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第2部 第1章 第5節 消費者教育の推進及び消費者への情報提供の実施

第2部 消費者政策の実施の状況

第1章 消費者庁における主な消費者政策

第5節 消費者教育の推進及び消費者への情報提供の実施

消費者教育の総合的、体系的かつ効果的な推進

2004年の消費者保護基本法から消費者基本法への改正により、消費者教育を受けることは、「消費者の権利」の一つとして掲げられ、2012年には、消費者教育推進法が成立し、施行されました。

消費者教育推進法は、消費者教育について、「消費者の自立を支援するために行われる消費生活に関する教育(消費者が主体的に消費者市民社会の形成に参画することの重要性について理解及び関心を深めるための教育を含む。)」としています。

消費者教育推進法第9条の規定に基づき策定した「消費者教育の推進に関する基本的な方針」(平成25年6月閣議決定、平成30年3月変更。以下「基本方針」という。)では、「自立した消費者」について、「被害に遭わない消費者であること」、「合理的意思決定のできる消費者であること」、これに加えて、「社会の一員として、より良い市場とより良い社会の発展のために積極的に関与する消費者であること」としています。つまり、消費者は、自らも消費生活に関する知識の取得・情報収集等に努め、自身で合理的な意思決定を行い、被害を認識し、危害を回避し、被害に遭った場合には適切に対処する能力を身に付けることが重要であり、さらに、社会の発展と改善に積極的に参加することが期待されています。

このため、消費者教育が体系的・総合的に推進され、誰もが、どこに住んでいても、生涯を通じて、様々な場で、消費者教育を受ける機会が提供されるよう、国では、消費者教育推進法に基づき設置された消費者教育推進会議(以下「推進会議」という。)での議論を踏まえ、具体的な施策を検討し、実施しています。また、地方公共団体は、地域特性に応じた消費者教育の取組を推進し、消費者団体、事業者、事業者団体等の様々な主体も、消費者教育の担い手にとっての指針である基本方針を踏まえ、様々な取組を進めてきました。

2018年には、基本方針の策定から5年が経過することから、消費生活を取り巻く環境の変化と消費者教育の推進に関する施策の実施状況を踏まえて変更を行い、「当面の重点事項」を示しています。具体的には、1若年者の消費者被害防止・救済、及び社会の一員として自主的かつ合理的に行動する自立した消費者の育成のための、学校における消費者教育の推進、2消費者の特性に配慮し、ライフステージに応じた消費者教育の推進、3高度情報通信ネットワーク社会の発展に対応した消費者教育の推進を掲げています。

若年者への消費者教育や地域における消費者教育の推進等

2017年8月から始動した第3期推進会議では、重点事項の実現に向け、個別の課題について機動的に議論し、具体的な提言等を行うために推進会議の下で開催する分科会において具体的な方策についての議論を行いました。

まず、2017年8月から開催した「若年者の消費者教育分科会」では、教員の指導力向上について検討を行い、2018年6月に取りまとめが行われました。具体的には、教職課程における消費者教育の充実や、有機的に連携した継続的な体制の構築並びに講座開設数の増加及び内容の充実、外部人材等の活用及び育成についての提言と具体的方策が示されました。この内容は、成年年齢引下げを見据え、実践的な消費者教育の実施を推進するため、関係省庁で連携して決定した「若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム」(2018年2月20日若年者への消費者教育の推進に関する4省庁関係局長連絡会議決定)にも盛り込んでいます。

その後、同分科会では、消費者教育教材の在り方について検討を行い、2019年7月の取りまとめでは、消費者教育教材の提供方法及び効果的な周知に係る今後の方向性等についての提言がされています。具体的には、学校現場における活用を促すための効果的な教材開発、消費者庁が運営する消費者教育ポータルサイトの見直し等が盛り込まれました(注28)(図表II-1-5-1)。

また、消費者の特性に配慮した体系的な消費者教育の推進に関し、その実現に向けた検討を行うことを目的に、2019年1月から開催した「地域における消費者教育の充実に向けた連携に関する分科会」では、消費者教育コーディネーターの育成・配置を課題として取り上げて議論を行いました。同年7月の取りまとめでは、地方公共団体におけるコーディネート機能の強化に向けて国として取り組むべき事項についての提言や、今後の消費者教育コーディネーターの活用の在り方が示されるとともに、消費者教育推進計画と消費者教育推進地域協議会の実効性確保等、引き続き、推進会議において検討を行うこととする課題も示されています。

2019年10月からは、第4期推進会議が始動し、社会情勢の変化等に対応した課題として、地域における消費者教育の推進等に関する事項、消費者教育ポータルサイトの全面見直しに向けた検討を行うこととされています。

図表2-1-5-1消費者教育教材の在り方


  • 注28:詳細は、「若年者の消費者教育分科会取りまとめ(消費者教育教材の在り方)」(2019年7月 若年者の消費者教育分科会)参照。

担当:参事官(調査研究・国際担当)