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第2部 第2章 第2節 3.食品表示による適正な情報提供及び関係法令の厳正な運用

第2部 消費者政策の実施の状況

第2章 消費者政策の実施の状況の詳細

第2節 表示の充実と信頼の確保

3.食品表示による適正な情報提供及び関係法令の厳正な運用

(1)新たな食品表示制度(食品の機能性等を表示する制度を含む。)の円滑な施行等

食品衛生法、JAS法及び健康増進法の食品の表示に関する規定を統合した食品表示法及び同法に基づき策定した「食品表示基準」(平成27年内閣府令第10号)が2015年4月に施行され、新たな食品表示制度の運用を開始しました。また、新たな食品表示制度の下、事業者の責任において、科学的根拠に基づき機能性を表示する機能性表示食品制度の運用を開始しました。機能性表示食品の届出情報は消費者庁ウェブサイトで公表しており、2019年度末までに公表した届出情報は2,568件となっています。

また、消費者庁では、第3期消費者基本計画等で示されている個別課題について、実態を踏まえた検討を行うため、準備が整ったものから順次検討会等を開催し、取りまとめた報告書の内容に基づき、対応を進めています。

遺伝子組換え表示の在り方については、「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」で検討を行い、2018年3月に公表された同検討会報告書を踏まえ、食品表示基準の一部改正を行い、2019年4月に公布しました。なお、施行は2023年4月としています。

また、検討を行う最後の個別課題である食品添加物表示については、2019年4月から「食品添加物表示制度に関する検討会」を開催し、2020年3月に報告書を取りまとめ、公表しました。

(2)健康食品も含めた食品の表示・広告の適正化

消費者庁では、健康食品の広告その他の表示について、どのようなものが景品表示法上の不当表示や健康増進法上の虚偽・誇大表示として問題となるおそれがあるかを明らかにするため、景品表示法及び健康増進法の基本的な考え方を示すとともに、具体的な表示例や、これまでに景品表示法及び健康増進法で問題となった違反事例等を用いて、「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」を取りまとめ、2016年6月に公表しました。

また、インターネット等における健康食品等の虚偽・誇大表示に対する監視を通じて、健康増進法に違反するおそれのある表示に対し、2019年度には278事業者の337商品について改善要請を行いました。

そのほか、講習会等の機会を通して、事業者等に対しては、健康食品の広告その他の表示において留意すべき事項を示すリーフレットを配布し広告等の適正化を推進するとともに、消費者等に対しては、保健機能食品を正しく利用するための表示の利用方法等に関する周知・啓発活動を行いました。

(3)関係機関の連携による食品表示の監視・取締り

食品表示に関する取締りに関しては、「生活安心プロジェクト緊急に講ずる具体的な施策」(「生活安心プロジェクト」に関する関係閣僚会合了承(2007年12月))において、不適切な食品表示に関する監視を強化するため、関係省庁の間で「食品表示連絡会議」を設置するよう決定されました。同会議は、関係機関の連携の促進として、不適正な食品表示に関する情報が寄せられた場合に、必要に応じて関係機関で情報共有、意見交換を行い、迅速に問題のある事業者への処分等の必要な対応を講ずるとともに、こうした対応が円滑に実施されるよう関連情報の共有を進めることを目的とし、2008年2月から、これまで12回開催されました。

また、食品表示法違反に対し、国及び都道府県等が指示又は命令を行った場合は公表しており、2019年度では指示10件を行いました。

農林水産省では、食品表示110番等を通じた情報収集を行うとともに、食品表示法の規定に基づいて、地方農政局等の職員が食品事業者に対する巡回調査を実施しました。

また、独立行政法人農林水産消費安全技術センター及び民間分析機関において、品種判別や産地判別等に関する科学的分析を実施し、その結果を食品表示の監視・取締りに活用しています。

また、警察庁では、都道府県警察に対して、関係機関と連携した情報収集及び食品表示に対する国民の信頼を揺るがす事犯を認知した際の早期の事件着手を指示し、2019年中は、食品の産地等偽装表示事犯を11事件14人検挙しています。

(4)米穀等の産地情報の伝達の適正化

米穀等については、米トレーサビリティ法の規定に基づき、それらを一般消費者や取引先に販売する米穀事業者に対して、米穀及び原材料米穀の産地情報を伝達することが義務付けられています。

こうした中、農林水産省や国税庁及び都道府県等の関係行政機関が連携して、米穀事業者に対する立入検査等を実施し、その結果に基づいて厳正に措置を行うことにより、米穀等の産地情報の伝達の適正化を図っています。

また、農林水産省では、米トレーサビリティ法違反に関する指導件数等を取りまとめ、公表しています(産地情報伝達に関する指導件数は、2019年度上半期において10件。)。

消費者庁も、農林水産省、地方公共団体と連携した調査が実施できる体制を整え、米トレーサビリティ法違反に対しては厳正に対処しています。

担当:参事官(調査研究・国際担当)