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第2部 第2章 第3節 1.商品・サービス横断的な法令の厳正な執行、見直し

第2部 消費者政策の実施の状況

第2章 消費者政策の実施の状況の詳細

第3節 適正な取引の実現

1.商品・サービス横断的な法令の厳正な執行、見直し

(1)特定商取引法等の執行強化

消費者が商品を購入する際、通常は、店舗に出掛けて行って商品を見比べ、自分の必要とする品質・性能を持つかどうかや価格等を十分考慮します。一方、事業者からの電話で勧誘を受ける場合や、事業者が自宅に突然訪れて勧誘を受ける場合もあります。このような場合、消費者にとってみれば、いわば「不意打ち」のような形となり、商品について冷静かつ十分に吟味する時間もなく、適切な判断ができないおそれがあります。

そこで、特定商取引法では、事業者と消費者との間でトラブルを生じやすい取引類型(1訪問販売、2通信販売、3電話勧誘販売、4連鎖販売取引、5特定継続的役務提供、6業務提供誘引販売取引、7訪問購入)について、購入者等(消費者)の利益を保護し、商品の流通や役務の提供を適正で円滑なものとするため、事業者が守るべきルール(行為規制)と、クーリング・オフ等の消費者を守る民事ルールを定めています。事業者に同法の規制に違反する行為が確認され消費者の利益が著しく害されるおそれがあるときには、業務停止命令等の行政処分が行われています。

消費者庁では、特定商取引法について、権限委任を行い、かつ指揮監督下にある経済産業局と密な連携の下、執行を一元的に実施しており、2019年度は業務停止命令等を26件、指示を30件、業務禁止命令を33件実施しました。

(2)特定商取引法の見直し

取引の公正、購入者等が受けることのある損害の防止を図ることによる消費者の利益の保護を目的とした特定商取引法は、これまでにも累次にわたる改正が行われてきました。しかしながら、日本社会の高齢化やデジタル化の進展により、消費者のぜい弱性につけ込む形で悪質商法による被害が発生しています。このため、特定商取引法及び預託法について、法執行の強化・迅速化や、悪質ないわゆる販売預託商法への実効的な規制、経済のデジタル化に伴う欺もう的な販売手法への対処や新たな課題への対応も含め、実効的な対策を検討するため、令和2年2月から消費者庁では、「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」を開催しています。

(3)特定商取引法の適用除外とされている消費者保護関連法の必要な執行体制強化及び制度改正

特定商取引法の適用除外とされている分野は、それぞれの分野に関する法律によって消費者の利益を保護することができると認められるために適用除外とされているという趣旨に鑑み、当該法律の執行状況を踏まえ、それぞれの分野における消費者取引の適正化を図る観点から、必要に応じて制度改正等を検討・実施することとしています。

消費者庁では、関係省庁の協力を得て特定商取引法の適用除外とされている法律等の消費者保護関連法の執行状況を取りまとめ、消費者基本計画工程表の別表として公表しています。また、2018年9月に、消費者庁ウェブサイト内に、特定商取引法適用除外法令の運用状況が公表されているウェブサイトへのアクセス先を網羅的にまとめたページを新設し、2019年度には、2020年2月に内容を更新しました。

(4)消費者契約法の見直し

民法は、私人間の対等な当事者関係を前提として、取引に関するルールを定めていますが、そもそも消費者と事業者の間には情報量や交渉力に格差があることから、その格差を前提とした上で消費者の利益の擁護を図るためのルールを定めた消費者契約法が、2001年4月に施行されました。

消費者契約法は、あらゆる取引分野の消費者契約(消費者と事業者の間で締結される契約(労働契約を除く。))に幅広く適用され、不当な勧誘行為があればその契約を取り消すことができることとするとともに、不当な契約条項については無効とすること等を定めています。

2001年の施行以降、依然として、高齢者のみならず、若年者を含めた幅広い世代において消費者被害は生じています。また、消費者契約についての裁判例や消費生活相談事例が蓄積しており、その傾向等も踏まえた、適切な対応が求められました。こうした状況を踏まえ、社会生活上の経験不足や加齢等による判断力の低下を利用する行為を取消権の対象となる不当な勧誘行為として追加すること等を内容とする消費者契約法の一部を改正する法律(平成30年法律第54号)が、2018年6月に成立しました。

同法は2019年6月15日に施行されたところ、周知・広報活動の一環として、リーフレットの関係機関への配布、各種説明会での説明等を行いました。

また、同法の審議に当たり衆参両院の委員会で付された附帯決議の趣旨を踏まえ、2019年2月から「消費者契約法改正に向けた専門技術的側面の研究会」において、法制的・法技術的な観点から民法、商法、民事手続法及び経済学の研究者による検討が行われ、同年9月に研究会報告書が取りまとめられました。同報告書については、同年10月上旬まで意見募集を実施し、同年12月に結果を公表しました。

さらに、同報告書を踏まえつつ、2019年12月から「消費者契約に関する検討会」において、実効性の確保や実務への影響の観点から、消費者・事業者の関係者を含めて検討が行われています。

(5)消費者の財産被害に対する消費者安全法の厳正な執行等

消費者庁では、消費者の財産被害の発生又は拡大の防止のため、消費者安全法第12条第2項の規定に基づく通知が的確に実施されるよう、関係機関等の消費者行政担当職員に対し、「消費者事故等の通知の運用マニュアル」の周知徹底を行っており、2019年度における同通知件数は9,312件となっています。また、消費者安全法第38条第1項の規定に基づき、消費者に対し、2019年度には13件の注意喚起を実施しました。

また、関係機関等において消費者被害の発生又は拡大の防止のための措置が適切に講じられるよう、消費者安全法第38条第2項の規定に基づき、これに資する情報を関係機関の長等に提供しています。

(6)高齢者、障害者等の権利擁護の推進

厚生労働省では、高齢者、障害者等の権利擁護の推進を図るため、介護保険サービスの利用援助や日常生活上の金銭管理等、成年後見制度の利用に至る前の支援からその利用に至るまでの支援を切れ目なく一体的に確保する「権利擁護人材育成事業」、市町村による成年後見制度の申立て等の助成を行う「成年後見制度利用支援事業」及び各都道府県が行う介護施設・サービス事業所及び市町村への支援、並びに地域住民への普及啓発等の高齢者虐待防止等に関する取組を国が支援することにより、市町村等の高齢者虐待防止等の体制整備を進める「高齢者権利擁護等推進事業」の実施を進めています。

また、各都道府県において、介護支援専門員については成年後見制度や高齢者の権利擁護等の内容を含む介護支援専門員専門研修等を実施するとともに、介護職員については尊厳の保持等の内容を含む介護職員初任者研修等を実施しています。

消費者庁では、消費生活センター等において、認知症、障害等の理由で判断能力が不十分な方々に関する消費生活相談があった場合、状況に応じて福祉担当部局等と連携しつつ、成年後見制度の活用を図るよう、2016年度及び2017年度に開催された、消費者行政ブロック会議(全6ブロック)において、改めて都道府県等に要請しました。また、2018年度及び2019年度には、2018年8月に前回の要請から時間が経過したことを踏まえ、消費生活センター等において成年後見制度の活用を図るよう改めて都道府県等宛てに要請した事務連絡について、消費者行政ブロック会議(全6ブロック)の場で、都道府県等に対して説明を行いました。

担当:参事官(調査研究・国際担当)