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第2部 第1章 第2節 (4)消費者の苦情処理、紛争解決のための枠組みの整備

第2部 消費者政策の実施の状況

第1章 消費者庁における主な消費者政策

第2節 消費者被害の防止

(4)消費者の苦情処理、紛争解決のための枠組みの整備

消費者団体訴訟制度の運用

1消費者団体訴訟制度の概要

消費者契約に関連した被害は、同種の被害が多数発生するという特徴があり、消費者被害の未然防止・拡大防止を図ることが重要です。消費者契約法は、消費者被害の未然防止・拡大防止の実効性を確保するため、2006年6月に改正され、適格消費者団体が事業者の不当な行為に対して差止請求権を行使することができる制度が創設され、2007年6月に施行されました。適格消費者団体の差止請求権は、2009年4月から景品表示法に、同年12月から特定商取引法に、2015年4月から食品表示法にそれぞれ規定され、行使できる対象が拡大されています。

差止請求権を行使する主体である「適格消費者団体」とは、不特定かつ多数の消費者の利益のために差止請求権を行使するのに必要な適格性を有するとして内閣総理大臣の認定を受けた法人をいい、2020年4月1日時点では、21団体が認定されています。適格消費者団体による差止請求は、制度の運用開始から2020年4月1日までの間に約700事業者に対して行われていることが報告されており、うち約70事業者に対し、差止請求訴訟が提起されています。

また、消費者被害については、消費者と事業者との間に情報や交渉力の格差があり、紛争解決に費用及び労力がかかることから、個々の消費者が被害の回復を図ることには困難を伴う場合があります。そこで、消費者の財産的被害を集団的に回復するため、消費者裁判手続特例法が制定されました。同法は2016年10月に施行され、同法に基づき、特定適格消費者団体が被害回復裁判手続を行い、事業者から被害金額を取り戻すことができるようになりました。手続の主体となる「特定適格消費者団体」とは、適格消費者団体のうちから、上述の被害回復裁判手続を追行する適格性を有するとして内閣総理大臣の認定を受けた法人をいい、2020年4月1日時点では3団体が認定されています。

消費者裁判手続特例法では、二段階の手続により消費者被害の回復が図られます(図表II-1-2-16)。第1段階の手続(共通義務確認訴訟)では、特定適格消費者団体が原告となり、相当多数の消費者に生じた財産的被害について、事業者が金銭の支払義務を負うか否かを裁判所が判断します。第1段階の手続で事業者の義務が認められた場合、第2段階の手続(対象債権の確定手続)開始が申し立てられ、個々の消費者から授権された特定適格消費者団体が対象債権を届け出るなどして、簡易な手続でそれぞれの債権の有無や金額が迅速に確定されます。裁判所の簡易確定決定に対して異議が申し立てられた場合には、異議後の訴訟により債権の有無、金額が判断されます。

2適格消費者団体等に対する支援

消費者庁では、財政面の支援として、適格消費者団体等に対する寄附がより集まりやすくなるように、2017年10月に関係する内閣府令を改正するとともに、適格消費者団体等に対して助成を行うことを目的として同年に設立された民間基金(消費者スマイル基金)を含めた制度等の周知に取り組むなど財政的な自立に資する支援を実施しています。加えて、地方消費者行政強化交付金の活用等による適格消費者団体等の設立に向けた取組の支援を実施しています。

また、情報面の支援として、適格消費者団体等からの申請に基づき、PIO-NETの情報の一部や、当該情報を整理して消費生活相談が急増傾向にある事業者や商品・役務をまとめた、いわゆる急増指標を提供できることとし、さらに、2019年4月からPIO-NETの情報の提供につき、「処理結果」及び「解決内容」に関する情報についても提供できるよう、提供内容を拡大したところです。

引き続き、財政面及び情報面を含め様々な側面において、適格消費者団体等に対する支援に取り組んでいきます。

図表2-1-2-162段階型の訴訟制度

担当:参事官(調査研究・国際担当)