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第1部 第2章 第1節 (3)消費者庁及び消費者委員会設置の経緯

第1部 【特集】消費者庁及び消費者委員会設立10年~消費者政策の進化と今後の展望~

第2章 消費者庁及び消費者委員会の10年

第1節 消費者庁及び消費者委員会の設立

(3)消費者庁及び消費者委員会設置の経緯

2000年代半ば以降、いわゆる食品偽装問題や中国産冷凍餃子事件、悪質商法による被害の増加等、消費者の身近なところで大きな不安をもたらす消費者問題が多数発生し、国民の安全・安心を確保するために消費者行政の在り方を大きく転換することが求められました。

このような状況を踏まえ、これまでの行政のパラダイム(価値規範)を転換し、事業者の保護育成を通じた行政を国民一人一人の立場に立ったものへと改めるため、各府省庁の所管分野に横断的にまたがる事案に対して、消費者行政の「司令塔」として機能し、各行政機関の権限の円滑な調整を行い、必要な事案に対しては、自ら迅速に対応する新たな組織の設立が求められました。

これらを背景として、2008年1月に召集された第169回国会冒頭の内閣総理大臣による施政方針演説において、消費者行政の司令塔となる新組織の検討が表明されました(注14)

新組織の検討は、閣議決定に基づき開催された有識者会議(注15)により行われました。2008年6月、報告書の取りまとめ(注16)に続き、同報告書を踏まえた「消費者行政推進基本計画」が閣議決定されました。

続いて、政府は、2008年9月に召集された第170回国会に、消費者庁の設置等を目的とするいわゆる「消費者庁関連三法案(注17)」を提出しました。消費者庁関連三法案は、2009年1月に召集された第171回国会において衆議院、参議院にそれぞれ設置された消費者問題に関する特別委員会において審議され、消費者政策に関する重要事項を自ら調査審議し、内閣総理大臣等に建議する第三者機関を「消費者委員会」として内閣府内に設置することとするなどの所要の修正を経て、同年5月に成立しました。

そして、2009年9月1日、消費者庁と消費者委員会が発足しました。


  • 注14:福田内閣総理大臣(当時)の施政方針演説においては、各省庁縦割りになっている消費者行政を統一的・一元的に推進するための強い権限を持つ新組織を発足させること、消費者行政担当大臣を常設すること、新組織は、国民の意見や苦情の窓口となり、政策に直結させ、消費者を主役とする政府の舵取り役になること等が表明された。
  • 注15:「消費者行政推進会議」(座長:佐々木毅学習院大学法学部教授(当時))
  • 注16:消費者行政推進会議「消費者行政推進会議取りまとめ~消費者・生活者の視点に立つ行政への転換~」(2008年6月)
  • 注17:消費者庁設置法案、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案、消費者安全法案を指す。

担当:参事官(調査研究・国際担当)