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第2部 第1章 第6節 (5)消費者政策の国際連携やグローバル化への対応

第2部 消費者政策の実施の状況

第1章 消費者庁における主な消費者政策

第6節 消費者の被害救済、利益保護の枠組みの整備

(5)消費者政策の国際連携やグローバル化への対応

訪日外国人及び在留外国人の消費者トラブルへの対応

2016年3月に取りまとめられた「明日の日本を支える観光ビジョン」(注20)においては、訪日外国人旅行者数について、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される2020年に4000万人、2030年に6000万人という目標が掲げられました。訪日外国人旅行者数は5年連続で過去最高を更新しており、今後も増加を続けていくと仮定すれば、それに伴い訪日外国人の消費者トラブルも増加していくことが見込まれます。このため、消費者庁及び国民生活センターは、訪日外国人及び在留外国人の消費者トラブルへの対応を進めています。

消費者庁では、在留外国人等を対象とした消費生活相談体制の整備に取り組む地方公共団体を、「地方消費者行政推進交付金」及び「地方消費者行政強化交付金」により支援しています。地方公共団体の取組例としては、消費生活セター等が外国語での消費生活相談を受け付けるための通訳の手配、外国語のパンフレットによる在留外国人等に対する消費生活相談窓口の周知、消費生活相談体制の整備のためのアンケート等による実態調査等が挙げられます。

国民生活センターでは、相談者、相談員、通訳者を三者間通話でつなぎ、外国語での相談に対応できる消費生活相談窓口を2018年度中に開設すべく取り組んでいます。

また、国民生活センターでは、日本政府観光局(JNTO)との連携により、2018年2月、中国人観光客向けの注意喚起をJNTOの中国語(簡体字)ウェサイトに掲載し(図表II-1-6-14)、日本旅行中の消費者トラブルの防止を図っています。購入した商品が不良品だった、著しく高額な請求を受けた等の外国人観光客からの相談事例と、それに対するアドバイスについて情報提供しています。

ベトナム消費者保護行政への協力

消費者庁は、2014年9月から2017年9月までの3年間、独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施する対ベトナム技術協力「消費者保護行政強化プロジェクト」(以下「本プロジェクト」という。)への協力を行いました。本プロジェクトは、ベトナム消費者保護行政機関の執行力強化等を目的とした3年間の技術協力プロジェクトです。消費者庁は、協力官庁として、国民生活センターと共に政府開発援助(ODA)に関わりました。

本プロジェクトでは1日本の専門家(長期・短期)のベトナム派遣、2ベトナムで消費者保護行政に関わる人材の日本での研修実施という二つの柱を設け、ベトナム及び日本の両国において、ベトナムの消費者保護担当職員に対する研修を行いました。

ベトナムの消費者保護行政は近年著しく進歩しており、日本の政策に類似したものもみられます。3年間にわたる技術協力プロジェクトを通じ、法執行担当者向けの研修による消費者権利保護法の執行力の強化、相談員向けFAQsの作成による相談能力の強化、消費者の権利保護に関するビデオクリップの作成による消費者教育の実施、消費者権利デー企業応援プログラムの作成による官民ネットワークの強化等が図られ、本プロジェクトは目的を達成し全てを終了しました。

図表2-1-6-14中国人観光客向けの注意喚起(中国語)、注意喚起の日本語訳・概要


  • 注20:明日の日本を支える観光ビジョン構想会議「明日の日本を支える観光ビジョン」(2016年3月30日)

担当:参事官(調査研究・国際担当)