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第2部 第2章 第3節 4.詐欺等の犯罪の未然防止、取締り

第2部 消費者問題の動向及び消費者政策の実施の状況

第2章 消費者政策の実施の状況

第3節 適正な取引の実現

4.詐欺等の犯罪の未然防止、取締り

(1)特殊詐欺の取締り、被害防止の推進

警察庁では、政府広報を活用した注意喚起を始め、地方公共団体や関係機関・団体等と連携して、あらゆる媒体や機会を活用した複合的な防犯指導、広報啓発を行い、犯行手口や予防対策を分かりやすく周知しています。

また、被害を未然に防止するため、金融機関に対し、窓口職員等による高齢者を中心とした顧客への声掛けの徹底を要請するとともに、「金融機関職員による声掛けは警察からの要請に基づき実施している」旨を記載した説明文書や、声掛け用のチェックリストの金融機関への提供、金融機関職員を対象とした声掛け訓練等を行っています。同時に、警察への通報依頼を推進し、金融機関から連絡を受けた場合の臨場体制の構築を行うなど、声掛けによる被害防止対策が行われるよう働き掛けています。

さらに、架空請求や金融商品等取引名目等の特殊詐欺の取締りを推進しており、携帯電話や預貯金口座を売買するなどの特殊詐欺を助長する行為について関係法令を駆使して取締りに当たるとともに携帯電話事業者に対する、犯行に利用された携帯電話の契約者確認の求め、金融機関に対する振込先指定口座の凍結依頼等の犯行ツール対策を推進しています。なお、2018年の特殊詐欺の取締り状況は、特殊詐欺全体の検挙件数が5,159件(前年比515件増)であり、このうち架空請求詐欺の検挙件数が1,271件(前年比237件増)、金融商品等取引名目の特殊詐欺の検挙件数が40件(前年比148件減)となっています。

金融庁では、預金口座の不正利用に関する情報について、情報入手先から同意を得ている場合には、明らかに信憑ぴょう性を欠くと認められる場合を除き、当該口座が開設されている金融機関及び警察当局への情報提供を速やかに実施することとしており、その情報提供件数等については、四半期ごとに金融庁ウェブサイトにおいて公表しています。

(2)被害の拡大防止を意識した悪質商法事犯の取締りの推進

警察庁では、悪質商法事犯(利殖勧誘事犯及び特定商取引等事犯)は、高齢者等の社会的弱者に多大な被害をもたらすものであることから、関係行政機関との連携強化等による事犯の早期把握に努めるとともに、2015年から2018年までの生活安全警察の運営重点として、「被害の拡大防止を意識した悪質商法事犯の早期事件化」等を掲げ、その推進を指示しています。

また、迅速かつ機敏な口座凍結の要請等や広域事犯に対応するための合同・共同捜査を推進しての早期事件化により、被害の拡大防止を図ることとしています。

なお、2018年中には、利殖勧誘事犯を41事件123人、特定商取引等事犯を120事件227人検挙しています。

(3)生活経済事犯に係る被害拡大防止に向けた犯行助長サービス対策等の推進

生活経済事犯の多くで、預貯金口座のほか、携帯電話等に係るサービスが悪用されていることから、犯罪の予防及び被害拡大防止を図るため、生活経済事犯に利用された預貯金口座の金融機関への情報提供、携帯電話契約者確認の求め及び役務提供拒否に関する情報提供、契約条項に基づくレンタル携帯電話契約の解約要請等の犯行助長サービス対策を推進しています。

警察庁では、2015年から2018年までの生活安全警察の運営重点として、「早期の口座凍結による犯罪収益の散逸防止と剥奪の徹底」、「被害拡大防止に向けた犯行助長サービス対策の一層の推進」等を掲げ、都道府県警察に対して、その推進を指示しています。

また、生活経済事犯に利用された預貯金口座の金融機関への情報提供を行っており、2018年中は1万5924件の情報提供を行いました。

(4)偽造キャッシュカード等による被害の防止等への対応

金融庁では、スキミング等により不正に入手した情報から偽造キャッシュカードを制作し、他人の預貯金を引き出す事件等が跡を絶たない状況であることを踏まえ、偽造キャッシュカード等による被害発生状況や金融機関による補償状況を、四半期ごとに金融庁ウェブサイトにおいて公表しています。また、預金取扱金融機関を対象として、「偽造キャッシュカード問題等に対する対応状況」に係るアンケート調査を実施し、金融庁ウェブサイトにおいて2018年9月に公表しました。

(5)ヤミ金融事犯の取締りの推進

ヤミ金融事犯(注87)については、健全な経済生活を脅かす悪質な事犯であり、また、暴力団の資金源となる場合もあることから、警察庁では、2015年から2018年までの生活安全警察の運営重点として、「広域にわたるヤミ金融事犯の取締りの推進」等を掲げ、都道府県警察に対して、その推進を指示しています。

また、当該事犯の徹底した取締りのほか、ヤミ金融に利用された預貯金口座の金融機関への情報提供、携帯音声通信事業者に対する契約者確認の求め及び役務提供拒否に関する情報提供、プロバイダ等に対する違法な広告の削除要請等により、被害の予防を図っています。

なお、2018年中は、ヤミ金融事犯を718事件814人検挙しています。

(6)フィッシングに係る不正アクセス事犯への対策の推進

金融機関(銀行やクレジットカード会社)等を装った電子メールを送り、住所、氏名、銀行口座番号、クレジットカード番号等の個人情報を詐取するいわゆる「フィッシング」行為や、それによる被害を防止するため、関係省庁において、不正アクセス事犯への対策を推進しています。

警察庁では、フィッシングに係る犯罪について、都道府県警察の実施する情報セキュリティに関する講習等を通じ、フィッシングに関する注意喚起を推進しています。

また、2018年中の不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成11年法律第128号)を適用した「フィッシング」行為の検挙件数は2件でした。

経済産業省では、フィッシング対策協議会や一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター(注88)を通じて、フィッシングの疑いのある電子メール及びウェブサイト等に関する情報収集・分析を行い、ウェブサイトやメーリングリスト等で、サイバーセキュリティ関連団体や一般消費者等へのフィッシングに関する情報発信や注意喚起等の情報提供を実施しています。

総務省では、フィッシング対策にも有効な技術的対策の一つとして、受信者が受け取った電子メールについて、当該電子メールの送信者の情報が詐称されている(送信者になりすましている)か否かを確認可能とする「送信ドメイン認証技術」の普及促進に取り組んでおり、迷惑メール対策に関わる関係者が幅広く参画し、関係者による効果的な迷惑メール対策の推進に資することを目的として設立された「迷惑メール対策推進協議会」と連携し、「送信ドメイン認証技術導入マニュアル」を策定・公表(2011年8月に第2版を公表)しています。

(7)ウイルス対策ソフト等を活用した被害拡大防止対策

警察庁では、各都道府県警察等から集約した、海外の偽サイト等に関するURL情報等を、ウイルス対策ソフト事業者等に提供し、当該サイトを閲覧しようとする利用者のコンピュータ画面に警告表示等を行う対策を推進しています。

また、2016年7月から、海外の偽サイト等に関するURL情報等を、ウェブブラウザ事業者等が加盟する国際的な団体であるAPWG(フィッシング対策ワーキンググループ)に対して提供しており、ウェブブラウザによる警告表示が可能となっています。

(8)インターネットオークション詐欺の取締り

インターネットオークションを利用し、商品を落札した後、代金を相手の指定口座に振り込んだが、品物が届かず連絡も取れなくなったなど、インターネットオークションを利用した詐欺事案や悪質商法等のトラブルが発生しています。

警察庁では、都道府県警察による情報セキュリティに関する講演等を通じ、インターネット利用者に対する注意喚起を推進しています。

また、インターネットオークションに係る犯罪の取締りを推進しており、2018年中のインターネットオークション詐欺に関する検挙件数は234件となっています。

(9)模倣品被害の防止

模倣品・海賊版による被害は、近年、複雑化・広範化しており、これらの被害は日本企業にとって潜在的市場の喪失、消費者に対するブランド・イメージの低下、製造物責任をめぐるトラブルの増加等の悪影響を及ぼすため、その対策に積極的に取り組む必要があります。

経済産業省では、「政府模倣品・海賊版対策総合窓口」に寄せられる消費者等からの情報について、関係府省及び主要なECサイト運営者等に定期的に共有しています。

警察庁では、2015年から2018年までの生活安全警察の運営重点として、「偽ブランド事犯等の取締りの推進」等を掲げ、都道府県警察に対して、その推進を指示しています。また、例年、関係する機関・団体が構成する不正商品対策協議会が主催するキャンペーンを後援しており、同協議会主催の「ほんと?ホント!フェア」(2018年:全国6都県で開催)を支援するなど、関係者と連携した広報啓発活動を行いました。

なお、2018年中は、商標権侵害事犯を309事件364人、著作権侵害事犯を169事件205人検挙しています。

特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権、育成者権を侵害する物品及び不正競争防止法(平成5年法律第47号)の規定に違反する物品(知的財産侵害物品)は、関税法(昭和29年法律第61号)第69条の2及び第69条の11の規定において輸出又は輸入してはならない貨物と定められており、税関で取締りを行っています。

2018年の全国の税関における知的財産侵害物品の差止状況は、輸入差止件数が、2万6005件、輸入差止点数が、92万9675点となっています。

農林水産省では、官民連携の農林水産知的財産保護コンソーシアムを通じて、アジアの主要国における我が国の農林水産物・食品の産地偽装・模倣品に係る現地調査等を実施しています。同調査により、これまで日本由来ではないと思われる商品への日本の地名の使用が確認されました。また、2018年に特定農林水産物等の名称の保護に関する法律の一部を改正する法律(平成30年法律第88号)が成立し、広告等における地理的表示(GI)の使用やGI産品と誤認させるおそれのある表示等を規制対象とするとともに、日EU・EPAに基づき日本のGI48産品、EUのGI71産品の相互保護を開始しました。

消費者庁では、インターネット通販事業者の特定商取引法違反に関する調査の一環として、模倣品被害についての対策を行っています。2018年度は、模倣品を扱っている可能性のあるインターネット通販サイト109件について、特定商取引法の遵守状況を調査し、うち93件に改善指導を実施しました。

また、海外著名ファッションブランドの権利者等からの情報提供を受け、模倣品販売が確認されたサイト等の悪質な海外ウェブサイトに関する情報について、消費者庁ウェブサイトにおいて公表しています。

(10)架空請求対策パッケージ」の推進による被害の防止

2017年度に全国の消費生活センター等に寄せられた架空請求に関する消費生活相談の件数が増加したことを踏まえ、2018年7月に策定された「架空請求対策パッケージ」(2018年7月22日消費者政策会議決定)に基づき、以下の取組を推進しています。

・架空請求事業者から消費者への接触防止のための取組

・消費者から架空請求事業者への連絡防止のための取組

・消費者による架空請求事業者への支払の防止のための取組

「架空請求対策パッケージ」において、2018年秋を目途に、架空請求に関する相談状況及び関係府省等の架空請求対策の実施状況についてフォローアップを行うこととされていたことを受け、2018年12月、関係府省の協力を得て、「架空請求対策パッケージ」に掲げられた施策の進捗状況等について取りまとめの上公表し、いずれについても着実に進められていることが確認されました。

消費者庁では、2018年8月、啓発資料を作成し、注意喚起を行ったほか、同年11月、封書を送付したり、裁判所をかたったりするといった手口の変化を踏まえた、新たな啓発資料を公表し、周知を図っています。また、同年11月、インターネット上の文字列を分析し、消費者被害・トラブル情報の把握を行う取組における文字列情報の抽出プロセスにおいて、事業者による消費者向けの注意喚起情報が把握できた際に、より一層の情報の拡散を図り、被害の抑止を図るため、消費者庁ウェブサイトに、周知を図るためのページ(注89)を設けました。

また、2019年3月以降、高齢者の方々に留意点がいきわたるよう、高齢者の住まいの管理に関する業界団体の関係者に対して情報の周知についての協力を求める取組に着手しました(2019年3月から、関係団体のウェブサイトに所属事業者向けの情報提供を掲載。)。


  • 注87:貸金業法違反(無登録営業)、出資法違反(高金利等)に係る事犯及び貸金業に関連した犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号。以下「犯罪収益移転防止法」という。)違反、詐欺、携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律(平成17年法律第31号。以下「携帯電話不正利用防止法」という。)違反等に係る事犯。
  • 注88:インターネットを介して発生する情報流出、Web改ざん、フィッシングサイト等のコンピュータセキュリティインシデントに関する報告の受付け、対応の支援、発生状況の把握、手口の分析、再発防止対策の検討や助言、早期警戒情報の配信やソフトウエア等の脆弱性対応等を技術的な立場から行い、特定の組織からは独立した中立の組織として、また、国際連携が必要なオペレーション等の窓口となるCSIRTとして、日本における情報セキュリティ対策の向上に取り組んでいる組織。
  • 注89:https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/other/other_002/

担当:参事官(調査研究・国際担当)