な取組に向けた申合せを公表するなどの取組を行っています。

また、地域における消費者問題解決力の向上を図る上で、行政と消費者団体を含む地域の多様な主体との連携が不可欠です。このため、当面の重要課題の解決を見据えた、つながりの場として、「地方消費者フォーラム」を開催し、地域における消費者団体等の連携強化と活動の活性化を支援しています。

消費者庁の主催による2019年度消費者月間シンポジウム(2019年5月)では、「ともに築こう 豊かな消費社会 ~誰一人取り残さない2019~」をテーマにパネルディスカッション等が行われ、様々な方の活躍を紹介し、未来に向けた行動について考えていただく機会となりました。

(2)消費者志向経営の推進に向けた方策の検討・実施と情報提供、消費者団体と事業者団体との連携促進等

消費者庁は、第3期消費者基本計画を踏まえ、事業者団体や消費者団体と連携して、事業者の消費者志向経営(愛称:サステナブル経営)を推進しています。

2016年10月に開催した「消費者志向経営推進キックオフシンポジウム」において、事業者団体、消費者団体、消費者庁で構成される消費者志向経営推進組織(プラットフォーム)を設けました。その後、同推進組織では、「消費者志向自主宣言・フォローアップ活動(注88)」等の推進活動を進めています。2020年3月末時点で、153事業者が自主宣言を公表しており、宣言内容に基づいた取組のフォローアップ結果も69事業者が公表しています。

2017年10月には、新未来創造オフィスにおける取組として、徳島県との共催により、「とくしま消費者志向経営推進キックオフシンポジウム」を開催し、徳島県、事業者団体、消費者団体等で構成される「とくしま消費者志向経営推進組織」が発足しました。新未来創造オフィスが同推進組織や四国の地方公共団体と連携した取組の結果として、2020年3月末時点で、四国内の54事業者が自主宣言を公表しています。

また、消費者志向経営のより一層の推進に向けて、優良事例を発信していくため、2018年度から「消費者志向経営優良事例表彰」を開始しました。当該表彰は、自主宣言を公表し、かつ、フォローアップ結果を公表している事業者の取組のうち、優れた取組を表彰するものです。2019年度には、内閣府特命担当大臣表彰1件及び消費者庁長官表彰3件を授与し、2020年1月24日に開催した日経SDGsフォーラムにおいて表彰式を行いました。

経済産業省では、2016年度、学識経験者、有識者、事業者、消費者団体、マスコミ等、幅広い関係者を構成員とし、2030年頃の消費経済市場を見据えつつ、消費者意識の変化、より一層の消費者理解やそれに伴う企業経営の在り方、消費者起点のイノベーション等について検討を行う「消費インテリジェンス研究会」を年度内に5回開催し、2017年3月に報告書を取りまとめました。

(3)公益通報者保護制度の推進

消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会を実現していく上で、これを損なうような企業の不祥事を防止するという観点は重要です。企業の不祥事は、企業内部の労働者からの通報をきっかけに明らかになることが少なくないことからも、労働者のこうした通報を正当な行為として解雇等の不利益な取扱いから保護する必要があります。

こうしたことから、公益通報者保護法が2004年に成立し、2006年から施行されています。同法では、労働者がどこへどのような内容の通報を行えば保護されるのかという保護の要件や、公益通報に関して事業者・行政機関が講ずるべき措置等が定められています。

なお、公益通報の対象は、国民生活の安心や安全を脅かす法令違反の発生と被害の防止を図る観点から、「国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法律」に違反する一定の行為となっており、2019年度末時点で、470本の法律が対象法律として定められています。

消費者庁では、事業者のコンプライアンス経営を促進するため、民間事業者向け説明会の開催等を通じて、公益通報者保護制度の意義・重要性について周知を行っているほか、行政機関職員向けの公益通報者保護制度に関する研修会を全国各地で開催しています(2019年度は民間事業者・行政機関向け合計11回開催)。また、公益通報者保護制度について分かりやすく解説した動画DVD、ハンドブック等を、労働者や民間事業者、行政機関等に広く配布するなど、周知啓発に取り組むとともに、制度の運用状況等を把握するための調査等も行っています。

また、公益通報者保護法について、規律の在り方や行政の果たすべき役割等に関する方策を検討するため、2018年1月に、内閣総理大臣から消費者委員会に対し諮問が行われました。2018年12月に、同諮問に対して消費者委員会から答申が出されたところ、消費者庁では、同答申の内容、2019年1月から3月にかけて実施した意見募集の結果(同年5月結果公表)等を踏まえ、所要の改正を行う法案の検討を行いました。このような検討を経て、2020年3月には、事業者に対する通報体制整備の義務付け、公益通報対応業務従事者等に対する守秘義務及び同義務違反に対する罰則の新設、行政機関への通報に関する保護要件の緩和、保護対象となる通報者や通報対象事実の範囲の拡大等を内容とする公益通報者保護法の一部を改正する法律案が第201回国会に提出されました。

このほか、公益通報者保護制度の実効性向上に向けた取組として、内部通報制度を適切に整備・運用している事業者に関する認証制度(自己適合宣言登録制度)の運用を2019年2月から開始し、2019年度末時点で、56事業者が同制度に登録されています。

加えて、新未来創造オフィスでは、公益通報者保護制度の整備を促進するための先進的な取組を行ってきました。その結果、徳島県内市町村の内部通報窓口及び外部通報窓口の整備率100%(2017年度)、同県内市町村の共通の外部通報窓口の整備(2018年度)、愛媛県及び香川県内市町の内部通報窓口並びに外部通報窓口の整備率100%(2019年度)、高知県内市町村の内部通報窓口及び外部通報窓口の整備率の大幅な向上(2019年度)等が達成されました。今後は、これらの取組の効果を検証し、全国展開のための課題等を分析した結果を踏まえ、先進事例を紹介するなど積極的に周知広報を行い、全国の地方公共団体、事業者の通報窓口の整備等を促進し、制度の一層の実効性の向上に取り組んでいきます。


  • 注86:2019年度は、在京3団体と個別に意見交換会を実施。
  • 注87:「だんたい通信」の名称でVol.182まで配信済み。同通信では配信登録団体からの意見を随時受け付けている。
  • 注88:事業者が自主的に消費者志向経営を行うことを自主宣言・公表し、宣言内容に基づいて取組を実施し、その結果をフォローアップして、公表する活動。推進組織では、各企業の自主宣言や取組を推進組織のウェブページ(消費者庁ウェブサイト内)へ掲載し、消費者・社会へ広く発信している。

担当:参事官(調査研究・国際担当)