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第1部 第2章 第3節 (4)プラスチックごみを減らすために

第1部 消費者問題の動向と消費者意識・行動

第2章 【特集】つくる責任、つかう責任、減らす責任~食品ロス削減--持続可能な社会のために~

第3節 プラスチックごみ問題の解決に向けて

(4)プラスチックごみを減らすために

環境省では、プラスチック資源循環戦略の策定に向けた検討と並行して、世界的な海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて、あらゆる普及啓発・広報を通じて海洋プラスチックごみ汚染の実態の正しい理解を促しつつ、国民的気運を醸成し、個人・地方公共団体・NGO・企業・研究機関等幅広い主体が連携協働して"プラスチックとの賢い付き合い方"を進めることを後押しするため、2018年10月に「プラスチック・スマート」キャンペーンを立ち上げました(図表I-2-3-5)。

また、家庭から一般廃棄物として排出される容器包装廃棄物のリサイクルシステムを構築するために制定された容器包装リサイクル法では、ペットボトルやプラスチック製容器包装を含む容器包装廃棄物の処理を、消費者は分別して排出し、市町村が分別収集し、事業者は再商品化(リサイクル)するという、3者の役割分担を決め、3者が一体となって容器包装廃棄物の削減に取り組むことを義務付けています。

プラスチックごみ問題を解決していくために、消費者は日々の消費行動の中で、分別して排出するだけでなく、様々な工夫や取組をすることができます。

3Rの中でも、まずは、不必要に使用・廃棄されるプラスチックを減らすため、ワンウェイのプラスチック製容器包装・製品のリデュース等を徹底することや、修繕・メンテナンス等による長寿命化、再使用等のリユース、シェアリングエコノミー等プラスチック製品を効率的に利用することが重要です。その上で、使用済みのプラスチックについては、「分ければ資源、混ぜればごみ」の考えに立って、効果的・効率的なリサイクルを行っていくことが必要です。以下では、消費者の生活に関連する工夫や取組をみていきます。

1 リデュース、リユース

ワンウェイプラスチック製容器包装・製品のリデュース

一人当たりのプラスチック容器包装の廃棄量を各国で比較すると、日本は米国に次いで多いとされています(注116)。また、消費者が、外食する際や、弁当や飲料を購入する際、プラスチック製の使い捨てストローやスプーン、フォーク等を利用することがあります。このため、プラスチック資源循環戦略においても、ワンウェイのプラスチック製容器包装・製品については、不必要に使用・廃棄されることのないよう、消費者のライフスタイル変革を促すこととされています。食品を持ち帰って家で食べるのであれば、店頭でフォークやスプーンを断ることは、ワンウェイプラスチックの使用量削減に効果的であるといえますし、マイボトルを持って外出することで、ペットボトルの使用量を減らすことができます。

消費者庁「消費者意識基本調査」(2019年度)で、日頃の買物で意識していることを聞いたところ、「容器や包装の少ないものを選ぶ」について意識している割合(「かなり意識している」+「ある程度意識している」。以下同じ。)は35.7%にとどまりましたが、「弁当・惣菜などを購入するときに不要なフォーク・スプーンをもらわない」について意識している割合は63.5%でした(図表I-2-3-6)。

レジ袋

消費者が、様々な商品を購入する際、レジでプラスチック製のレジ袋に入れて商品を渡されることが一般的です。レジ袋は、商品を持ち帰るだけでなく様々な用途があり、消費者にとって、とても身近なものであるといえます。

プラスチック資源循環戦略の中でも重点戦略の一つとしてリデュース等の徹底が位置付けられており、また、消費者のライフスタイルのイノベーション等を通じ、同戦略を推進していくこととしています。その取組の一環として、政府は、2020年7月からレジ袋有料義務化を全国で一律に開始することとし、それを通じて消費者のライフスタイル変革を促すこととしました(注117)(注118)。消費者がレジ袋を使わず持参したバッグを利用して商品を持ち帰る、いわゆる「マイバッグ運動」は、プラスチックごみ削減のために消費者が日常の消費行動でできる最も身近な取組といえます(注119)が、これまでも多くの消費者、地方公共団体、事業者等が取り組んでいます。

代替品の利用

消費者庁「消費者意識基本調査」(2019年度)で、日頃の買物で意識していることを聞いたところ、「レジ袋をもらわない」について意識している割合は、56.2%でした(図表I-2-3-7)。

そもそもプラスチック製品を使わない、捨てない、又はプラスチック使用量が少ない製品を選択することも、プラスチックごみ削減に効果的であるといえます。プラスチックは機能性に優れ、様々な面で人々の生活を支えているため、完全にプラスチック無しの生活をすることはできませんが、消費者がそれぞれの生活に合った形で、不必要なプラスチックの使用を減らしていくことが大切です。

事例 栃木県

全国初の県と県内全市町によるプラごみゼロ宣言

プラスチックごみによる海洋汚染防止に向けて、「海無し県」の栃木県でも川から海に流れ込むプラスチックごみの削減に取り組んでいます。栃木県では、プラスチックごみ対策の一層の強化を図るため、2019年8月に、全国初の県と県内全市町(栃木県内全25市町)によるプラごみゼロ宣言となる「栃木からの森里川湖(もりさとかわうみ)プラごみゼロ宣言」を行いました。

この取組の一つとして、栃木県では、不要なエコバッグを有効活用(リユース・シェア)する県庁deシェアバッグ事業を実施しています。この事業では、県庁職員から、使われずに家にとどまっている不要なエコバッグを寄付してもらい、県庁内のコンビニエンスストアの店頭に置き、買物時に利用してもらうようにしています。その店舗利用者のほとんどが県庁職員ということもあり、エコバッグは次回来店した際に戻してもらうことで、レジ袋の削減につながっています。


県庁deシェアバッグ(栃木県)


また、2019年10月には、栃木県内25市町104店舗の飲食店を対象に、生分解性素材のプラスチック(※)を利用したストロー(以下「生分解性ストロー」という。)の使用に関する実証事業を行いました。参加した店舗にアンケートを実施したところ、約6割が「今後も使いたいと思う」と回答しました。一方、生分解性ストローを使用するに当たっての主な課題として、単価が高い(2円/本)という意見や曲がるタイプ、太さ、色といったバリエーションがないという意見が出されました。

同県環境森林部廃棄物対策課長の笹川正憲氏は、「プラスチックごみゼロに向け、プラスチックとの上手なつきあい方を栃木県から発信していきたい」と語ります。

(※)環境中に放置した際、微生物によって分解され得るプラスチック


生分解性ストローの使用意向(栃木県)生分解性ストローを今後も使いたいと思うか(店舗数)


生分解性ストローの課題(栃木県)使用するに当たっての課題

事例 花王株式会社

「つめかえ・つけかえ用製品」によりプラスチック包装容器使用量を削減

花王株式会社では、2018年10月に「私たちのプラスチック包装容器宣言」を公表しました。同宣言では、プラスチックの包装容器は、安全に中身を保護して消費者に届ける上で重要な役割を果たしている一方、プラスチックの過度な利用は地球環境への影響が懸念され、もはや大量に作り続けることは許されない状況であることが指摘されています。その上で、「リデュース、リプレイス、リユース、リサイクル」の4Rの視点から、様々な取組を通して、プラスチック使用量の削減等を推進していくとしています。

リユースの具体的な取組として、容器を繰り返し使用できるよう「つめかえ・つけかえ用製品」等の新しいタイプの包装容器を開発しました。2018年12月時点の「つめかえ用製品」は295品目に上り、販売数量比率は、ほぼ80%で推移しています(本数ベース)。例えば、ボディ用洗浄剤やシャンプー・リンス、洗濯用液体洗剤等の「つめかえ・つけかえ用製品」によるプラスチック削減量は59,500トン、製品の濃縮等によるコンパクト化の効果を加味すると、削減量は93,100トンに上ります(全品が従来洗剤容器である場合との比較。同社2018年実績)。

また、「つめかえ・つけかえ用製品」に使用するプラスチックの体積は、従来洗剤容器と比べて約6分の1になりました。


プラスチック削減量(重量)


洗濯用液体洗剤容器の体積の比較(花王エコラボミュージアム展示より)


同社が運営している花王エコラボミュージアム館長の細川泰徳氏は、「当社の製品は、多くの家庭で、毎日のように使っていただく製品。モノづくりのプロセスだけでなく暮らしの中で使っている間も、当社独自の技術をいかし、環境に配慮した製品を作っていきたい」と語ります。

事例 アイカサ(株式会社Nature Innovation Group)

地球環境に優しい傘のシェアリングエコノミー

株式会社Nature Innovation Groupが提供する「アイカサ」は、日本初の傘のシェアリングサービスです。同社代表取締役の丸川照司氏は、マレーシアに留学中に様々なジャンルでシェアリングビジネスが浸透していることに衝撃を受け、更に日本での大量のビニール傘が消費され捨てられているという状況に接し、傘のシェアリングビジネスを思い立ちました。

アイカサは、「濡れない体験」を提供することをコンセプトにしたシェアリングサービスです。駅やコンビニ、教育機関等の人の集まる場所を中心に約700か所に設置してあるスポットから好きな時に傘を借り、使い終わったら最寄りのスポットに返せばよく、借りた場所に返す必要はありません。国内で無料の傘貸し出しサービスは返却率が低いものが多かったですが、アイカサは有料にすることで、99%の返却率となっています。利用料金は、月に3~4回借りてもビニール傘を買うよりも安くなるように、1日70円と設定しています。スポットを設置している事業者にとっては、利用者の利便性が高まることで集客効果が期待できます。利用者にとっても、節約につながる上に、家に不要なビニール傘がたまることがなく、ごみの削減にもつながる環境に優しい仕組みといえます。

丸川氏は、「消費者の皆さんには、まずは自分たちがたくさんの傘を無駄に消費している現状に気付き、アイカサで、傘を買ったり持ち歩いたりしなくても、快適に「濡れない体験」ができることを知ってほしい」と語ります。


アイカサの使い方(アプリの場合)


アイカサの設置例

2 リサイクル

使用済みプラスチック資源の効果的・効率的で持続可能な回収・再生利用を図るため、「分ければ資源、混ぜればごみ」の考えに立って、資源化のために必要な分別回収・リサイクル等が徹底されるよう推進していくことが大切です。

消費者には、市町村が定める分別ルールに従ってごみを排出することが求められています(図表I-2-3-8)。そうすることで、リサイクルしやすく、資源として再利用できる質の良い廃棄物が得られます。分別排出時には、リサイクルの対象とそうでないものを分け、汚れを落とすことでリサイクルの効率を上げることができます。

プラスチックごみ削減を推進するために

このように、プラスチックごみの削減に向けては、様々な主体によってそれぞれの段階で取組がなされていますが、これらは各主体単独ではなく、関連する主体相互の理解があってこそ効果的に推進されるものです。これはまさに、「幅広い主体が連携協働して"プラスチックとの賢い付き合い方"を進める」プラスチック・スマートの考えに合致するものであり、持続可能な社会の形成に向けた、今後の行政の在り方を示しているといえます。

事例 株式会社セブン-イレブン・ジャパン

世界初の店頭回収による循環型ペットボトルリサイクルの実現

株式会社セブン-イレブン・ジャパンでは2017年12月から、ペッボトル回収機を店頭に設置し、順次拡大しています(2020年2月時点で352台設置)。

回収機で回収されたペットボトルは、リサイクル工程を経て、ペットボトルに再生されます。また、協力した消費者には、回収機に投入したペットボトル本数に応じて、セブン&アイグループ等での買物で利用することができるnanacoポイントが付与されます。国内大手小売チェーンが、ペットボトルからペットボトル等への「循環型リサイクル」システムを構築し、消費者と共に取り組むことで、国内での資源循環が推進されます。2019年度における回収機でのペットボトル回収量は、セブン&アイグループ全体で約3億6500万本相当の約9,800トンにもなっています。

また、2019年6月からは、東京都東大和市、東大和市清掃事業協同組合、海洋ごみ対策を推進する公益財団法人日本財団と共同で、東大和市内全店のセブン-イレブン店舗に回収機を設置し、産官民が連携した使用済みペットボトルの回収促進に加えて、日本コカ・コーラ株式会社との共同企画により、セブン&アイグループの店頭で回収したペットボトルのみを原料にしたリサイクルペット100%の容器を使用した商品の販売を始めています。店頭で回収したペットボトルをリサイクルし、再びグループ内で販売する取組は世界初となります。

株式会社セブン-イレブン・ジャパンの西山純生氏は、「この取組を進めるに当たって、大きなポイントとなるのはお客様のご協力とそれを支える行政の理解です」と語ります。


店頭に設置されたペットボトル減容回収機


完全循環型ペットボトルリサイクルの仕組み


  • 注116:UNEP「Single-use plastics: A roadmap for sustainability」(2018年)
  • 注117:経済産業省、環境省「プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン」(2019年)
  • 注118:財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省の作成した事業者向けパンフレット「レジ袋有料化Q&Aガイド」(2020年2月)によれば、2020年7月1日から全国一律で開始するが、前倒しで有料化することを推奨している。
  • 注119:小売業の業界団体12団体が取りまとめた「小売業の店舗における新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」(2020年5月)では、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、マイバッグへの袋詰めを顧客自身で行うことやマイバッグの洗浄、消毒をすること等を顧客に呼び掛けることとしている。

担当:参事官(調査研究・国際担当)