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COLUMN7 パートナーシップで進める「エシカル消費」の普及~消費者の日々の暮らしが世界の未来を変える~

消費者庁は、2015年5月から2017年3月までの約2年間、「『倫理的消費』調査研究会」を実施するとともに、地方公共団体と協力してエシカル消費の可能性を広く発信するため、「エシカル・ラボ」を全国各地で開催してきました。

「エシカル・ラボ」では、参加者に、その地域ならではのエシカル消費の取組を発見してもらうため、学生や地域で積極的に取り組んでいる人たちが事例紹介をしています。

例えば、2018年10月に開催した「エシカル・ラボin山口」では、山口県立大学の学生が取組事例を紹介しました。この取組は、特定非営利活動法人TABLE FOR TWO(以下「TFT」という。)が展開する食糧支援プログラムに参加するとともに、SNS等で積極的に発信することで、趣旨・目的に賛同する人を増やすものです。また、こだわりの地元農産物を使ったメニューを提供しているレストランの協力を得た上で、地産地消メニューを開発・販売した売上げの一部のTFTへの寄付、地域の方を招き、世界の食の不均衡について多くの人に知ってもらうためのワークショップの開催等の取組も行っています。

取組事例を紹介した学生からは、「今日食べた(選んだ)もので、世界の誰かを救うことができるかもしれない、そんなきっかけを県内にたくさんちりばめていきたい」と、消費者が持続可能な世界を築くための重要な主役である、という力強いメッセージが発信されました。

これらの取組は、大学生だけでは実現することができない一方で、大学生の熱意により地域の人たちを巻き込むことで、「エシカル消費」の輪を広げるという、大きな意義を持っていると考えられます。このように、「『エシカル消費』という言葉は知らなかったが、社会のために良いことをしたいとは思っていた」という様々な立場の人たちを、「エシカル消費」というキーワードでつなぐことで、それぞれの取組をより一層効果的に展開することが可能になります。

SDGsにも掲げられた、「パートナーシップ」の重要性は、このような点にあるといえます。

また、2019年3月に開催した「エシカル・ラボin京都」では、府内の事業者や民間団体、学生団体等幅広い関係者による展示・販売コーナーを設け、それぞれの取組を消費者に伝える機会としました。さらに、関連イベントとして、エシカル消費の普及に取り組む団体が講師を務め、参加者が買物を通じて世界をより良くする方法を考えるきっかけとなる、子供向けワークショップ「世界を変える『スーパー』ヒーローになろう」を開催しました。

このワークショップでは、世界が抱える問題や、「エシカル消費」に関するマークやラベルについて学び、スーパーに見立てた会場で、日々の暮らしの中で目にしている身近な商品を手に取って、その商品の背景を考えてもらいました。参加した子供たちからは、「いつも買っているこのお菓子に、こんなマークが付いているなんて知らなかった」、「世界のために良い、というだけではなくて、日々のお買物が楽しくなると思う。学校の先生や友達に伝えたい。」といった声が聴かれました。

このように、「エシカル消費」が広がっていく第一歩は、全ての消費者の身近な暮らしの中にそのきっかけがあること、消費者一人一人の行動が世界の未来を変える力を持っていることに、気付き、実感してもらうことであると考えられます。

今後も様々な人たちとのパートナーシップにより、発信を進めていきます。

図表1 山口県立大学の学生の取組事例(消費者庁ウェブサイトにて紹介中)

図表2 ワークショップの様子(エシカル・ラボ in 京都)

担当:参事官(調査研究・国際担当)