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第2部 第2章 第6節 1.国(独立行政法人を含む。)の組織体制の充実・強化

第2部 消費者政策の実施の状況

第2章 消費者政策の実施の状況の詳細

第6節 国や地方の消費者行政の体制整備

1.国(独立行政法人を含む。)の組織体制の充実・強化

(1)消費者行政体制の更なる整備等(所管法律の点検・評価及び他の法律への関与の在り方等の検討・措置)

消費者庁の2018年度の政策評価としては、「消費者庁における政策評価に関する基本計画」(平成30年3月12日消費者庁長官決定)及び「平成30年度消費者庁政策評価実施計画」(平成30年12月27日消費者庁長官決定)に基づき、2019年8月に評価書を公表しました。これを踏まえ、2020年度には、先端的な取組を行う地方公共団体を支援するモデル事業の創設や、食品ロス削減推進室の新設等、設立から10年を迎えた消費者庁が、今後10年を見据え、社会経済の変化に伴う新たな課題に適切に対応していくために必要となる予算及び組織上の措置を行うこととしています。

また、実証に基づいた政策の分析・研究機能の拠点として徳島県に試行的に設置している新未来創造オフィスについては、2019年度を目途に検証・見直しを行うこととされていたことから、2017年12月から2019年5月にかけて消費者委員会消費者行政新未来創造プロジェクト検証専門調査会において検証が行われました。これらに基づき、消費者庁は、2019年8月に、2020年度に新未来創造オフィスを発展させ、徳島県に「消費者庁新未来創造戦略本部」を開設することを公表しました。戦略本部は、消費者庁の新たな恒常的拠点として、審議官級を現地の統括者とし、デジタル化への対応やぜい弱な消費者の保護等の分野を中心とした新たな消費者政策上の課題に関するモデルプロジェクトや政策研究、国際共同研究等に取り組むこととしています。

消費者委員会としては、「政府関係機関の地方移転にかかる今後の取組について」に基づき、消費者庁や国民生活センターの徳島県での取組について、消費者行政の進化等の観点から成果を検証し、提言・助言を行うとともに、3年後をめどに新未来創造オフィスの取組の検証・見直しに当たっての意見を述べることとされていました。そこで、必要な重要事項について調査審議するため、2017年11月に「消費者行政新未来創造プロジェクト検証専門調査会」を設置し、同年12月以降、同専門調査会を2019年5月までに計10回開催しました。同月、同専門調査会報告書を取りまとめるとともに、消費者委員会からの提言を発出しました。

(2)国際業務実施体制の強化

消費者庁では、国際業務実施体制の整備等のため、2016年度には国際室を設置し、定員を新規増員しました。2018年度は、米国FTCの研修プログラムに職員を派遣しました。

(3)消費者委員会の事務局体制の充実・強化等

消費者委員会は独立した第三者機関として、消費者の声を踏まえつつ自ら調査審議を行い、消費者庁を含む関係府省の消費者行政全般に対して建議等を実施するとともに、内閣総理大臣、関係各大臣等の諮問に応じて調査審議を行います。消費者行政が直面する諸課題に適切に対処するためには、消費者委員会が様々な消費者問題について調査審議を行い、積極的に建議等を行うことが重要です。

このため、内閣府において、事務局体制の充実・強化を図るための予算・定員要求を着実に行うとともに、民間の多様な専門分野における人材を任期付職員、技術参与や政策調査員等として任用し、消費者委員会が行う活動をしっかりと支えることとしています。

消費者委員会が調査審議を進めるために、関係府省への資料要求やヒアリング等を頻繁に実施しています。この結果、消費者委員会は2009年9月の発足以降、数多くの意見表明を行ってきており、消費者基本計画への反映、法令の改正・執行強化等を通じて、消費者行政の推進にいかされています。

2019年度は、2019年4月には、プラットフォームが介在する取引における消費者トラブルの状況とプラットフォーム事業者の消費者保護に向けた取組やプラットフォームが介在する取引に関わる各主体が担うべき役割等を内容とする「オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会報告書」を踏まえ、「プラットフォームが介在する取引の在り方に関する提言」を発出しました。

また、同年6月には、消費者法(取引分野)におけるルール形成の在り方やルールの実効性確保に資する方策、そして、事業者、事業者団体、消費者、消費者団体及び行政等の各主体の役割や連携方法を検討した上で取りまとめられた「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ報告書」を踏まえ、「消費者法(取引分野)におけるルール形成の在り方等に関する消費者委員会意見」を発出しました。

さらに、同年8月には、食品表示を取り巻く現状等について整理しつつ、消費者のニーズにも十分留意した上で、食品表示の全体像について検討を行った食品表示部会の報告書を踏まえ、「食品表示の全体像に関する提言」を発出したほか、物品等を販売すると同時に、当該物品等を預かり、自ら運用したり、第三者に貸し出すなどの事業を行うとして、利益の還元や、物品等の一定価格での買取りを行う商法を悪用し、多数の消費者に深刻な被害をもたらす事案が繰り返し発生していることを踏まえ、いわゆる販売預託商法に関する消費者問題についての建議及び意見を発出しました。

(4)障害者の消費者被害の防止策の強化

消費生活センター等へ寄せられる障害者の消費者被害に関する相談件数は、依然として多くなっています。また、相談の大半が障害者本人以外から寄せられるケースであることを考えると、実際にはより多くの障害者が被害に遭っていることが想定されます。

また、2016年4月に、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)が施行され、各行政機関には、障害者に対する不当な差別的取扱いの禁止及び合理的配慮の提供が義務付けられました。同法に基づき、各行政機関において、職員が適切に対応するための「対応要領」を策定するとともに、事業を所管する各主務大臣において、事業者が適切に対応するための「対応指針」を策定し、相談体制の整備等を図っています。

消費者庁では、高齢者及び障害者の消費者トラブルの防止等を目的とし、障害者団体のほか高齢者団体・福祉関係者団体・消費者団体、行政機関等を構成員とする「高齢消費者・障がい消費者見守りネットワーク連絡協議会」を2007年から開催し、消費者トラブルに関して情報を共有するとともに、悪質商法の新たな手口や対処の方法等の情報提供等を行う仕組みの構築を図ってきました。2019年10月に開催した「第15回高齢消費者・障がい消費者見守りネットワーク連絡協議会」では、「高齢者、障がい者の消費者トラブル防止のため積極的な情報発信を行う」、「多様な主体と緊密に連携して、高齢消費者・障がい消費者を見守り消費者トラブルの被害の回復と未然防止に取り組む」等の申合せをしました。

国民生活センターでは、引き続き障害者からの消費生活相談を受け付けるとともに、相談体制の更なる整備を行っています。

また、障害のある人やその周りの人々に悪質商法の手口やワンポイントアドバイス等をメールマガジンや国民生活センターのウェブサイトで伝える「見守り新鮮情報」を発行するとともに、障害者等に配慮する観点から、同センターのウェブサイトではウェブアクセシビリティ対応等を実施しました。

さらに、「くらしの豆知識(注108)」については2017年版をカラーユニバーサルデザインに配慮して作成し、2018年版以降は、カラーユニバーサルデザイン認証を取得しています。また、各年度にはデイジー図書(国際標準規格の視覚障害者向けデジタル録音図書)を作成・配布しています。

(5)国民生活センターによる消費生活センター等への相談支援機能強化

国民生活センターでは、全国の消費生活センター等からの商品やサービス等消費生活全般に関する相談や問合せ等に対応する「経由相談」を実施し、相談解決の支援を行っています。

各地の消費生活センター等への相談支援機能を強化するため、2011年度に専門チーム制を本格導入し、専門家からのヒアリング、事業者団体等との意見交換会等を多数行い、専門性の強化を図っています。

また、消費生活センター等のバックアップとして、土日祝日に窓口を開設していない消費生活センター等を支援するため、消費者ホットラインを通じて、「休日相談」を行うとともに、平日には、各地の消費生活センター等が通話中のために電話がつながらない場合に対応する「平日バックアップ相談」を運営しています。

さらに、地方の消費生活センター等が昼休みを設けることの多い平日の11時から13時までの時間帯に、消費者から電話で相談を受け付ける「お昼の消費生活相談」を行っています。

2019年度に「経由相談」は7,006件、「平日バックアップ相談」は3,896件、「お昼の消費生活相談」は2,580件を受け付けました。

また、2019年11月1日から12月13日までの43日間「令和元年秋台風関連消費者ホットライン」を実施し、140件の相談を受け、災害に見舞われた地域の消費生活センターの支援を行いました。

相談処理の専門性の強化を図るため、法律、自動車、土地・住宅、美容医療及び決済手段について高度専門相談を実施しています。

さらに、商品に関する苦情相談の解決のため、各地の消費生活センター等からの依頼を受けて商品テストを実施しています。

このほか、国民生活センター越境消費者センターにおいて、2015年6月から越境消費者相談の受付を開始し、2020年3月末時点で2万5135件の相談を受け付け、消費者に対して内容に応じた助言や情報提供を行いました。うち5件については、国民生活センターのウェブサイトでの公表を行いました。なお、海外提携機関は2020年4月1日時点で15機関となっています。

(6)消費者政策の推進等に向けた関係省庁等の連携強化

消費者庁では、2019年11月に消費者政策担当課長会議を開催しました。この会議では、関係府省と消費者政策に関連する最近の動向について意見交換を行い、今後も協力して消費者課題に取り組んでいくことを確認しました。

(7)消費者・生活者を主役とする行政を担う国家公務員の意識改革

「昇任時相談窓口等体験研修」は、「生活安心プロジェクト「消費者・生活者を主役とした行政への転換に向けて」(2008年4月国民生活審議会意見)に対するアクションプラン(工程表)」(同年7月生活安心プロジェクトに関する関係省庁局長会議決定)に基づき、各府省庁の審議官級職員を対象に2009年度に人事院と内閣府の共催により、試行的に開始されました。その後、第2期消費者基本計画(平成22年3月閣議決定)において継続的に実施することとされ、以後、人事院と消費者庁の共催により実施しています。

具体的には、国民生活センターや消費生活センター、行政相談所、日本司法支援センター(法テラス)、公共職業安定所、福祉事務所、年金事務所の協力を得て、消費者・生活者の声に触れる相談窓口業務を体験する業務体験研修(全体で2期間、うち1日派遣。)及び同研修で得られた経験や気付き、行政や公務員の在り方について考えたこと等を参加者間で討議するとともに、討議概要を発表する事後研修(全体で2回、うち1回参加。)から構成されています。

2019年度は、計105名が研修に参加しました。

研修終了後に実施したアンケートでは、参加者の97.1%から有益との回答を得るなど、高い評価を得ていることから、今後も継続して実施を予定しています。

(8)消費者からの情報・相談の受付体制の充実

消費者庁及び関係府省等では、消費者からの多様な情報・相談に対応するために、相談窓口ごとに電話、メール等の受付手段を拡充するなど、体制の整備を進めています。

消費者庁では、消費者からの情報・相談の受付体制の拡充について、関係府省庁等の相談窓口の設置状況を取りまとめています。主な相談窓口等は別表2(章末参照。)のとおりです。2018年10月の消費者政策担当課長会議では、受付体制の状況を把握するのに併せ、受付体制の維持・強化を促しました。


  • 注108:消費者トラブル対策に役立つ情報をコンパクトにまとめた年1回発行の冊子で、2020年版は「ひとり立ちを応援!消費生活ナビ」、「災害に備える」を特集。

担当:参事官(調査研究・国際担当)