第1部 第2章 第2節 消費者庁のこれまでの取組|概要
第1部 消費者庁及び消費者委員会設立10年~消費者政策の進化と今後の展望~
第2章 消費者庁及び消費者委員会の10年
第2節 消費者庁のこれまでの取組
消費者庁のこれまでの取組
- 消費者庁及び消費者委員会が2019年9月に設置から10周年を迎えることを踏まえ、この10年間の取組を、以下の六つの視点から概観。
- (1)消費者行政の一元化
- (2)地方消費者行政の充実及び消費生活相談体制の整備
- (3)府省庁横断的な消費者政策の一体的推進
- (4)消費者市民社会の実現に向けた取組
- (5)消費者の意見を消費者政策に反映させる仕組み
- (6)消費活動のみならず産業活動を活性化
消費者行政の一元化:体制の整備
- 厳しい財政状況の中で、消費者行政の運営に必要な予算を確保。
- 定員は、2009年度と比べて約1.8倍に増加。
消費者行政の一元化:関連法令の所管
- 消費者に身近な問題を取り扱う法律を消費者庁が所管。
- 社会経済情勢の変化を踏まえて見直しを行うとともに、所管法律に基づく法執行を適切に実施。
消費者行政の一元化:消費者行政新未来創造オフィス
- 2017年7月に、実証に基づいた政策の分析・研究機能をベースとした消費者行政の発展・創造の拠点として、「消費者行政新未来創造オフィス」を徳島県に開設。
- 今後の在り方について、2019年度を目途に検証・見直し。
地方消費者行政の充実
- 消費者行政の最前線である地方消費者行政の充実を強力に推進。
- 地方消費者行政推進交付金、地方消費者行政強化交付金等で、これまでに累計約600億円を措置。
消費生活相談体制の整備
- 2015年度には、「相談体制の空白地域の解消」を達成。
- 2010年から「消費者ホットライン」の運用を開始し、2015年には3桁化(188「いやや!」)。認知度の向上が課題。
- 2018年7月から、イメージキャラクター「イヤヤン」を活用し、幅広く普及・啓発。
府省庁横断的な消費者政策の一体的推進:事故情報の一元的集約・分析・発信
- 消費者事故等に関する情報を一元的に集約・分析する仕組みを整備し、情報発信や法執行に活用。
府省庁横断的な消費者政策の一体的推進:事故情報の一元的集約・分析・発信
- 2012年には、消費者安全調査委員会(消費者事故調)を設置し、事故原因を分析し、関係行政機関に意見を表明。これまでに、16件の調査等を開始し、14件について最終報告。
府省庁横断的な消費者政策の一体的推進:調整機能の発揮
- 政府の消費者政策を、消費者基本計画として一元的に取りまとめ、PDCAサイクルに基づき強力に推進。
- 関係行政機関と連携し、消費者政策を一体的に推進。
府省庁横断的な消費者政策の一体的推進:食品表示制度の一元化
- 食品表示に関する包括的かつ一元的な制度を創設するため、2013年に食品表示法が成立。
- 消費者に栄養成分表示を活用してもらうことで、適切な食品の選択をサポート。
消費者市民社会の実現に向けた取組:消費者教育の推進
- 消費者の自立を支援し、より良い社会の発展に積極的に関与する消費者を育成するため、消費者教育等を推進。
- 2022年からの成年年齢引下げを見据え、特に若年者への消費者教育等が重要。
- 若者の相談は、「賃貸アパート」やインターネットの利用に関するトラブルが目立つ。20歳代の男性では、「フリーローン・サラ金」に関する相談も多い。
消費者市民社会の実現に向けた取組:食品ロス削減に向けた取組
- 2015年から、「エシカル消費」の行動の一つでもある食品ロス削減に向けた国民運動「NO-FOODLOSS PROJECT」を中心となって展開。
- 2019年5月に、食品ロスの削減の推進に関する法律が成立。
消費者市民社会の実現に向けた取組:消費者等に対する周知・啓発、情報提供
- 消費者への効果的な周知・啓発のため、様々なコミュニケーションツールを活用。
- 食品の安全性についての正しい理解を広げるため、リスクコミュニケーションを実施。
消費者の意見を消費者政策に反映させる仕組み:消費者団体との連携、支援
- 定期的に「地方消費者フォーラム」や「消費者団体との意見交換会」を開催。
- 消費者団体訴訟制度に基づく適格消費者団体等の活動を支援。
消費活動のみならず産業活動を活性化
- 消費者政策は、消費者の安全・安心を確保するとともに、ルールの透明性や行政行為の予見可能性の向上により産業活動を活性化。市場の健全化や経済の好循環に貢献。
- 2016年10月に、事業者団体、消費者団体、行政機関からなる消費者志向経営推進組織を創設し、「消費者志向自主宣言・フォローアップ活動」や「消費者志向経営優良事例表彰」を実施するなど、消費者志向経営(愛称:サステナブル経営)を積極的に推進。
担当:参事官(調査研究・国際担当)