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第1部 第2章 第2節 (1)消費者行政の一元化

第1部 【特集】消費者庁及び消費者委員会設立10年~消費者政策の進化と今後の展望~

第2章 消費者庁及び消費者委員会の10年

第2節 消費者庁のこれまでの取組

(1)消費者行政の一元化

組織体制等の整備

消費者庁の設置に当たっては、行政組織の肥大化を招かぬよう、法律、権限、事務等を移管する府省庁から機構・定員及び予算を振り替えることが原則とされ、2009年9月の消費者庁の設置時は8課202名の体制でスタートしました。その後、新たに生じた政策課題への対応の必要性等を踏まえ、組織の変更・拡充等が行われてきました。2019年度末時点で9課363名となります(図表I-2-2-1図表I-2-2-2)。

また、消費者庁は、各府省庁や民間からの専門家を積極的に活用してきましたが、2013年度からは国家公務員試験等による採用を開始するなど、多様なバックグラウンドを有する職員によって消費者行政に関する幅広い専門性を確保・育成してきました。

予算については、2009年度の約89億円から、2019年度には約122億円に増加しました(補正予算を除く。)(図表I-2-2-3)。また、2013年からは、予算の概算要求と合わせて、予算要求の背景となる考え方や重点施策についても併せて公表し、消費者等にも分かりやすい情報提供に努めています(注24)

消費者庁では、2013年9月、消費者行政の「舵取り役」として、消費者が主役となって安心して安全で豊かに暮らすことができる社会を実現するという目標を職員で共有するために、消費者庁職員の行動指針を示した「消費者庁の使命(注25)」を掲げ、消費者の視点を職員へ浸透させるべく取り組んでいます。

消費者に身近な法律の所管・整備

消費者庁の設置に当たっては、消費者に身近な問題を取り扱う法律は消費者庁が所管するとともに、「すき間事案」への対応や横断的な規制体系の整備のための新法の制定を行うこととされました。このため、消費者庁の設置に際して消費者安全法が制定されるとともに、各府省庁から関連する法律が移管されました(図表I-2-2-4)。

また、消費者庁では、社会経済情勢の変化や消費者を取り巻く諸課題への対応のため、不断にこれら所管法令の見直しを進め、必要な改正や新法の制定についての企画立案を進めています(横断的な規制体系の整備のための法制度の整備については本節(3)にて後述。)(図表I-2-2-5)。

消費者行政新未来創造オフィスの開設

「政府関係機関の地方移転にかかる今後の取組について」(2016年9月まち・ひと・しごと創生本部決定)に基づき、2017年7月、消費者庁と国民生活センターは、実証に基づいた政策の分析・研究機能をベースとした消費者行政の発展・創造の拠点(注26)として「消費者行政新未来創造オフィス」を徳島県に開設しました(図表I-2-2-6図表I-2-2-7)。なお、同決定では、新未来創造オフィスの今後の在り方について、2019年度を目途に検証・見直しを行うこととされています。(新未来創造オフィスの成果については、第1部第2章第4節参照。)。


  • 注24:2013年から「消費者安心戦略」、2015年から「消費者の安全・安心暮らし戦略」、2018年から「消費者の安全・安心な暮らしのための重点施策」を公表している。
  • 注25:消費者庁職員の行動指針は「消費者・生活者の視点に立ち、国民全体の利益を考えます。」、「自らの仕事に誇りを持ち、強い責任感と高い志を持って職務を遂行します。」、「便利で分かりやすい情報を提供するよう心懸け、コミュニケーションを重視します。」、「専門性を向上させるため、日々、知見の獲得・深化に努め、その成果を具体的な結果として示します。」、「困難な課題であっても、できる方法を考え、挑戦し続けます。」の5本の柱からなる。
  • 注26:これまで行ってきた迅速な対応を要する業務、対外調整プロセスが重要な業務(国会対応、危機管理、法執行、司令塔機能、制度整備等)は引き続き東京で行っている。

担当:参事官(調査研究・国際担当)