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第1部 第2章 第1節 (5)新たな消費者行政の基本的な枠組み

第1部 【特集】消費者庁及び消費者委員会設立10年~消費者政策の進化と今後の展望~

第2章 消費者庁及び消費者委員会の10年

第1節 消費者庁及び消費者委員会の設立

(5)新たな消費者行政の基本的な枠組み

消費者庁関連三法(注19)の成立後、消費者庁及び消費者委員会設置法に規定された所掌事務を遂行するための体制整備が進められました。その後、消費者安全調査委員会や消費者教育推進会議の設置等、体制の拡充を経て、現在では(図表I-2-1-4)の枠組みで消費者行政を推進しています。

1消費者庁

消費者庁の役割は、消費者が主役となって、安心して安全で豊かに暮らすことができる社会の実現に向けた政府の「舵取り役」として、消費者行政を統一的・一元的に推進するための強い権限を保持し、それを適切に行使することにあります。

具体的には、消費者安全法に基づいて、各府省庁、国民生活センターや各地方公共団体の消費生活センター等が把握した消費者事故等に関する情報を一元的に集約し、調査・分析して、消費者に対して迅速に注意喚起するほか、必要に応じて各府省庁に対して「措置要求」を行い、いわゆる「すき間事案」については自ら事業者に対する勧告等を行うことにより、迅速な被害の拡大防止、再発防止等を目指します。また、消費者に身近な問題を取り扱う法令を幅広く所管して、法執行等を行います。さらに、各府省庁の施策の総合調整を行う(注20)とともに、各府省庁の縦割りを超えて消費者行政に関する幅広い分野を対象とした横断的な新法等を企画立案します。

2消費者委員会

消費者委員会は、消費者行政全般に対して監視機能等を有する機関として、内閣府に置かれ、内閣総理大臣が任命する10人以内の委員(任期2年)で組織されています。消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策等に関する重要事項について、内閣総理大臣、関係大臣等からの諮問に応じて調査審議するのみならず、これらを自ら積極的に調査審議し、必要と認められる事項については、内閣総理大臣や関係大臣等に建議する権限等を有します(注21)

3消費者担当大臣

消費者行政を強力に推進していくために、内閣府特命担当大臣(消費者)(注22)(以下「消費者担当大臣」という。)が必置大臣として必ず発令されることとなりました。消費者担当大臣は、内閣総理大臣を助け行政各部の施策の統一を図るため、消費者政策について関係行政機関の調整を行うとともに、関係行政機関の長へ勧告を行う権限を有します。

4国民生活センター

国民生活センターは、消費者庁を始めとする関係府省庁や全国の地方公共団体の消費生活センター等と連携して、消費者行政における中核的な実施機関としての役割を果たしています。

具体的には、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)を運用して、消費生活に関する情報を全国の消費生活センター等から収集し、消費者被害の未然防止・拡大防止等に役立てています。また、消費生活センター等が行う相談業務を支援するとともに、裁判外紛争解決手続(ADR)を実施しています。さらに、苦情相談解決のための商品テストや、広く問題点を情報提供するための商品群のテスト、地方公共団体の消費者行政担当職員・消費生活相談員を対象とした研修、小規模な消費生活センター等への経験豊富な相談員による巡回指導、生活問題に関する調査研究を実施し、様々なメディアを通じて消費者への情報提供を積極的に行っています(注23)

消費者庁及び消費者委員会は、2019年9月にその設置から10年を迎えます。両組織は、その設置に際して期待された役割を果たすために様々な課題に取り組んできました。次節以降では、この10年間の取組を、(1)消費者行政の一元化、(2)地方消費者行政の充実及び消費生活相談体制の整備、(3)府省庁横断的な消費者政策の一体的推進、(4)消費者市民社会の実現に向けた取組、(5)消費者の意見を消費者政策に反映させる仕組み、(6)消費生活のみならず産業活動の活性化といった諸機能から概観していきます。

図表1-2-1-4消費者行政の基本的枠組み


  • 注19:消費者庁及び消費者委員会設置法、消費者庁及び消費者委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律(平成21年法律第49号)、消費者安全法を指す。
  • 注20:設置当初は、消費者行政について関係行政機関の調整を行うこととされた。加えて2016年からは、内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律(平成27年法律第66号)により内閣府から消費者問題と食品安全に関する総合調整機能が消費者庁に移管された。
  • 注21:消費者委員会が発足して初めての年次報告である「平成21~22年度消費者委員会活動報告」(2010年9月)では、消費者委員会の役割を、消費者政策の重要事項について調査審議する「審議会的機能」、消費者行政全般に対する「監視機能」、消費者の声を消費者行政に直接届ける「パイプ機能」に分類している。
  • 注22:2009年9月1日、設置時は内閣府特命担当大臣(消費者)。同年9月16日から内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)。
  • 注23:国民生活センターは、2010年12月の閣議決定(「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」)において、その機能を消費者庁に一元化し、法人の廃止を含め在り方を検討するという方針が打ち出されたが、その後、第三者を含めた検証・議論等を経て、従前どおり独立の機関となっている(「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(平成25年12月閣議決定))。

担当:参事官(調査研究・国際担当)