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第2部 第2章 第3節 3.情報通信技術の進展に対応した取引の適正化

第2部 消費者政策の実施の状況

第2章 消費者政策の実施の状況の詳細

第3節 適正な取引の実現

3.情報通信技術の進展に対応した取引の適正化

(1)特定商取引法の通信販売での不法行為への対応

特定商取引法の通信販売については、通信販売業者に対して不適切な広告の改善を求めるとともに、執行を補完する取組として、ISP(注62)等に対し、ウェブサイトの削除等を促しています。

消費者庁では、通信販売業者に対し、2019年度は1,023件の改善指導を行っています。

(2)特定電子メールの送信の適正化等に関する法律に基づく行政処分等の実施

総務省及び消費者庁では、特定電子メール法の規定に基づき、行政処分や行政指導の実施により、同法に違反する特定電子メールに起因した消費者被害を削減することとしています。

2019年度は、同法に違反したことが疑われる送信者に対する警告メール(行政指導)を約52,000件送信しました。

(3)迷惑メール追放支援プロジェクトの実施

総務省では、2005年2月から、官民協力の下で迷惑メールの追放を目的とした「迷惑メール追放支援プロジェクト」を実施しており、調査端末で受信した迷惑メールの違法性を確認し、当該メールに関する情報を送信元プロバイダに通知することにより、送信元プロバイダにおける、迷惑メール送信回線の利用停止措置等の自主的な取組を促しています。

2019年度は、調査端末で受信した迷惑メールの違法性を確認し、違法性が確認されたメール約5,000件に関する情報を送信元プロバイダに通知しました。

(4)インターネット上の消費者トラブルへの対応

高度情報通信社会の進展により、インターネットを活用した取引が増加して利便性が向上する一方、それに関連する様々な消費者問題も数多く発生しています。

消費者庁では、インターネット消費者トラブル等の動向を踏まえ、毎回個別のテーマを設定している「インターネット消費者取引連絡会」を開催しています。2019年度は「プラットフォームサービス等」、「インバウンド等」、「サブスクリプション(注63)」、「リユース」をテーマとして、それぞれのテーマについて調査研究を実施し、会議を開催しました。

(5)電子商取引環境整備に資するルール整備

インターネットの普及に伴い、電子商取引や情報財取引は幅広い消費者に活用され、重要な取引手段の一つとなっています。

経済産業省の「電子商取引に関する市場調査(注64)」によれば、2018年の日本のBtoC(注65)電子商取引の市場規模は17.98兆円(前年比8.1%増)にまで達しており、今後も一層拡大していくことが予想されます。

「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(以下「準則」という。)は、このような電子商取引、情報財取引等のIT活用の普及に伴って発生する様々な法的問題点について、民法を始めとする関係する法律がどのように適用されるのかを明らかにすることにより、取引当事者の予見可能性を高め、取引の円滑化に資することを目的として、経済産業省が2002年3月に策定したものです(策定時の名称は「電子商取引等に関する準則」。)。

経済産業省では、2019年12月19日に、準則の改訂を実施しました。次回改訂(2020年前半に公表予定)に向け、検討作業を実施中です。


  • 注62:ISPとは、インターネットサービスプロバイダ(Internet Service Provider)の略。
  • 注63:月額料金等定額を支払うことにより、契約期間中、商品やサービス(動画や音楽等のデジタルコンテンツ、ソフトウェア等)の利用が可能となるもの。
  • 注64:経済産業省「我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」(2018年度)
  • 注65:商取引の形態の一つで、企業(business)と一般消費者(consumer)の取引のこと。企業間の取引はBtoB、一般消費者同士の取引をCtoCという。

担当:参事官(調査研究・国際担当)