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第2部 第2章 第4節 2.消費者教育の推進

第2部 消費者問題の動向及び消費者政策の実施の状況

第2章 消費者政策の実施の状況

第4節 消費者が主役となって選択・行動できる社会の形成

2.消費者教育の推進

(1)消費者教育の総合的、体系的かつ効果的な推進

2012年12月に消費者教育推進法が施行され、この法律に基づき、消費者教育推進会議(以下「推進会議」という。)が設置されました(同法第19条)。推進会議の任務は、1消費者教育の総合的、体系的かつ効果的な推進に関して、委員相互の情報の交換及び調整を行うこと、2「消費者教育の推進に関する基本的な方針」(以下「基本方針」という。)に関し、意見を述べることです。

推進会議は、いわゆる「8条機関」の審議会(注93)であり、委員は消費者、事業者、教育関係者、消費者団体、事業者団体及び学識経験者等から20名を任命しており、任期を2年としています。

推進会議や消費者委員会等の意見を踏まえ、基本方針は2013年6月に閣議決定されました。

基本方針は、消費者教育の意義及び基本的な方向、内容等を記したものです。

基本方針に掲げられた「今後検討すべき課題」については、推進会議に置かれた三つの小委員会(消費者市民育成小委員会、情報利用促進小委員会、地域連携推進小委員会)で検討し、2015年3月に取りまとめを公表しました。

2015年7月に始動した第2期推進会議(注94)では、1「消費者教育の推進に関する基本的な方針」(平成25年6月閣議決定)の見直しに向けた論点整理、2若年者に対する消費者教育の機会の充実等社会情勢等の変化への対応について議論を深めました。

具体的には、1については、関係省庁、地方公共団体、消費者団体及び事業者団体に対して行ったヒアリングを踏まえ、基本方針の実施状況の確認と、中間的な見直しを行いました。

2については、議論の結果、2016年4月に推進議会において「学校における消費者教育の充実に向けて」を取りまとめ、公表しました。また、推進会議の意見を聴きながら、消費者庁において、関係省庁と連携して、高校生向け消費者教育教材「社会への扉」を2016年度中に作成し、2017年4月から配布を開始しました。「社会への扉」は、2017年度以降、徳島県内の全高校の授業で活用されており、成年年齢引下げを見据え、全国でも同様の授業が実施されるよう、取組を進めています。

2017年8月から始動した第3期推進会議では、基本方針の見直しについて検討を行い、これを踏まえ、2018年3月に変更について閣議決定がされました。

さらに、第3期推進会議の下では、「若年者の消費者教育分科会」を開催し、若年者への効果的な消費者教育について、学校や地方公共団体の現状等に則した検討を行っています。特に、学校の教職員には、消費者教育の推進役としての役割が期待されることから、その指導力の向上のため、教員養成や教員研修における消費者教育の推進について検討を行い、2018年6月に取りまとめを行いました。その後は、新たな議題を選定し、地方公共団体による消費者教育教材の作成状況を把握し、その効果的な周知及び提供方法等について検討を進めています。

また、成年年齢引下げを見据え、若年者への消費者教育の充実・強化のため、「若年者への消費者教育の推進に関する4省庁関係局長連絡会議」を設置・開催し、「若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム」を決定し、関係省庁が緊密に連携して、若年者への消費者教育の効果的な推進に取り組んでいます。

(2)地域における消費者教育推進のための体制の整備

文部科学省では、2010年度、大学等における消費者教育の基本的な方向性をまとめた「大学等及び社会教育における消費者教育の指針」について、急速に進展する時代の変化に対応するため、2018年度に改訂を行いました。また、地域における消費者教育が連携・協働により一層推進されるよう、2017年度は「消費者教育アドバイザー」(注95)の派遣を実施するとともに、「連携・協働による消費者教育推進事業」における消費者教育推進のための実証的共同研究において、多様な主体との連携による地域や学校での消費者教育の実践モデルの構築及びその成果について検証を行いました。さらに、消費者教育フェスタを主催し、多様な関係者との交流を図るとともに、学校や地域における消費者教育の実践事例について報告を行いました。

また、毎年度、全国(2018年度は13会場)で社会教育主事講習(注96)を実施し、消費者教育の講義を行うなど、地域における消費者教育の促進に取り組んでいます。

都道府県及び市町村は、基本方針を踏まえ、その区域における消費者教育の推進に関する施策についての計画(消費者教育推進計画)を定めるよう努めることとなっています。また、その区域における消費者教育を推進するため、消費者、消費者団体、事業者、事業者団体、教育関係者、消費生活センターその他の関係機関等をもって構成する消費者教育推進地域協議会を組織するよう努めることにもなっています。

消費者教育推進計画及び消費者教育推進地域協議会は、地方消費者行政強化作戦に位置付けられており、消費者行政ブロック会議(全国を6ブロックに分け、都道府県・政令市の担当課長と意見交換や情報共有を行う場)等において策定・設置を促しています。2019年4月1日時点で、消費者教育推進計画は47都道府県・18政令市で策定し、消費者教育推進地域協議会は47都道府県・19政令市で設置しています。また、2018年度は国民生活センターにおいて消費者教育推進のための研修を13回(受講者数549人)実施しました。

(3)「消費者教育の推進に関する基本的な方針(基本方針)」の検討等

基本方針とは、消費者教育の意義及び基本的な方向、内容等を記したものです。

消費者庁では、第2期推進会議において、関係府省庁、地方公共団体、消費者団体及び事業者団体からのヒアリングを実施し、これらを基に、現行の基本方針の実施状況を確認するとともに、中間的な見直しを行いました。第3期推進会議においても引き続き検討を行い、これを踏まえ、2018年3月に変更について閣議決定がされました。変更に当たっては、「当面の重点事項」を示しています。多様な主体が取り組む広範囲にわたる消費者教育を効果的に進めるため、消費生活を取り巻く社会経済情勢等を踏まえ、重点的に取り組むことが求められる課題を共有することを目的としています。具体的には、1若年者の消費者被害の防止・救済のため、また、自主的かつ合理的に社会の一員として行動する自立した消費者の育成のため、学校における消費者教育の推進を図ること、2消費者の特性に配慮し、ライフステージに応じた消費者教育を推進すること、3高度情報通信ネットワーク社会の発展に対応した消費者教育を推進することを挙げています。

2018年度には、「当面の重点事項」に関する対応方針について、推進会議において検討を行い、分科会を開催して個別の事項について検討を進めることを決定し(2018年7月9日)、重点事項1に関する検討のために「若年者の消費者教育分科会」を開催することとし、新たな議題を選定しました。また、重点事項2に対応する検討を進めるため、「地域における消費者教育の充実に向けた連携に関する分科会」を開催することを決定し(2019年1月21日)、2月18日から、地方公共団体による取組のヒアリング等を進めています。

(4)消費者教育に使用される教材等の整備

消費者庁では、年齢、障害の有無、情報の入手方法、読み解く能力の差異等の消費者の特性に応じた適切なものとすることに配慮した消費者教育教材の作成及び収集を行っています。

また、消費者庁では、特に学校・社会の様々な場面で消費者教育を実施している方々の支援を主な目的に、消費者教育に関する様々な情報を提供する場として、消費者庁のウェブサイト上において消費者教育ポータルサイト(注97)を運営しています。同ポータルサイトには、関係機関で作成された教材や実践事例に関する情報が一元的に集約されています。

同ポータルサイトには、2018年度末時点で、教材が848件、各地域での実践事例に関する情報が282件、講座等に関する情報が535件、合計1,665件の情報が掲載されています。また、2018年度末時点で、同ポータルサイトのアクセス数は17,039,805件となっています。

同ポータルサイトにおいて、最新教材等の積極的な収集・掲載を行い、教材等の選択に役立つ評価等を示すなど、消費者教育推進のための総合的な情報提供・発信を行っています。また、消費者行政ブロック会議等において、同ポータルサイトに関する説明を行い、掲載を促しています。

また、2018年度には、「若年者の消費者教育分科会」を開催し、今後の教材等の消費者教育に関する情報提供の在り方について検討を行いました。さらに、全都道府県に対し、実践的な消費者教育の実施に向けた働き掛けを実施し、高等学校等における「社会への扉」の活用を促すとともに、授業で活用する場合において、冊子の提供を行いました。

(5)教育行政(学校教育・社会教育)と消費者行政の連携・協働(基盤的な情報の整備と体制作り)

文部科学省では、消費者教育の一層の推進を図るため、多様な関係者が情報を共有し、相互に連携するための場として、「社会的責任に関する円卓会議」の協力を得て、2010年度から消費者教育フェスタを開催しています。2018年8月に独立行政法人国立女性教育会館で開催したフェスタにおいては、地域におけるSDGsに関する取組やフードバンク活動等についての講演やパネルディスカッションを実施しました。また、11月には兵庫県姫路市において、姫路市教育委員会等の協力の下、消費者教育に関する公開授業を実施したほか、展示説明会において教材・資料の展示を実施しました。

消費者庁では、2019年1月に横浜市で消費者庁主催の地方消費者フォーラムと文部科学省主催の消費者教育フェスタを共同開催しました。

ほかにも、消費者行政ブロック会議等において、教育委員会と消費者行政部局が連携している地方公共団体の取組を聴取しています。また、国民生活センター等での研修の実施や、地方消費者行政強化交付金の活用により、地方公共団体による消費者教育コーディネーターの育成・配置に向けた取組を支援していきます。

(6)学校における消費者教育の推進

第1期推進会議の小委員会の一つである消費者市民育成小委員会では、消費者教育の担い手が消費者市民社会を目指すために参考となる消費者教育実践事例を「消費者教育の担い手向けナビゲーション」(以下「ナビゲーション」という。)として整理しました。ナビゲーションは、消費者教育の担い手である教育関係者等が対象者に対してどのようなことを教えるかといった観点から事例を示しています。学校関係については、学習指導要領との関連を示しました。

なお、事例については、「消費者市民育成プログラム(実践事例集)」として、実施内容、工夫、成果及び課題について別途取りまとめています。

総務省では、子供たちのICTメディアをより主体的・能動的に扱う能力(ICTメディアリテラシー)を育成するため、2009年度から引き続き、小学校高学年を対象とした教材「伸ばそうICTメディアリテラシーつながる!わかる!これがネットだ」をウェブサイト上に公開するとともに、2009年度と2010年度に開発した中・高校生を対象とした新たな教材についても2011年4月から公開しています(注98)

なお、2011年度から公開した新たな教材については、指導資料中にインターネットやメール等を利用する際の留意点等を記載し、学校や家庭等における話合いのきっかけ作りに使えるようにしました。

ほかにも、情報通信分野等の企業・団体等と協力しながら、子供たちのインターネットの安全な利用に係る普及を目的とした啓発講座であるe-ネットキャラバンを、児童・生徒、保護者・教職員等を対象として全国で実施しています。2016年度からは、更なるフィルタリングの理解の向上を図るため、保護者・教職員を対象にスマートフォンのフィルタリングに特化した内容の講座を新設するとともに、低年齢層に対応するため、講座の対象年齢を小学3年生まで引き下げました。なお、2018年度は2,529件の講座を実施しています。

文部科学省では、学校教育においては、児童生徒の「生きる力」を育むことを目指し、生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基礎的な知識及び技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等の能力を育み、主体的に学習に取り組む態度を養うことを理念としています。

また、2006年に改正された教育基本法(平成18年法律第120号)において、教育の目標として、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視することや、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うことが規定されました。

これらを踏まえ、小・中・高等学校の現行の学習指導要領においては、社会科、公民科、家庭科及び技術・家庭科等を中心に消費者教育に関する学習内容の充実を図っています。

また、2016年12月の中央教育審議会答申を踏まえ、2017年3月には小・中学校の学習指導要領を、2018年3月には高等学校の学習指導要領を改訂し、関連する教科等において消費者教育に関する学習内容の更なる充実を図っています。今回改訂した学習指導要領は小学校では2020年度、中学校では2021年度から全面実施され、高等学校では2022年度の入学生から年次進行で実施される予定です。

加えて、小・中・高等学校等における教職員の指導力の向上を図るため、消費者教育等に関する各教科等横断的プログラムの開発に係る実践研究を実施するとともに、優れた取組の普及を図りました。

2010年度、大学等における消費者教育の在り方について検討を行い、その成果を「大学等及び社会教育における消費者教育の指針」としてまとめました。2018年度には、急速に進展する時代の変化に対応するため同指針を改訂し、都道府県及び大学等に対して周知を行いました。また、同年度には消費者教育フェスタを開催し、各地域における特色ある消費者教育の実践事例の発表を実施しました。さらに、2016年度に消費者教育推進委員会で作成した「消費者教育の指導者用啓発資料」を用いて、消費者教育を通じて育むべき力と指導者の役割、指導者が消費者教育を行う上でのヒントや関係者が相互に連携して取り組む手法等について普及・啓発を行っています。

金融庁では、金融庁や関係団体から構成される金融経済教育推進会議において、「最低限身に付けるべき金融リテラシー」の内容を項目別・年齢層別に具体化・体系化した「金融リテラシー・マップ」を2014年6月に作成(2015年6月に改訂)しました。また、2018年度に、大学生・社会人等を対象に、使い勝手の良いエントリー用の教材を整備する観点から、同会議において「コアコンテンツ」を策定・公表しました。

これらの関係団体と連携した取組として、大学生に対し、「金融リテラシー・マップ」に基づいた授業を2018年度に11大学で実施しました。

消費者庁では、第2期推進会議において、学校における消費者教育の充実方策について検討を重ね、2016年4月に「学校における消費者教育の充実に向けて」を取りまとめ、公表しました。また、「若年者の消費者教育に関するワーキングチーム」において、成年年齢の引下げに向けた環境整備の充実のための教材等について検討しました。これを踏まえ、高校生向け消費者教育教材「社会への扉」を2017年3月までに作成し、4月以降に配布を開始しました。2017年度には、徳島県内の全高校において、「社会への扉」を活用した授業を行いました。また、成年年齢引下げを見据え、若年者への消費者教育の充実・強化のため、「若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム」に基づき、全国での実践的な消費者教育の実施に向けた働き掛け等を行っています。

法務省では、教育関係者、法曹関係者等で構成する法教育推進協議会及び教材作成部会において、発達段階に応じた法教育教材を作成しており、それらの教材では、消費活動の前提となる私法の基本的な考え方についても取り上げています。2017年度には小学生向け法教育視聴覚教材を、2018年度には中学生向け法教育視聴覚教材及び高校生向け法教育教材を作成しました。これらの教材については、全国の小中学校、高等学校、教育委員会等に配布したほか、今後、教材を活用したモデル授業例の作成を行うこととしています。

(7)地域における消費者教育の推進

総務省では、子供たちのインターネットの安全な利用に係る普及啓発を目的に児童・生徒、保護者・教職員等を対象とした出前講座をe-ネットキャラバンとして全国で実施するとともに、教職員や専門家からのヒアリングを通じて、インターネットに係る実際に起きた最新のトラブル事例を踏まえ、その予防法等をまとめたインターネットトラブル事例集を公開しています(注99)

文部科学省では、地域における消費者教育が連携・協働により一層推進されるよう、2018年度は「消費者教育アドバイザー」の派遣を実施するとともに、「連携・協働による消費者教育推進事業」における消費者教育推進のための実証的共同研究において、多様な主体との連携による地域や学校での消費者教育の実践モデルの構築及びその成果について検証を行いました。

また、消費者教育フェスタを独立行政法人国立女性教育会館、兵庫県姫路市、神奈川県横浜市の3か所で開催しました。

独立行政法人国立女性教育会館では、平成30年度男女共同参画推進フォーラムにおいて、「持続可能な社会をつくる消費者~地球の未来に向けて~」をテーマに、SDGsに関する取組やフードバンク活動等についての講演やパネルディスカッションを実施しました。兵庫県姫路市では、「学び、つながり、高めあおう!」をテーマに、「姫路市学校園消費者教育指針」に基づき、消費者教育の視点を取り入れた授業を教科横断的に実践している姫路市の幼稚園、小・中・高等学校の取組を公開授業や実践報告という形で紹介するとともに、基調講演や身近なところから始める消費者教育のヒント等についてのパネルディスカッションを実施しました。神奈川県横浜市では、消費者庁との共催で「成年年齢引下げを踏まえた消費者教育について」をテーマに、地域で活躍する団体、消費者教育担当者等多様な主体が集い、情報交換や意見交換を行う「交流の場」を設けました。

消費者教育推進計画及び消費者教育推進地域協議会は、地方消費者行政強化作戦に位置付けられており、消費者行政ブロック会議等において策定・設置を促しています。2019年4月1日時点で、消費者教育推進計画は47都道府県・18政令市で策定、消費者教育推進地域協議会は47都道府県・19政令市で設置しています。

2018年度には、変更後の基本方針の「当面の重点事項」に掲げている、地域における消費生活センターを拠点とした連携体制づくりについて、その方策を検討するため、「地域における消費者教育の充実に向けた連携に関する分科会」を開催することを決定し、(2019年1月21日)、2月18日から、地方公共団体による取組のヒアリング等を進めています。

公正取引委員会では、2018年度には、「消費者セミナー」(注100)を83回、「独占禁止法教室」(注101)を236回、「一日公正取引委員会」(注102)を8回開催しました。また、消費者の暮らしと私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)の関わりについて説明した資料を、「消費者セミナー」や「独占禁止法教室」の出席者に配布しました。

(8)家庭における消費者教育の推進

消費者庁では、消費者教育ポータルサイトにおいて、家庭でできる消費者教育教材や地方における親子向けの講座の案内について消費者が積極的に情報収集できるようにするため、消費者行政ブロック会議等において同ポータルサイトに関する説明を行い、掲載を促しています。

(9)事業者・事業者団体による消費者教育の推進

消費者庁では、事業者・事業者団体等による教材や実践事例を積極的に収集し、消費者教育ポータルサイトに掲載するよう努めています。事業者による同ポータルサイトの掲載数は、2018年度末時点で150件となっています。

(10)エシカル消費の普及啓発

より良い社会に向けて、地域の活性化や雇用等を含む人や社会・環境に配慮した消費行動である「エシカル消費」への関心が高まっています。

こうした消費行動の変化は、消費者市民社会の形成に向けたものとして位置付けられるものであり、日本の経済社会の高品質化をもたらす大きな可能性を秘めています。そして、その実現のためには、消費行動の進化と事業者サイドの取組が相乗的に加速していくことが重要です。

以上を踏まえ、消費者庁ではエシカル消費の普及啓発の内容やその必要性等について検討し、国民の理解を広め、日常生活での浸透を深めるためにどのような取組が必要なのかについて調査研究を行う、「倫理的消費」調査研究会を実施し、2017年4月に取りまとめを公表しました。

2015年度から開催している、エシカル消費シンポジウム「エシカル・ラボ」については、2018年度は秋田県、山口県、京都府で開催しました。また、積極的に取組を進めている団体の実施する啓発イベントへの登壇・出展や、「こども霞が関デー」におけるワークショップの開催等、様々な取組により、更なる普及啓発に取り組んでいます。

(11)金融経済教育の推進

消費者庁では、推進会議において、金融経済教育を含む消費者教育の推進について議論しています。

金融庁では、2018年度に、大学生・社会人等を対象に、使い勝手の良いエントリー用の教材を整備する観点から、金融庁や関係団体から構成される金融経済教育推進会議において「コアコンテンツ」を策定・公表しました。

大学生に対し、「金融リテラシー・マップ」に基づいた授業を関係団体と連携して2018年度に11大学で実施しました。

また、学校や地域等で開催される講座等への講師派遣を2018年度に1,174回実施しました。

さらに、「基礎から学べる金融ガイド」や「「未公開株」等被害にあわないためのガイドブック」等を、全国の高校等や地方公共団体に配布しました。

このほか、金融リテラシーの向上を目的としたシンポジウムを各財務局と共催しました(2018年度は、全国6か所で開催。)。

高齢社会対策大綱(平成30年2月16日閣議決定)に基づき、職場を通じて資産形成を学べる機会を確保するための働き掛けを関係府省、地方公共団体及び民間企業等に実施しました。

主として若年勤労世代向けのビデオクリップ教材「未来のあなたのために~人生とお金と資産形成~」を金融庁ウェブサイトに公表し、関係団体にも活用を要請しました。

また、金融サービス利用に伴うトラブルの発生の未然防止などに向けた事前相談の提供の充実を図るため、「事前相談(予防的なガイド)」を2014年から開設し、相談への対応を行っています。

(12)法教育の推進

法務省では、法律専門家ではない一般の人々が、法や司法制度、これらの基礎になっている価値を理解し、法的なものの考え方を身に付けるための教育(法教育)を推進しており、学習指導要領を踏まえた、学校教育における法教育の実践の在り方や教育関係者と法曹関係者による連携・協働の在り方等、法教育に関する取組について多角的な視点から検討するため、法教育推進協議会を開催しています(2018年度は11回開催。教材作成部会を含む。)。

また、法教育の具体的内容及びその実践方法をより分かりやすくするため、法教育教材を作成しているほか、学校現場等に法教育情報を提供することによって、法教育の積極的な実践を後押しするため、法教育に関するリーフレットを作成し、全国の学校、教育委員会等に配布しています。

さらに、学校や各種団体からの要請に応じて、法務省の職員を講師として派遣し、教員や児童・生徒のほか、一般の人々に対して法的なものの考え方等について説明する法教育授業を実施しています。

(13)各種リサイクル法等の普及啓発

環境省では、2013年4月に施行された使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(平成24年法律第57号)を始めとした各種リサイクル法の認知、理解から実際に活動してもらうための普及啓発、及び活動の拠点形成のため、子供向けモデル授業を実施しています。具体的には、平成27年度に制作した「小型家電リサイクル学習授業支援パッケージ」に「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」のコンテンツを追加し、より児童がリサイクルに興味をもつツールを作成し、社会や家庭科の各全国教育研究会における普及やESD推進校等での出前授業等を実施し、リサイクル制度の普及促進を図りました。

経済産業省では、「資源循環ハンドブック2018」を4,500部作成し、関係機関に配布したほか、3R(注103)に関する環境教育に活用するなどの一般の求めに応じて配布を行っています。

(14)食品ロス削減国民運動(NO-FOODLOSS PROJECT)の推進

「食品ロス」とは、食べられるのに捨てられる食品のことを指します。

日本における2016年度の食品ロスの発生量は、年間643万トンと試算されています。また、食品ロスの約半分は家庭から発生しており、年間1人当たりの食品ロス量は51kgと、年間1人当たりのコメの消費量(約54kg)に相当します。

食品ロスを削減するには、事業者・消費者双方の意識改革等が必要です。このため、2012年7月に「食品ロス削減関係省庁等連絡会議」を設置し、関係府省(消費者庁、文部科学省、農林水産省、経済産業省及び環境省)が連携して取り組んでおり、2013年10月以降は「食品ロス削減国民運動(NO-FOODLOSS PROJECT)」という名称で展開しています。2018年9月には、「第7回食品ロス削減関係省庁等連絡会議」を開催し、各府省の食品ロス削減に関する取組状況及び今後の普及啓発方策の情報共有を行いました。また、食品ロス削減国民運動シンボルマークとして食品関連事業者を始めとする関係者にロゴマーク「ろすのん」の普及を実施しています(2018年11月末時点の利用件数は405件)。

消費者庁では、消費者に食品ロスの現状や課題等の情報を分かりやすく伝え、理解を深めてもらうため、2018年6月に開催された「第13回食育推進全国大会inおおいた」では、消費者庁のブースを活用し、来場者へチラシの配布を行いました。

2018年7月、徳島県のモニター家庭を対象に削減取組の指導、実践の支援等を行い、その効果を検証することを目的に実施した事業の結果を公表しました。2018年8月、食品の選択・消費に関して、栄養成分表示を使って肥満とやせを防ぐことや、もったいないを意識して食品ロスを減らすこと、実践の際に注意すべき食品安全のポイントについて「健康と環境に配慮した適量のすすめ」を公表しました。2019年3月、特別なものを買わずに簡単に備蓄することができ、食品ロスを防ぐこともできる「ローリングストック法」を紹介した、食品ロスにしない「備蓄のすすめ」を公表しました。また、2018年7月に公表した徳島県で行った事業の結果を踏まえて作成した食品ロス削減啓発用冊子「計ってみよう!家庭での食品ロス(食品ロス削減マニュアル~チェックシート付~)」を公表しました。

2018年度は、食品ロス削減に取り組もうとする団体や消費者等に向けた参考資料として、消費者庁ウェブページ「[食品ロス削減]食べもののムダをなくそうプロジェクト」(注104)において、食品ロス削減に取り組む地方公共団体、民間団体及び生徒・学生の事例を60件以上紹介しました。

農林水産省では、食品関連事業者による食品ロス削減のための商慣習見直しや消費者への普及啓発に向けた取組を支援したほか、経済産業省と連携して、卸売業者と小売業者の業界団体へ、納品期限の緩和に向けた取組の推進を要請しています。食品ロス削減の意義を理解し、実際に行動に移してもらえるよう、消費者に対する効果的な訴求方法を検証するため、2017年度に、大手流通業者と連携して、店頭における消費者への啓発資材設置による購買行動への影響等について調査を実施しました。この結果を踏まえ、2018年10月を啓発月間として、全国各地の食品小売店舗等において、ポスター等による啓発活動を実施しました。

また、「食育白書」において、関係府省庁における食品リサイクルと食品ロス削減に関する取組を記載しています。

環境省では、それぞれの主体が食品ロスに関する正確で分かりやすい情報を得ることができる環境を整備するため、食品ロスに関する情報を集約したポータルサイトを作成しました(注105)。また、食品ロスに関する普及啓発の一環として、日々の生活から発生している食品ロスの量を日記形式で記録することで、7日間で発生した食品ロスによる環境影響や家計への影響を評価できる「7日でチャレンジ!食品ロスダイアリー」を公表するとともに、食品小売店ですぐに食べる商品については、賞味期限や消費期限がより長い商品を選択的に購入するのではなく、陳列順に購入することを消費者に促す際に活用可能な啓発キャラクター「すぐたべくん」を公表しました。さらに、学校給食からの食品ロス削減及び食品リサイクルのモデルとなる取組を行う市町村を支援するため、「学校給食の実施に伴い発生する廃棄物の3R促進モデル事業」を実施しました。

食品ロス削減に向けて、消費者を含め様々な主体との連携、フードチェーン全体での認識の共有や全国的な機運の醸成を図る目的として、全国で食べきり運動等を推進する地方公共団体間ネットワーク「全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会」と開催地の地方公共団体が主催となり、「食品ロス削減全国大会」を開催しています。2017年10月30日に、第1回大会を長野県松本市で、翌年2018年10月30日には、京都市で開催しました。環境省、農林水産省、消費者庁は、これらの大会に共催として参加しました。

(15)食育の推進

食育基本法(平成17年法律第63号)及び「第3次食育推進基本計画」(2016年3月食育推進会議決定)に基づき、関係府省等が連携しつつ、家庭、学校、地域等において国民運動として食育を推進しています。同計画では、国民が健全な食生活を実践するために必要な食品の安全性や栄養等に関する様々な情報について、国民が十分に理解し活用できるよう考慮しつつ、国民にとって分かりやすく入手しやすい形で情報提供することとしています。

第3次食育推進基本計画では、毎年6月を「食育月間」と定め、関係府省庁、地方公共団体等様々な主体において全国的に各種広報媒体や行事等を通じた広報啓発活動を重点的に実施し、食育推進運動の一層の充実と定着を図ることとしています。また、全国規模の中核的な行事として、「第13回食育推進全国大会」を大分県等と共催し(2018年6月23日及び6月24日)、2日間で約3万4000人の来場がありました。

農林水産省では、地域の実情に応じた食育活動や消費者のニーズに対応したモデル的な食育活動に対する支援を通じて、「日本型食生活」の実践を促す取組のほか、農林漁業体験を通じて食や農林水産業への理解を深める教育ファームの活動についての情報提供等を行っています。

文部科学省では、2017年3月に、小学校、中学校及び特別支援学校(小学部・中学部)の学習指導要領の改訂を行い、引き続き総則において「学校における食育の推進」を明確に位置付けました。また、食育について、体育科(保健体育科)、家庭科(技術・家庭科)及び特別活動はもとより、それ以外の各教科等でもそれぞれの特質に応じて適切に行うこととし、学校の教育活動全体を通じて食育を推進することをより明確に示しました。さらに、2018年3月には高等学校、2019年2月には特別支援学校(高等部)の学習指導要領の改訂を行い、小学校、中学校と同様に、引き続き食育を推進することを明確に示しています。

厚生労働省では、関係団体等を通じた普及啓発を行うとともに、ウェブサイト等での情報提供を行いました。


  • 注93:審議会は、国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第8条並びに内閣府設置法第37条及び第54条の「法律又は政令の定めるところにより、重要事項に関する調査審議、不服審査その他学識経験を有する者等の合議により処理することが適当な事務をつかさどらせるための合議制の機関を置くことができる」との規定を根拠に行政機関に設置される。
  • 注94:第10回推進会議(2015年7月開催)から第2期。
  • 注95:文部科学省では2013年度から地域における消費者教育が、連携・協働により一層推進されるよう、全国の社会教育等における消費者教育の先駆的実践者を消費者教育アドバイザーに委嘱し、地方公共団体からの求めに応じて派遣している。
  • 注96:社会教育主事となり得る資格を付与することを目的として、全国の大学及び国立教育政策研究所社会教育実践研究センターで実施される講習(約40日間)。社会教育主事は、都道府県及び市町村の教育委員会の事務局に置かれる専門的職員で、社会教育を行う者に対する専門的技術的な助言・指導に当たる役割。
  • 注97:https://www.caa.go.jp/kportal/index.php
  • 注98:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/media_literacy.html
  • 注99:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/jireishu.html
  • 注100:消費者に独占禁止法の内容や公正取引委員会の活動について、より一層の理解を深めてもらうため、公正取引委員会事務総局の職員を消費者団体等の勉強会に派遣するもの。
  • 注101:中・高・大学生に経済活動の基本ルールである独占禁止法の役割について学んでもらうため、公正取引委員会事務総局の職員を学校の授業に講師として派遣するもの。
  • 注102:公正取引委員会の本局及び地方事務所等の所在地以外の都市において、「消費者セミナー」及び「独占禁止法教室」を独占禁止法講演会などとともに1か所で同時に開催するもの。
  • 注103:環境問題への対応としては、廃棄物等の発生抑制、再利用、再生利用が重要となるが、これらの英語の頭文字を採って、3R(Reduce, Re-use, Recycle)と呼んでいる。
  • 注104:https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/
  • 注105:http://www.env.go.jp/recycle/foodloss/index.html

担当:参事官(調査研究・国際担当)