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第1部 第1章 第2節 (3)生命・身体に関する事故情報の事例

第1部 消費者問題の動向と消費者意識・行動

第1章 消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果等

第2節 消費者庁に集約された生命・身体に関する事故情報等

(3)生命・身体に関する事故情報の事例

収集された事故情報を分析し、消費者庁や国民生活センターでは注意喚起を実施しています。以降では、2019年度に注意喚起を実施した事例について紹介します。

タトゥーシール等による事故

タトゥーシールは、絵や文字が印刷された台紙を皮膚に密着させ、転写するものです。フェイスペイント又はボディペイント(以下「フェイスペイント等」という。)は、肌に絵や文字を書くための塗料及びその行為を指します(図表I-1-2-9)。タトゥーシール、フェイスペイント等は、ハロウィンパーティー、スポーツ観戦等のイベントの際に手軽に楽しめるとあって、多くの種類の製品が販売されています。

ただし、タトゥーシール、フェイスペイント等は、現状、日本では安全性や品質等について明確な法規制や規準等はありません(注14)

タトゥーシールに関する事故情報は、事故情報データバンクにおいて2019年8月までに4件(注15)寄せられており、フェイスペイント等に関する事故情報は、医療機関ネットワーク事業参画機関から2013年に1件(注16)寄せられています。事故の内容はいずれも顔や体がかぶれる等の皮膚障害で、かゆみや赤くなるだけでなく、剥がした後にかさぶたになり色素沈着になった例もみられます。また、被害者は、子供や若い世代であることが特徴となっています。

販売されている製品を国民生活センターでテストしたところ、一部の製品において、化粧品に配合が認められていない物質や、アレルギーの原因になるとされる物質が検出されました。特に、子供の皮膚は大人に比べて表皮が薄く、皮膚障害が発生する可能性があります。

事故事例は少ないですが、イベント等で多くの人が使用することが予想されたことから、消費者庁と国民生活センターは2019年9月18日に共同でタトゥーシールやフェイスペイント等による肌トラブルについて注意喚起を実施しました(注17)

消費者へのアドバイスとして、1製品によっては、金属等のアレルギーを引き起こす成分が使用されており、アレルギー体質の方は成分表示を確認すること、2使用方法、剥がし方、対象年齢及び使用上の注意をよく読んでから使用すること、3事前に腕の内側などの目立たない部分で使用テストをすること、4肌に合わない場合はすぐに使用を中止し、かゆみ等の異常がある場合には皮膚科医を受診すること等、注意を呼び掛けています。

三輪自転車に関する事故

大人向けの三輪自転車は、近年では電動アシスト機能を搭載したものも販売されています。三輪自転車は後2輪のものが主流であり、走行中の挙動は二輪自転車とは異なります。

後2輪の三輪自転車の特徴として多くは、車体前部を左右に傾けることができるスイング機構を備えています。スイング機構にはバネが内蔵されており、傾けた車体を垂直状態に戻す復元力が働きます(図表I-1-2-10)。スイングさせて走行すると、二輪自転車と同様にカーブで車体ごと体を傾けることができるため、二輪自転車に乗れる人には違和感なく運転できるとされています。他方、常にバランスを取りながら走行しなければならないので、二輪自転車に乗れない人がすぐに運転するのは困難だと考えらます。

スイング機構を備えたものの中には、付属の固定金具を取り付けること等により垂直状態に固定できるものがあります。スイング機構を固定して走行すると、バランスを取らなくても車体が垂直状態を保つため、二輪自転車に乗れない人でも運転できる場合があります。

また、三輪自転車は二輪自転車より安定性があるように思われがちですが、カーブ走行や左右に傾斜した路面を走行する場合には、三輪自転車であっても転倒する危険性があるため、運転には注意が必要です。

PIO-NETにも2013年度以降の約6年間に大人向けの三輪自転車に関する相談が138件(注18)(2019年1月15日までの登録分)寄せられています。契約当事者年齢の割合をみると、70歳以上が全体の約7割を占めており、高齢者が転倒し骨折したという事例もみられました。

そのため、国民生活センターでは、後2輪の三輪自転車でカーブ走行や傾斜した路面を走行する場合等の特性についてテストを実施し、その結果を公表しました(注19)

テスト結果から、スイング機構を固定した場合、転倒する危険がある状況になることが分かりました。例えば、平たんな路面上のカーブを走行する場合、スイング機構を固定しているとカーブ走行の速度が速い場合は片輪が浮くことがありました。平たんな路面から傾斜面に進入する場合にも、スイング機構を固定していると傾斜面に車体後部が進入した途端に車体全体が傾いて乗員も振られ、さらに片輪が浮くことがありました(図表I-1-2-11)。

さらに、後車輪の片側のみが障害物に乗り上げるように障害物を通過したところ、スイング機構を固定していると、車体全体が傾いて乗員も振られ、転倒する危険性がありました(注20)(図表I-1-2-12)。

国民生活センターでは、消費者に対して、1購入や使用を考えている場合は、今回のテスト結果を参考に使用者の適応能力や道路環境を合わせて検討すること、2可能な限り試乗し、購入後には平たんな路面で十分に練習してから公道で使用すること、3後2輪のスイング機構を固定して走行する際は、必ず低速を心がけ、傾斜のある路面や凹凸のある路面では自転車から降り、押して歩くことをアドバイスしています。 また、事業者に対して、1商品カタログ等に二輪自転車とは異なる三輪自転車の特性について明確に記載すること、2三輪自転車の特性について、販売時の分かりやすい説明や試乗機会の充実等を要望しました。

図表1-1-2-9タトゥーシール、フェイスペイント

図表1-1-2-10三輪自転車の外観と後輪がスイングする様子

図表1-1-2-11傾斜面に侵入する様子(スイング機構を固定した場合、進入速度6km/h)

図表1-1-2-12障害物を通過する様子(スイング機構を固定した場合)


  • 注14:食品衛生法では、乳幼児が接触することにより、その健康を損なうおそれがあるものとして厚生労働大臣が指定するおもちゃに対して規格基準が定められており、これを満たさない物の販売、製造、輸入等を禁止している(食品衛生法第62条第1項の規定により準用する同法第18条)。乳幼児対象の商品に関してはその使用方法等によっては、食品衛生法に規定されたおもちゃに該当する可能性もある。
  • 注15:件数及び分類は、本件のために消費者庁が特別に精査したもの。
  • 注16:件数は、本件のために消費者庁が特別に精査したもの。
  • 注17:消費者庁・国民生活センター「タトゥーシールやフェイスペイントによる肌トラブルが発生!--除去の際の肌トラブルや金属アレルギーにも注意が必要です--」(2019年9月18日公表)
  • 注18:件数は本件のために国民生活センターが特別に精査したもの。
  • 注19:国民生活センター「三輪自転車の走行特性に注意--高齢者が転倒し骨折した事例も--」(2019年3月14日公表)
  • 注20:テスト対象の三輪自転車の取扱説明書には、例えば「スイング停止による走行は三輪自転車に慣れるまでの短い期間として下さい。(自転車に乗れない方が主に対象者です)スイング機能停止状態での走行は路面・傾斜等の影響で、著しくハンドル操作や自転車の走行性能が悪くなり、思わぬケガの原因となる場合があります。」等スイング機構を固定した状態での走行の注意点に関する記載がみられた。

担当:参事官(調査研究・国際担当)