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ICPEN詐欺防止月間(2025年)

はじめに

消費者庁は、国境を越えた不正な取引行為を防止するための取組を促進する国際ネットワークであるICPEN(※)に参画しており、ICPENの取組の一つである「詐欺防止月間(Fraud Prevention Month)」を毎年消費者月間に合わせて実施しています。

今年のテーマは、「グリーンウォッシュ(Greenwashing)」です。このキャンペーンでは、消費者が誤解を招く広告戦略を見抜き、回避し、環境に関する情報の透明性を求め、環境に真にポジティブな影響を与える商品やサービスを選択する責任ある消費を促進することができるように、消費者をエンパワーすることを目指しています。

【仮訳】環境に配慮することは素晴らしいことです。賢く行動することはさらに素晴らしいことです!環境に配慮していると示されていることの裏付けを調査しましょう。
消費者として、その裏付けを求め、さらに深く掘り下げる権利があります。
示されていることを鵜呑みにせず、事実を信頼しましょう!

図 ICPEN啓発画像

(※)ICPEN(アイスペン:International Consumer Protection and Enforcement Network。消費者保護及び執行のための国際ネットワーク。)は、国境を越えた不正な取引行為を防止するため1992年に発足したネットワークで、約70か国の消費者保護関係機関が参加。「詐欺防止月間」では、加盟国が共通テーマに沿った注意喚起などを実施。

グリーンウォッシュについて

グリーンウォッシュについて、ICPENでは、商品やサービスの環境特性を誇張又は歪曲して消費者を誤解させる欺まん的な環境広告のことと説明しています。ICPENが主導したウェブサイトのスイープ調査によれば、これまでにオンラインで行われたグリーン主張の40%が消費者を誤解させる可能性があると報告されています。消費者を誤解させる可能性があるグリーンウォッシュは、環境に配慮した消費行動の実践を阻害するおそれがあります。

消費者庁の取組

消費行動を起点とした持続可能な社会の実現を目指す上で、グリーンウォッシュは問題となる一方で、我が国においては、人や社会・環境に配慮した消費行動を実践しているという消費者はいまだ一部にとどまっています。そこで、消費者庁としては、まずは消費者が自身の消費生活において、環境に配慮された商品やサービスを理解し、意識的に選好するなどの行動を積極的に実践するよう促していくための取組を進めています。

1.エシカル消費及びサステナブルファッションの推進

消費者庁では、地域の活性化や雇用などを含む、人や社会・環境に配慮した消費行動、いわゆる「エシカル消費」の普及・啓発に取り組んでいます。
具体的には、啓発用パンフレット・ポスター・動画・学習教材等の学校や地域等における活用促進、事業者主催の普及啓発イベントへの積極的な参画のほか、特設サイトやSNS等における情報発信に取り組んでいます。
また、衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスにおいて将来にわたり持続可能であることを目指すサステナブルファッションもエシカル消費の一環です。サステナブルファッションについては、消費者庁、経済産業省及び環境省による関係省庁連携会議による取組や、具体的な行動のヒント集等の特設サイト、インフルエンサーとの連携を始めとした消費者向けの情報発信の強化、中高生向けのサステナブルファッション習慣促進のための教材制作等により、消費者の行動変容を促す取組を行っています。

2.グリーン志向の消費行動に関するワーキングチームの開催

消費者庁では、2024年11月に「グリーン志向の消費行動に関するワーキングチーム」を立ち上げ、消費者が自身の消費生活において、環境に配慮された商品・サービスを理解し、意識的に選好するなどの行動を積極的に実践するよう促していく観点から、現状の課題や具体的な取組の方向性について議論を行いました。
ワーキングチームでは、2025年2月に、議論を踏まえた取りまとめを公表しています。この取りまとめでは、企業や民間団体等による消費者の行動変容を促す取組の深化につながる視点として、環境問題は"遠い未来の問題"ではなく、その対策は"喫緊の課題"であるという共通認識を形成し、自分事化につなげるとともに、グリーン志向の消費行動が消費者のメリットとなるような形に仕組み化することが必要であることが示されました。その上で、今後の取組の方向性について、行政を起点に、企業やメディアを含む幅広い主体の連携による情報発信に加えて、消費者とのコミュニケーション強化に向けた地方公共団体・企業等の取組の後押しや好事例の発掘・横展開、また、認証ラベル・マークに関する情報の整理・提供を進めることが重要であるという考えが示されました。消費者庁では、ワーキングチームにおける議論を踏まえ、様々な主体と連携しつつ、必要な取組を進めていきます。

終わりに

今後、環境に配慮した消費行動が広まっていくにつれて、グリーンウォッシュの問題が顕在化していくおそれがあります。環境に配慮した消費行動の促進だけではなく、グリーンウォッシュの問題にも対応していくためには正確な情報の発信が欠かせません。消費者庁においては、ワーキングチームの取りまとめに示されたように、環境に配慮した商品・サービスに関する正確な情報を消費者に提供・発信するために、幅広い主体との連携による情報発信に努めてまいります。

出典

担当:参事官(調査研究・国際担当)