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第2部 第2章 第4節 5.環境の保全に配慮した消費行動と事業活動の推進

第2部 消費者問題の動向及び消費者政策の実施の状況

第2章 消費者政策の実施の状況

第4節 消費者が主役となって選択・行動できる社会の形成

5.環境の保全に配慮した消費行動と事業活動の推進

(1)低炭素社会作りに向けた国民運動の推進

家庭部門や業務その他部門等における地球温暖化の緩和策を推進するため、2015年7月に"COOL CHOICE"が開始されました。COOL CHOICE(賢い選択)は、我が国の温室効果ガスを2030年度に2013年度比26%削減することに向け、産学官民が一致団結して取り組んでいく国民運動です。

COOL CHOICEのロゴマークは、低炭素型の製品やサービス、ライフスタイル等を選びやすいよう、分かりやすい矢印マークとなっています。こうした手段により、国民一人一人がすぐにでも自主的に、低炭素型の製品やサービス、ライフスタイル等を国民が賢く選択(COOL CHOICE)することで、更なるCO2の削減や環境負荷の低減が期待できます。

(2)循環型社会形成に向けた情報提供事業

環境省では、インターネットを利用する若い世代を中心に、ごみの減量・資源の有効活用について恒常的に周知徹底を図るため、ウェブサイト「Re-Style」(注109)を運営し、循環型社会の形成に関する最新データやレポート等の掲載、循環型社会形成推進基本計画の周知及び循環型社会に向けた多様な活動等の情報を定期的に更新し、適時に改善を行っています。ごみを減らし、資源をできるだけ有効に活用するために日常生活においてできること等について分かりやすく情報提供することにより、3Rの取組を促進しています。

(3)循環型社会に向けた普及啓発事業の実施等

経済産業省では、2018年10月の3R推進月間において、ポスター展示、リサイクルプラント見学会や関係機関の実施するイベント等のPRを行うとともに、「資源循環技術・システム表彰」(主催:一般社団法人産業環境管理協会)に対する後援を通じ、新たな資源循環ビジネスの創出を支援しました。

環境省では、2018年10月に富山県富山市で「3R推進全国大会」を開催しました。

また、2015年12月に「家庭から排出される水銀使用廃製品の分別回収ガイドライン」を、2016年9月に「水銀使用製品の適正分別・排出の確保のための表示等情報提供に関するガイドライン」を経済産業省と共に策定し、廃棄された水銀使用製品の適正処理や、水銀使用製品に関する消費者への情報提供を推進しています。

このほか、経済産業省及び関連6省(注110)では3Rに貢献している個人、グループ、学校及び特に貢献の認められる事業所等を表彰する「リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰」(主催:リデュース・リユース・リサイクル推進協議会)を後援し、優れた3Rの取組の普及を支援しています。

(4)経済社会における生物多様性(注111)の保全と持続可能な利用の促進

環境省では、2017年度に改訂した「生物多様性民間参画ガイドライン(第2版)」を事業者に向けて普及し、個々の事業者によるサプライチェーンも考慮した自主的な取組の促進を図るとともに、事業者間及び多様な主体間の連携・協働を促進しています。2015年度に、経済社会における生物多様性の保全と持続可能な利用の主流化を図るために、生物多様性に関する民間参画にテーマを絞ったシンポジウムを全国3か所(東京・大阪・札幌)で開催し、全国の先駆的な取組や地方での取組事例について情報提供を行うとともに、「生物多様性民間参画ガイドライン」の普及啓発を行いました。また、事業者団体の取組を推進するため、必要な支援を行うモデル事業を実施しました。2016年度からは、ガイドラインの改定に向けて検討を行っています。

また、国民に向けて、「MY行動宣言(注112)」の普及を通じて、生物多様性に配慮した商品の選択の促進を図っています。

農林水産省では、「農林水産省生物多様性戦略」(2012年2月改定)において、消費者が日常の行為を通じて生物多様性について理解する機会を持つことが期待される「生きものマーク」(注113)の取組を推進していくこととしており、「生きものマークガイドブック」を利用し、農林水産業と生物多様性の関係について2018年度は6回のイベント等の機会を活用して国民理解を図りました。

(5)有機農産物を始めとする環境に配慮した農産物の理解と関心の増進

有機農業は、農業の自然循環機能を増進し、農業生産活動に由来する環境への負荷を大幅に低減するものであり、生物多様性の保全に資するだけでなく、消費者の食料に対する需要が高度化し、かつ、多様化する中で、安全かつ良質な農産物に対する消費者の需要に対応した農産物の供給に資するものです。

農林水産省では、有機農業に取り組む産地に対する実需者や消費者等の理解を進めるため、消費者向けのシンポジウムを6回開催するとともに、東京・大阪で開催されたビジネス商談会において、有機農業に取り組む生産者等の出展支援を行いました。

また、2018年12月8日の「有機農業の日」に関連し、IoT等を活用した一歩先の有機農業やライフスタイルに応じた有機農業や有機食品を消費者に紹介するセミナーを開催するとともに、消費者庁と連携し、2019年3月9日に開催された「エシカル・ラボin京都」で有機農業に関するパンフレットを配布し、有機農業の啓発を行いました。

このほか、未来につながる持続可能な農業推進コンクールを実施し、引き続き有機農業を始めとする環境保全型農業に対する国民の理解を深める取組を行いました(2018年度表彰式:2019年3月15日)。

また、有機農産物の拡大に向け、生産者の取組を容易にするため、生産工程管理記録作成のためのソフトウェアを作成し、ウェブサイト、講習会等で普及を進めています。

有機JAS制度に関して、有機食品分野の展示会への出展やウェブサイト等により、消費者等への普及・啓発を実施しています。


  • 注109:http://www.re-style.env.go.jp/
  • 注110:関連6省とは、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省及び環境省のこと。
  • 注111:生物多様性基本法(平成20年法律第58号)において「生物の多様性」とは、様々な生態系が存在すること並びに生物の種間及び種内に様々な差異が存在することとされている。
  • 注112:「MY行動宣言」とは、国民一人一人が生物多様性との関わりを自分の生活の中で捉えることができるよう、五つのアクション(たべよう、ふれよう、つたえよう、まもろう、えらぼう)の中から自らの行動を選択して宣言する、生物多様性の普及・啓発に関する取組のこと。
  • 注113:農林水産業の営みを通じて多くの生きものが暮らせる豊かな環境を取り戻す様々な取組を総称して、「生きものマーク(生物多様性に配慮した農林水産業の実施と、産物等を活用してのコミュニケーション)」と呼んでいる。

担当:参事官(調査研究・国際担当)