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ICPEN詐欺防止月間(2022年)

はじめに

毎年、消費者月間に合わせて行っている「詐欺防止月間(Fraud Prevention Month)」の今年のテーマは、「金融消費者(financial consumer)」です。

消費者庁では、国境を越えた不正な取引行為を防止するための取組を促進する国際ネットワークであるICPEN(※1)に参画しています。その取組の一つである「詐欺防止月間(Fraud Prevention Month)」は、加盟国それぞれがテーマに沿った注意喚起などを実施しています。この取組を行うに当たり、メッセージを発出しますので、消費者の皆様におかれましては、詐欺被害の未然防止に役立ててください。

今年のテーマは、加盟国の意見を踏まえ、幹事国のコロンビアにおいて決定しました。同国によって啓発画像も作られているとおり、消費者が金融システムを通じて商品やサービスを購入する際、消費者が金融セクターとの関わり合いにおいて直面し得る詐欺、又は誤解を与えるような不完全な情報に遭遇する可能性に関して、注意を呼び掛けるものです。

図1 啓発画像(消費者庁仮訳)

海外の金融セクターにおける消費者被害の潮流

ICPENの取組の一つである、econsumer.gov(※2)では世界各国の苦情データを集計しています。同データによると、偽の暗号通貨投資が含まれる「その他投資関連」の2021年の苦情件数は、2019年の2倍以上に増加しています。これは、暗号資産が、ショッピングや送金などの際に支払・資金決済ツールとして利用される機会が増えていることに伴うものです。

図2 econsumer.gov「世界各国からの詐欺の報告」

国内における金融機関などを名のる事例

【事例1】銀行ではない業者による海外銀行の預金口座開設の勧誘

銀行ではない業者が、外国に実在する銀行名が記載されたパンフレット等を使って、日本に居ながら高金利の預金口座を開設できるなどと勧誘する事例が見られます。日本に居ながら、日本に拠点のない外国の銀行の預金口座を開設したり、預金をしたりするには、「外国銀行代理銀行」として認可を受けた銀行で手続をする必要があります。このような事例では、手数料や預金口座の開設資金をだまし取る詐欺である可能性が極めて高いと考えられます。

【事例2】登録業者を装った違法な金融業者

貸金業を営む者は、主たる営業所等の所在地を管轄する財務局長又は都道府県知事の登録を受けなければならないこととなっています。無登録業者の中には、免許等を受けた銀行や信託会社でないにもかかわらず、その商号中に「バンク」「信託」などという文字を使用している業者が見受けられます。
これらの違法な金融業者は、「低金利で融資」「他店で断られた方でもOK」「らくらく・簡単」「即日融資」など利用者の心理をついて誘い込んできます。このような金融業者から借入れをすると、違法な高金利のため、返済請求額は雪だるま式に膨れ上がり、あっという間に返済不能となり、少しでも返済が遅れた場合には、勤務先や親兄弟・親類まで脅迫まがいの厳しい取立てに遭い、精神的に追い詰められてしまいます。

【事例3】暗号資産に関するトラブル

インターネットを通じて電子的に取引される、いわゆる「暗号資産(仮想通貨)」をめぐるトラブルが増加しています。暗号資産交換業者は、金融庁・財務局への登録が必要です。利用する際は、登録を受けていない事業者でないか、無登録業者として警告された事業者でないか、必ず事前に確認することが重要です。 また、出会い系サイトやマッチングアプリ等をきっかけに「絶対もうかる」等と持ち掛けられて投資をした結果、返金されない又は出金できないなどのトラブルが発生しています。

終わりに

消費者の皆様も、金融システムを使用し、商品やサービスを購入する際には、契約内容などの内容をしっかり吟味し、十分に注意しましょう。契約などで「困ったな」と思ったら消費者ホットライン(188番)までお電話ください。

注釈

  • (※1)ICPEN(アイスペン:International Consumer Protection and Enforcement Network(消費者保護及び執行のための国際ネットワーク))は、国境を越えた不正な取引行為を防止するための取組の促進を目的とした、各国の消費者保護関係機関をメンバーとする非公式会合。
  • (※2)econsumer.govは、2001年4月からインターネット上の詐欺の難題に対応するため、また消費者の信頼を向上させるため、国境を越える電子商取引に関する苦情を収集・共有するプロジェクト。現在40か国以上の消費者保護機関が参加。

出典