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第2部 第2章 第2節 1.不当な表示を一般的に制限・禁止する景品表示法の普及啓発、厳正な運用

第2部 消費者政策の実施の状況

第2章 消費者政策の実施の状況の詳細

第2節 表示の充実と信頼の確保

1.不当な表示を一般的に制限・禁止する景品表示法の普及啓発、厳正な運用

(1)景品表示法の厳正な運用及び執行体制の拡充

正しい表示は、取引を行う上での基本となるものです。消費者は、商品を購入したりサービスを利用したりする場合、その表示を基に選択しているため、その表示に嘘や偽りがあると、自主的かつ合理的な選択ができなくなってしまいます。

景品表示法は、消費者にその商品・サービスについて実際のもの又は競争事業者のものより著しく優良又は有利であると誤認される表示を禁止しています。景品表示法に違反する行為があれば、事業者に対して、その行為の取りやめ、再発防止策の実施等を命令する行政処分(措置命令)等を行っており、消費者庁では、景品表示法の規定に基づく措置命令を2019年度に40件行いました。

また、景品表示法に課徴金制度を導入することを内容とする不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律(平成26年法律第118号)が、2016年4月1日に施行され、消費者庁では、景品表示法の規定に基づく課徴金納付命令を2019年度に17件行いました。

(2)景品表示法の普及啓発

消費者庁では、景品表示法の普及・啓発及び同法違反行為の未然防止等のために消費者団体、地方公共団体、事業者団体や広告関係の団体が主催する景品表示法に関する講習会、研修会等に講師を派遣しています。2019年度は景品表示法に関する説明会等に131回講師派遣を行い、受講者は計約7,800人集まっています。

また、消費者庁は、2016年度下期に行った打消し表示に関する実態調査の結果に基づき、2017年度に、景品表示法上の考え方を取りまとめた「打消し表示に関する実態調査報告書」を公表しました。さらに、2018年度には、「スマートフォンにおける打消し表示に関する実態調査報告書」及び「広告表示に接する消費者の視線に関する実態調査報告書」を公表し、これらの考え方についても、上記の説明会等を通じて普及啓発を行っているところです。

加えて、消費者トラブルの実情等を踏まえ、「時間貸し駐車場の料金表示」(2017年度)や「百貨店等提携クレジットカードに係る役務のポイント還元率の広告表示に係る留意点」(2019年度)のほか、「携帯電話等の移動系通信の端末の販売に関する店頭広告表示」(2018年度)、「携帯電話端末の店頭広告表示等の適正化」(2019年度)及び「携帯電話端末の広告表示に関する注意喚起等」(2019年度)について景品表示法上の考え方を公表しました。

そのほか、景品表示法の概要等を取りまとめたパンフレット「事例でわかる 景品表示法」を2019年度に、消費者団体、地方公共団体、事業者団体等に約6,600部配布しました。

(3)公正競争規約の積極的な活用、円滑な運用のための支援

不当な表示や過大な景品類は、短期間のうちに、その内容がエスカレートし、際限なく広がっていくおそれがあります。このような不当な表示等を効果的に規制するためには、規制当局の限られたリソースだけでは困難です。

そのため、業界自らが自主的かつ積極的に守るべきルールとして定めた「公正競争規約」が積極的に活用され、適切な運用が行われるように公正取引協議会等を支援することは、景品表示法違反行為の未然防止等の観点からも必要不可欠です。

公正取引委員会及び消費者庁では、公正競争規約の所要の変更について公正取引協議会等から相談を受け認定を行うとともに、各公正取引協議会等と緊密に連絡を取り合い、規約の適正な運用等について必要な助言等を行うこと等により、公正競争規約の積極的な活用、適切な運用を促進しています。

2019年度は、19件の公正競争規約の変更について認定を行いました。また、公正取引協議会等関連団体が主催する研修会等へ30回講師を派遣し、公正取引協議会の会員等が約3,390名参加しています。さらに、景品表示法及び公正競争規約の概要を取りまとめたパンフレット「よくわかる景品表示法と公正競争規約」を2019年度に、各公正取引協議会等を通じ事業者等に約2,700部配布しました。

担当:参事官(調査研究・国際担当)